2.完全にやばい奴ですね。
「くっ!!」
嘘だろ…何で…何でこの女がここにいやがる!?
あぁやべぇ!!過去のトラウマがいっきにフラッシュバックしてきて腰抜けそうだ…
「ん?どうしたのそんなに汗かいて」
「は…は…」
この女の名前は、神無月 式ノ(カンナヅキ シキノ)
俺とは同じ小学校だった。
そして、こいつは小学生時代の俺を散々いじめやがった。
そりゃあもう酷かった。
集団で殴られたり、女子トイレに連れてかれてバケツいっぱいの水をかけられたり。
そしてこの女はそんな俺を見て笑ってた。
そして俺をいじめて三年。
俺はこいつとの別れが来た。
こいつは小六の最後に転校してったんだ。
そんなこいつが何故ここに…
「お、俺、帰るから」
俺は帰ろうとする。
「待ってよ彼方くん、感動の再会はもう終わり?」
「…ッ!!何が感動の再会だよ!!俺にとっては最悪の再会だ!!」
「やっぱり…まだ昔の事…」
「当たり前だろうが!!」
「でも聞いて!」
「言い訳は聞きたくない、じゃな」
俺が次こそは、と行こうとした瞬間、奴から有り得ない一言が出た。
「私彼方君の事が好きなのー!!」
「は…?」
何…言ってんだ…?こいつ
「私ね…気づいたの…貴方をどうしていじめてたか…あれはね…」
「あれは…?」
俺はつい聞き返してしまった。
「私なりのセックスだったのよ!!」
「はい??」意味のわからない事を言われた。
「今何て…?」
「だからあれは私なりのセックス!!」
「あぁもういい!何も言うな!!」
「私は昔貴方をいじめてた…けどそれと同時にそんな貴方を見てて快楽を感じたわ…そうだから私がいじめるのは貴方だけ!!私がセックスするのは彼方君だけなの!!わかる!?」
「わからんしそれただのドSじゃん!!」
何だこいつ…本当に式ノか?
てかこえぇよ…こいつこえぇよ…彼方は恐怖していた。
とりあえず…。
「くっ!」
逃げるが勝ち!!
俺は思いっきり走る。
「あ!待ってよ彼方君!どうして逃げるの!?」
そして式ノはさっきの彼方の顔を思い出す。
「はぁ~やっぱりいい~彼方君のあぁ言う顔見てると…濡れちゃうわ~…」
式ノのパンツから1滴の水滴が、ポタリと、落ちた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄
 ̄
「はぁ…はぁ…ただいま…」
俺は家の扉を開ける。
「お兄ちゃんお帰り~ってどうしたの?」
「ちょっとヤバイ奴から逃げてきた」
「は?意味わかんない」
意味わかんないつっても間違ってはいない。
むしろ模範解答だろ。
あれは。
「とりあえずご飯出来たら呼んでくれ~それまで部屋で休む」
「え~!ゲームやろうよー!」
「無理無理、今日はパス」
こいつの名前は
泉 花菜
俺の妹だ。
ゲーム好きの中学二年生だ。
「今度お兄ちゃんが勉強に困っても教えてやんないから!」
「いや、毎回俺がお前に教えてんだろうが、何頭いい妹設定入れようとしてんだよ」
「ふふん~頭のいい妹は大抵お兄ちゃんとのフラグがたつからね~」
「俺のフラグを立てても何もねぇだろうが」
といい去り、彼方は自分の部屋へと入ってった。
「……まったく…お兄ちゃんは私の事何もわかってないんだから…」
花菜はぼそっと呟く。
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 ̄ ̄ ̄
 ̄
「はぁ…」
彼方は溜め息をつく。
俺の青春が終わった。
俺が一ヶ月間思い続けてた相手が…一ヶ月間青春したいと思ってた相手が…あいつだなんて…
最悪だ。