38.誰得だよ。
もう…ダメか…これは生徒と教師の禁断の恋に発展してしまうのか…。
彼方はもう諦めムード、例えるならそう、他人との18禁展開後の女の子の気持ちである。
だが、何も起きない。
「ッ…!あ…れ?」
不思議に思った彼方はぎゅっと閉めていた両目をゆっくり開けて、目の前を見る。
目の前には、ニコッと笑っている美月がいるだけ。
すると美月は後ろを振り返り、千秋に視線をおくる。
「ほら、一番と三番がキスしたぞ」
「へ…?」
その間の抜けた声を出したのは間違いなく俺であった。
どういう事だ…?
彼方は、自分の下の方を見詰める。
そこには、彼方が持っていた箸と三月の持っていた箸が重なる形であった。
その状況を理解した彼方含め五人は、少しホッとしていた。
千秋さんも、ま、別に冗談のつもりだったしね、と頬を赤くしながら言っていた。
なるほど…先生そうきたか…。
いや、正直助かった、三月先生に後でお礼言おう。
と、彼方が安堵に包まれていると、美月がこちらを向き、右目を瞑りウィンクした。
「ッ!」
少々ドキッとしてしまったのは許してほしい。
この時の先生を、どうしても意識せずにはいられなかったのだから。
そんなこんなで、最後の王様ゲームが開始された。
そしてその最後に、俺は初めて王様になることが出来た。
「私が王様ですね」
この声と愛想笑いにも疲れてきた。
ん~…何を命令すればよいのか…ま、適当に。
「それでは、二番が王様に肩を揉む、と言う事で!」
彼方はニコッと笑いながら言うと、その人物は手を上げた。
「私が二番だ」
美月先生だった。
彼方は額から汗を流す。
何故なら、恐らくこの中で俺にとっては一番、危ない存在だからだ。
「えっと…変更は…?」
「不可だ」
美月先生即答ですかそうか。
そして地獄の肩揉みが始まった。
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「んっ…そこ…ちが…んっ!」
「ここだな…ここがいいのだろう?」
俺はつい変な声を出してしまう。
男とバレる訳にはいかないから頑張って声を作る。
そんな彼方の反応を見た美月は頬を染めながら、ヒートアップして行く。
美月の手は、肩から胸へ、そして右手は彼方の太ももへ。
そんな光景を見せられている四人は頬を染め、唾を、ゴクリ、と飲み込む。
「もう…ダメエエエエ…!」
彼方の喘ぎ声と共に、今日の合コンは終了したのだった。
そして、誰もが思う、誰得だよ。
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「おい、まだ怒ってるのか?泉」
「当たり前です!」
現在、彼方と美月は一緒に帰っている。
だが、そのお互いの距離は少しあり、彼方が怒っている証拠である。
「まぁ…確かに私も調子には乗りすぎた…反省してる…」
美月が視線をそらし、ショボーンとしている。
そんな美月を見て、彼方は細目になる。
「本当に反省してますか…?」
「あぁ…この通りだ!」
美月は両手を重ね謝る。
そんな美月を見て、彼方は笑う。
「わかりました!許します!
それに、美月先生にはまた借りが出来ましたし」
「…?あぁ、あの事は気にするな」
美月は頭に疑問が浮かんだ後、すぐにさっきのキスの件だと気づく。
「言え、この借りはまた」
「そうか…まぁ泉がそう言うなら、そう言う事にしておく」
彼方と美月はお互いに笑みを浮かべていた。
今日は色々あったが、楽しかった様な気もする。
だが、正直羞恥心がゴリゴリ削れたのもまた事実…あ、てか、この格好に慣れすぎてて忘れてた。
「先生ー!そう言えば俺の制服は?」
「あ、学校に忘れた」
「はい!?ちょ!どうするですか!?」
「まぁまぁ、私も一緒にいってやるから」
と、美月は、彼方を落ち着かせる。
「ならいいですけど…」
そして、彼方と美月は学校へと向かった。
だが、彼方は知らないのだ。
今日この日、学校に向かった事をここまで後悔することになるとは。
読んでくださりありがとうございます!
ふぅ…やっと前座が終わりました。
何か、美月メイン見たいになってますけど違います!w




