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青春したいのに青春出来ない俺の日々。  作者: あだち りる
第五章「泉彼方と君月獅子野は友達である。」
38/44

38.誰得だよ。

もう…ダメか…これは生徒と教師の禁断の恋に発展してしまうのか…。

彼方はもう諦めムード、例えるならそう、他人との18禁展開後の女の子の気持ちである。


だが、何も起きない。


「ッ…!あ…れ?」


不思議に思った彼方はぎゅっと閉めていた両目をゆっくり開けて、目の前を見る。

目の前には、ニコッと笑っている美月がいるだけ。

すると美月は後ろを振り返り、千秋に視線をおくる。


「ほら、一番と三番がキスしたぞ」


「へ…?」


その間の抜けた声を出したのは間違いなく俺であった。

どういう事だ…?


彼方は、自分の下の方を見詰める。

そこには、彼方が持っていた箸と三月の持っていた箸が重なる形であった。


その状況を理解した彼方含め五人は、少しホッとしていた。

千秋さんも、ま、別に冗談のつもりだったしね、と頬を赤くしながら言っていた。

なるほど…先生そうきたか…。

いや、正直助かった、三月先生に後でお礼言おう。


と、彼方が安堵に包まれていると、美月がこちらを向き、右目を瞑りウィンクした。


「ッ!」


少々ドキッとしてしまったのは許してほしい。

この時の先生を、どうしても意識せずにはいられなかったのだから。


そんなこんなで、最後の王様ゲームが開始された。

そしてその最後に、俺は初めて王様になることが出来た。


「私が王様ですね」


この声と愛想笑いにも疲れてきた。

ん~…何を命令すればよいのか…ま、適当に。


「それでは、二番が王様に肩を揉む、と言う事で!」


彼方はニコッと笑いながら言うと、その人物は手を上げた。


「私が二番だ」


美月先生だった。

彼方は額から汗を流す。

何故なら、恐らくこの中で俺にとっては一番、危ない存在だからだ。


「えっと…変更は…?」


「不可だ」


美月先生即答ですかそうか。

そして地獄の肩揉みが始まった。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

「んっ…そこ…ちが…んっ!」


「ここだな…ここがいいのだろう?」


俺はつい変な声を出してしまう。

男とバレる訳にはいかないから頑張って声を作る。


そんな彼方の反応を見た美月は頬を染めながら、ヒートアップして行く。

美月の手は、肩から胸へ、そして右手は彼方の太ももへ。


そんな光景を見せられている四人は頬を染め、唾を、ゴクリ、と飲み込む。


「もう…ダメエエエエ…!」


彼方の喘ぎ声と共に、今日の合コンは終了したのだった。


そして、誰もが思う、誰得だよ。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

「おい、まだ怒ってるのか?泉」


「当たり前です!」


現在、彼方と美月は一緒に帰っている。

だが、そのお互いの距離は少しあり、彼方が怒っている証拠である。


「まぁ…確かに私も調子には乗りすぎた…反省してる…」


美月が視線をそらし、ショボーンとしている。

そんな美月を見て、彼方は細目になる。


「本当に反省してますか…?」


「あぁ…この通りだ!」


美月は両手を重ね謝る。

そんな美月を見て、彼方は笑う。


「わかりました!許します!

それに、美月先生にはまた借りが出来ましたし」


「…?あぁ、あの事は気にするな」


美月は頭に疑問が浮かんだ後、すぐにさっきのキスの件だと気づく。


「言え、この借りはまた」


「そうか…まぁ泉がそう言うなら、そう言う事にしておく」


彼方と美月はお互いに笑みを浮かべていた。

今日は色々あったが、楽しかった様な気もする。

だが、正直羞恥心がゴリゴリ削れたのもまた事実…あ、てか、この格好に慣れすぎてて忘れてた。


「先生ー!そう言えば俺の制服は?」


「あ、学校に忘れた」


「はい!?ちょ!どうするですか!?」


「まぁまぁ、私も一緒にいってやるから」


と、美月は、彼方を落ち着かせる。


「ならいいですけど…」


そして、彼方と美月は学校へと向かった。

だが、彼方は知らないのだ。

今日この日、学校に向かった事をここまで後悔することになるとは。

読んでくださりありがとうございます!

ふぅ…やっと前座が終わりました。

何か、美月メイン見たいになってますけど違います!w

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