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青春したいのに青春出来ない俺の日々。  作者: あだち りる
第五章「泉彼方と君月獅子野は友達である。」
36/44

36.彼子ちゃん再登場。

放課後を知らせるチャイムが鳴る。

彼方はその音がなると、余波と式ノに「今日は美月先生に呼ばれてるから先に帰ってて」と言って、バッグを持ち、保健室へと向かった。

今日は美月先生に呼ばれているのだ。

何か用事でもあるのだろうか。

まぁ、それは行ってみればわかる事だが。


彼方が保健室の扉の前に到着し、扉をガラリ、と横にズラす。


「こんちわー」


と、彼方が挨拶を軽くすると、目の前にメイド服を着て、セクシーポーズをしている美月の姿があった。


「ッ!」


彼方は扉を閉める。


「俺…疲れてるのかな…」


俺は人差し指と親指で鼻の上を摘まむ。

今のは幻覚だろうか…?

そうに違いない。

あっちは教師だ、常識ぐらいある。

学校でコスプレとかそんな趣味全快な事をするはずがない。

そうだ幻覚だ。

俺が見た幻にしかすぎない。

気を取り直して…。


「こんちはー!」


彼方は再び扉を開ける。

そこには、チャイナドレスに着替えようとしている美月の姿があった。

まだ着替え途中の為、下着が丸見えである。

真っ白い肌と、持て余すその胸に彼方の目が行かない訳がなかった。


呆然と見ている彼方。

美月はチャイナ服を下に落とし、胸を隠す。

少し頬を赤らめ、笑う。


「泉、私にも羞恥心がない訳ではないのだ。

少し、後ろを向いててくれないか?」


「す、すみません!」


彼方はバッと後ろを振り返る。


クッソ…美月先生にドキッとさせられる日が来るとは…いやでも、先生ってスタイルめちゃくちゃいいんだな…顔もいいし…むしろ俺のドストラ…っていやいやいや!!

危ねぇ…美月先生に惚れる寸前だったぞ今の俺。


と、彼方が心臓の音が落ち着くと、美月が一言。


「もういいぞ」


と、先程の照れた声ではなく、いつも通りの美月の声のトーンに戻っていた。

そして、彼方も美月の方へ体を向ける。

そこには、いつも通りの白衣を羽織っている美月の姿があった。

とても見慣れていて落ち着く。


「…さっきのコスプレなんだったんすか?」


「泉に見せたくてな」


「はぁ…で、美月先生、今日は何か俺に用事があるんですよね?」


と、彼方は溜め息混じりに本題に入った。


「あぁそうだ。

とても重要な事だ」


美月先生は真剣な眼差しで俺を見る。

こんな美月先生は見たことない。

俺はゴクリと唾を飲み込む。


「それって一体…?」


「それはな…」


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

何故だ…。


「ねぇ美月ちゃんは先生やってるんだよね?

凄いね~」


と、金髪の男がチャラチャラと言葉を発する。


「いえいえ…教師と言っても大した事はないですよ」


と、美月は愛想笑いとわかるような笑みを向ける。


「美月は昔から変わらないね~」


と、右にヘアピンをつけて、前髪を抑えている赤髪の人が懐かしそうに呟く。


「で!彼子ちゃんはどんな仕事してんの?

見た目もすごく若いよね?

何歳なの?それとめちゃくちゃ可愛いね、俺好みだわ~」


何故こうなったんだぁ!?


彼方の現在の状況を一から説明しよう。

彼方は美月に今日の合コンの人数が足りない、と言う事で数合わせとして助けを求められた。

彼方は美月に夏休みの仮があるため断るにも断れず…。

そして、美月の用意した女装グッズに身を委ねたと言う訳である。

黒髪ロングのウィッグに、白いワンピースとピンクのカーディガンを前開きにし、最後は美月によるナチュラルメイクで完成である。


泉彼子ちゃんの出来上がり。

知らない人の為に教えておこう。

彼方の女装レベルはそこらの美少女以上に可愛いのである。

それは男がそそるような顔をしている。

彼方自身が自身に告白してしまった程に。


そして、合コンの場所は、王道と言えようカラオケである。

メンバーは、男三人に女三人。

一人くらい呼べなかった物だろうか…と、彼方は溜め息をつきながら思ったりもしていた。


てか…このチャラ男の問いに俺は答えねばならぬ。

この男子諸君らに美月先生が伝えた俺のキャラは、とても愛想がよく、恥ずかしがりや、とても可愛い仕草をする子で、笑顔が素敵…か。


無茶苦茶すぎる!

いや…ここで美月先生に仮を返さなくては。

よし、全力で自分を捨てろ。

女になれ、なりきるんだ。

私は泉彼子、二十歳、教師。

よし!行ける、行くぞ!


ちなみにこの設定を考えたのは美月である。


「仕事は美月ちゃんと同じく先生をやってます!えぇまぁ…よく言われるますがこれでも二十歳なんですよ…?」


と、俺は最高に可愛い声&最高に可愛い仕草&最高に可愛い照れ笑い、そしてラストの決めは少し頬を赤くする。


(彼方が思う可愛いである)


ちなみにこの萌え声に近い声は、美月にこの数時間で鍛えられた技である。

今の彼方をもはや男と思う者はいない。


「「「ッ!!」」」


「へ、へぇそうなんだ!」


と、金髪の男が心臓を掴まれたかの様。

言葉に動揺が見える。

そして、他の男二人も、黒髪と茶髪も頬を赤らめ、面食らっている。

三人は、こそこそと話しているが、その会話の内容は丸聞こえで、「彼子ちゃんめちゃくちゃ可愛いくね?」と、茶髪が「それな!俺狙っちゃおうかな~」と、黒髪が「あ!ずりぃ!俺が先に目、付けたのに!」と、金髪が言う。


そんな会話を聞いていた彼方は、こう思っていた。


(男なんだけどなぁ…)


彼方は、ただ愛想良く笑うしかなかったのだった。

読んでくださりありがとうございます!

獅子野がメインとは言っても毎回登場する訳ではございません!w

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