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青春したいのに青春出来ない俺の日々。  作者: あだち りる
第五章「泉彼方と君月獅子野は友達である。」
37/44

37.俺が求めたのと違う。

そして、話が盛り上がるにつれて、男子達(俺もだが)がとある事を提案してきた。


「ねぇ王様ゲームやらない!?」


金髪…確かにそれは青春イベントの内の一つかも知れない…合コンでなら当然のイベントかも知れない…けどな、今男四の女二の割合なのよ。

つまり…得することないぜ?


彼方はニコニコしながら心の中でそう思っていた。


すると、黒髪の男が鞄から用意してたと言わんばかりに、先っぽだけ赤い箸一つと普通の橋を五本出した。

いやどんだけ王様やりたいんだよ…。

必死か?必死なのか?まぁ気持ちはわかるけどさ…けどさ…俺を見ないでくれないか…?


男三人はニヤニヤしながら彼方を見ている。

耳を少し傾けていると…


「彼子ちゃんにどんな命令しようかなぁ…」


とか、そう言った内容が聞こえてくる。

男にどんな命令をさせると言うのか。

てか俺ってそんなに男に見えないか?

はぁ…自信なくしてきた…。

てか、美月先生の友達さんがめちゃくちゃ睨んでいるのだが…えっと、確か、国見くにみ 千秋ちあきさん、だっけか。


一応自己紹介は既に終えている。

男三人の名前は、彼方の記憶から既に抹消されている。

と言うか単に覚える気がなかった。


ちなみに、この合コンは千秋さんの為に美月先生が協力しているらしい、昔からの親友だとか。

それに巻き込まれたのが俺って訳だ。


国見千秋、彼女の仕事は美容師との事らしい。

そんな千秋の姿は、すごく大人びていた。

赤い前髪をヘアピンでとめ、長い赤髪を靡かせている。

服装は、白のTシャツ、灰色のカーディガンを羽織り、黒のデニムを履いている。

そして、黒い低めのヒールを足にしている。

茶色い肩掛け鞄を席の隣に置いている。

実に大人らしいファッションである。

ピンク色の口紅をしており、その口紅のせいか物凄い色気を感じる。

色気の種類で言えば美月と同じくらいであろう。

流石は元同級生、似てる部分がある気がする、と彼方は思った。


それに対しての、美月の格好は、黒のセーターを着て、灰色のコートを羽織っている。

そして、濃い青のジーンズを履いている。

黒のヒールが美しさを強調しているかのようだった。


大人っぽい女性を絵に描いたようだ。

それに比べて俺の場合かなり子供っぽいと思うが…最近の若者には可愛い系の方が人気なのか…?

世間に疎い俺にはわからんな。


彼方をジーッと見ている千秋の視線を置いて、王様ゲームが開始された。


「「「「「「王様だーれだ!」」」」」」


六人の掛け声と共に、黒髪の男が持っていた箸を、五人同時に引いた。

黒髪の男は、余ったくじを見る。


「よっしゃ!俺が王様だ!」


と、黒髪の男は飛び跳ねて喜ぶ。

あぁ…嫌な予感…。


「じゃあ!王様と二番が抱き合う!」


ほらねぇ…まぁ男ならそういう命令するよな。

えっと…俺の番号は…。


「ッ!」


俺だあああああああああああ!!

ま、まぁ…男同士のハグなぞ誰が得するのか知らんが、やるしかねぇな。


「わ、私です…」


俺は愛想笑いを浮かべながらそっと手を上げると、男が両腕を使ってガッツポーズする。

喜びすぎだろ…と、彼方はやや引き気味。

他の男二人は、チッ、と、同時に舌打ち。


そして、俺が、とほほ、と言う顔をしていると、美月が肩をポンと叩いて一言。


「あの男私が殺してきてやろうか?」


物凄い満面の笑みだった。

そして俺は、抵抗がありながらも、黒髪とハグ。


「彼子ちゃん…なんか柔らかいね…」


黒髪の男は、セクハラと受け取っていい解答を、頬を染めながら言った。

そして今の俺は、泉彼子ちゃんであるからして、俺の解答はこうだ。


「そ、そうですか…?

何か照れますね…えへへ…」


あ、やってて恥ずか死ぬ。

何やってんだろ俺、これ俺が求めてたハグ違う。

てかこいつのコメント流石の俺もフォロー出来ないレベルに不味いだろ…あ!ほら、千秋さんが滅茶苦茶引いてる顔してるよ。

美月先生はと言うと、何かすんげぇ怒ってた。


そして、再び、王様だーれだ!、と言う掛け声と共に箸のくじが引かれる。

すると、手を上げたのは。


「あ、王様私だ」


千秋さんだった。

俺は安堵の表情を浮かべる。

千秋さんならまともな命令が下りそうだ。


千秋は人差し指を口の方に当てて、ん~、と考えた後、発言した。


「じゃあ、三番と一番が、キス、って言う事で!」


千秋は右目を瞑りウィンク。

全然まともじゃなかったあああああ!

なんならさっきよりか酷い方向に!

いやまぁ、そんな二回連続で番号を引く訳…。


「一…番…」


彼方が、箸に視線を落とすと、あまりの驚きに声に出してしまう。


「ん?私が三番だな」


「ッ!!


しれっとそう答えたのは、美月だった。

彼方はあまりの驚きに美月の方へと視線を向けた。


え?美月先生?マジで?


彼方のその驚きを置いて、美月は「それでは」と言って彼方の方へ寄る。

彼方はソファに座っていた体を後ろに、だが、そんなのはお構い無しに迫ってくる美月。


それをまじまじと見詰める男三人。

てめぇら見てねぇで止めろよ!?

こんな百合キスシーン誰得だよ!

てか別に百合にはなんないけどさ…俺男だし…けど…けど…。


段々と二人の顔が近くなる。

それを頬を染めながら、じっと見ている千秋。

命令した張本人だと言うのに、恥ずかしいのか手で顔を覆い隠している。

指の隙間から見ているが。


そして、彼方と美月の唇が、もはや互いの吐息が吹きかかる距離まで到達した。

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