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青春したいのに青春出来ない俺の日々。  作者: あだち りる
第二章「いじめられっ子の復讐は青春に繋がる。」
16/44

16.蓮野が可愛い。

「おいおいシンディー、冗談もいい加減にしてくれよ。あはっはっ」


「誰がシンディーよ。彼方、誤魔化さないで」


「…」


いかん。

動揺しすぎて海外の通販番組風に誤魔化してしまった。

動揺しすぎた俺はこんな風になるのかぁ…これは新発見だなぁ…ははは…。

って…嘘だろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!

え!?蓮野が、え?えええええええええええええええええ!?

これが動揺しすぎた人間の心情である。

いや、いやいやいや。落ち着けよ。泉彼方。

俺にこんな展開が訪れる事なんてないだろ、よく考えろよ。

そうそう、もう一度本人に聞けばいいじゃないか。

俺が口を開こうとした瞬間、その台詞を蓮野が予想してたと言わんばかりに塞いだ。


「言っておくけど、勘違いじゃないから、私、本気で彼方の事が好きなの」


「…」


蓮野さん…?顔が真っ赤ですよ?

おっと、俺の顔も温度が急上昇中ですねぇ。

おかしいなぁ…ニヤケも止まらない…てか、蓮野の顔見れない。

彼方は机とにらめっこ。余波は彼方のつむじをずっとじーっと見ている。

二人の間に不思議な空間が作られる。

そしてこの居心地の悪い空間を壊すように口を開いたのは蓮野だ。


「彼方…いきなりごめん…」


俺はその言葉に多少のくすぐったさがあるのに気付いた。

蓮野の今の表情が気になりすぎて顔を上げる。


「ッ…!」


そこには顔を左に逸らしてる蓮野の姿があった。

その顔はいつもの蓮野からはまったく感じない愛らしさがあった。

この時の蓮野を見て俺は初めて蓮野に対して可愛いと思った。

失礼な話だが許して欲しい。

蓮野はいつもは俺に対してはこんな表情はしないのだ。

いつもは無邪気な笑顔をただ見せてくれた。

そんな蓮野が、こんな表情をすれば可愛いと思うのは当然だろう。

蓮野は普通に見れば可愛いんだし…。

いつもは何とも思わない蓮野の顔を俺は無性に見たくなる。

綺麗に整えてることがよくわかるショートヘアー。

不快に思わない丁度いい金色に光る髪の毛。

リップが丁度よく塗られてる事が分かる唇。

少しつり目な茶色の瞳はとても綺麗だった。

程よく整った顔、それに加えやりすぎていないナチュラルメイクはその可愛さ、色気さをアップさせている。

スッピンでも十分可愛いと思うけどな…。


などと俺がジロジロと蓮野を観察していると…。


「彼方…」


蓮野が俺の顔へと視線が戻る。

俺は少しピクんと体が動く。


「な…なんだ?」


「返事はまだいい…」


蓮野はもじもじしながら答える。


「なんで…?」


「それは、いきなりすぎたからゆっくり考えて欲しいっていうか…」


「もしかして今日家に呼んだのって告白コレのため…?」


俺が恥を忍んで聞くと蓮野は無言で、こくりと頷いた。

やばい…俺今どんな顔してるかわかんねぇ…。

あ…後まだ一つ聞かなきゃ…。


彼方が口を開こうとしたがその前に余波が答えてくれた。


「返事は…夏休みに入る一日前…学校の屋上で…」


蓮野はこちらの顔を見ずに答える。

その時は、屋上…んなベタな…、とかそんな茶化す余裕すらなく「わかった…」と返事した。


その後はただの雑談…なんて出来る訳もなく俺は不自然に蓮野宅から逃げ、家へと帰った。

蓮野には、すぐそこまで送ろうか?、と聞かれたが断った。

正直こんな状態で話せる気がしない。

そして、俺はその日の帰り、スキップして帰った。

読んでくださりありがとうございます!

メインヒロインの不在が続いてますねぇ…。

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