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青春したいのに青春出来ない俺の日々。  作者: あだち りる
第四章「仲直りは青春への近道。」
31/44

31.馬鹿と大馬鹿。

新年、明けましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いします!

投稿の方が遅れてしまってすみません!

新年早々ドタバタとしてしまいまして…。

では、本編の方をどうぞ!

「ただいま」


「おかえり~」


その返事は奥から聞こえてくる。

花菜がまたソファでぐうたらしている絵図が想像できる。


彼方はそのままリビングへ。

そしてやはり花菜はソファで仰向けのまま寝て、テレビを見ている。


「はぁ…」


俺は溜め息を一つ。

こいつのぐうたら癖はいつ治るのやら。


彼方がそんな事を思いながら、冷蔵庫にあった麦茶に手を伸ばし、それをコップに注ぐ。

そして麦茶を元の位置へ。


「わぁ!台風来るのぉ!?

嘘ー!しかも今日の夜とか…。

明日未来ちゃんのお家行けないじゃん」


突然ソファから立ち上がった花菜は頬を膨らませてテレビに怒鳴る。

てか台風が来るって事は明日の計画も丸潰れじゃねぇか。


計画、と言うのは、今日俺と式ノとで考えた、俺と蓮野再び友人へ帰り咲く作戦の事だ。

蓮野を電話で呼び出す。

蓮野は式ノからの電話には絶対に逆らえないからな。

あの事がある限りは。

そして、話し合いでどうにか。

まぁ作戦と言えるほどでもないんだけど…。

はぁ…じゃあ台風が去るのを待つしかないな。


彼方が溜め息をつきながら部屋に戻ろうとした瞬間「ピピピ」と、スマホから着信音が。

彼方が不思議に思いながらスマホを見ると、式ノからの連絡である。

そして、そのまま出て、右耳へと持ってくる。


「はい、泉です。

どうしたんだ?式ノ」


「彼方くん。

落ち着いて聞いて」


「…?」


「蓮野ちゃんと、連絡が繋がらない」


「っ!!」


「何度も連絡してるけど全然出ない」


「まさか…あいつ」


「考えたくはないけど…」


「あんの馬鹿っ!」


「彼方くん!?」


俺はそのまま外へと走った。

色んな考えが頭に過る。

式ノが蓮野と連絡をとれない。

それはつまり、自分の過去を犠牲に出来るほどの何かをしようとしている。

そしてその過去と見合う行為なんて…一つしか…。


馬鹿だ。

馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ!!

明日なんて言ってる暇なんてなかったろうが。

今すぐだったんだ。

あいつが蓮野が、助けを求めてるのは、今なんだ!

今すぐなんだよ!

ずっと求めてるんだ!

なのに俺は…あいつの手を…。


「っ!」


彼方は強く歯を食い縛った後、呟く用に。


「馬鹿なのは俺の方だ…」


そしてまた「ピピピ」と着信。

それに急いで出る。


「もう彼方くん!

落ち着いて聞いてって言ったでしょ!?」


と、式ノは電話越しに怒鳴る。


「す、すんません…」


「もう…今何処?」


「えっと…」


「まさか、何の計画もなしに走ってたの?」


「…」


「馬鹿すぎるでしょ…」


呆れた、と思われているのが声からわかる。

いや確かに馬鹿でした。


「…」


「はぁ…思い当たる場所が一つだけあるわ」


「それって!?」


「蓮野ちゃんの、中学よ」


彼方は式ノから場所を聞き「おーけー…」と、一言添え、電話を切る。

そしてその場所へと足を進ませる。

ここから、一時間はかかる。

電車での移動を踏まえてもだ。

だけど、今の彼方には、走ることしか出来なかった。


「クソが!言っとくぞ蓮野。

俺が馬鹿だったら、お前は大馬鹿だ!」


蓮野は自分の過去を忘れようとしていた。

克服しようとしていた。

それなのに、俺は…。

あいつに、あの大馬鹿に、何も言ってやってない。

あいつに教えなきゃならないんだ。

これは、あいつの手を一度振り払ってしまった俺のせいなんだ。

責任感とか、罪悪感とか、そんなものはどうでもいいんだ!

俺が今、あいつの為に走るのは、走っているのは、あいつが、掛け替えのない、友達だからなんだ。

読んでくださりありがとうございます!

今年も、青春したいのに青春出来ない俺の日々。をよろしくお願いします。

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