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青春したいのに青春出来ない俺の日々。  作者: あだち りる
第一章「青春したいのに出来ない。」
12/44

12.やってやろうじゃねぇか。

「なぁ式ノ」


「なぁに?マイ下僕」


「そんな言葉はないから今後使わないように、で、どうやって入った?」


見たところ扉は閉まっている。

つまり侵入経路は扉ではない何処かだ。

無難な所は窓、だがそれは恐らくないだろう、ここは二階だ。

そんな長いハシゴは家にはなかったはず。

つまり、どうやって入ったかガチでわからないからめちゃくちゃ怖い。

しかもこの部屋の視界は俺の目にほとんど入ってる、その中で俺の後ろに立つとか…なに?伊賀と甲賀どっちの里の人なの?


などと俺が考えていた。

それが油断に繋がった。


「そんなことより!」


「うおぁ!」


式ノは突然と俺の両手を自らの両手で押さえ、押し倒した。

そして俺の腹の上で股がってる式ノ、馬乗り状態の完成である。

もしかして俺の前世って馬だったりしないか?


「あの~…式ノさん…?」


「なぁに~?」


俺が苦笑いをしながら式ノの名前を呼ぶとものすごく優しく声で答えられた。

不気味なレベルに、この女の思考回路をわかるやつがいたら教えてくれ頼むから。

俺はこいつの思考回路は理解が出来ないので、よし、ストレートで行こう。


「俺に何をするつもりでしょうか?」


食らえ、俺の魔球。

直球ドストレート質問。

まぁ、ただのストレートだけどな。

さぁて…どんな言葉が返ってくるのかなぁ…楽しみだなぁ…(遠い目


「もう彼方くんったら…決まってるでしょ…?」


「は…?」


蕩けるような声で答えてくれたと思ったら訳のわからない答えが返ってきたぞ?そんな、決まってるでしょ、何て言われても俺とこいつの間で決めたことなんて何一つない。


だがその答えは一瞬で理解した。

何故理解が出来たのか、それはこの光景を見てもらえばわかるであろう。


「っ…!!」


マウストゥマウス。

つまり、キスである。

それもかなりエグイの。

まさかの第四ラウンド突入とか…!!


「ッ!!」


何度も絡み合う舌。

垂れそうになるよだれ。

お互いの吐息が自分の鼓動のように聞こえる。

俺の唇と舌は式ノの唇と舌にもてあそばれている。

よだれがそのスパイスにでもなっているかのようだ。

だが…何故だろう…あの時とは何かが違う…初めての時と何かが。

胸に不思議な違和感。

あの時は何度もやめてくれと思った…けど、今は気持ち悪いとも…苦しいとも…思わない。

何て言うか…心地いいと言うか…気持ちいい。


彼方はその場の雰囲気に流されて行く。

キスをしながら彼方は自ら式ノをベッドに押し倒し、そして先程の式ノのように両手を使って式ノの両手を押さえキスをし続ける。

何度も、何度も。

体の温度が、頭が、段々と上がっているのがわかる。

お互いに唇を動かし、舌を動かし、たまにぶつかる歯と歯などまったく気にならない。

式ノの舌を彼方は吸うように唇で挟んだ。


「ほれ…き…きもひい…ひぃ…」


舌を彼方に吸われているせいで上手く聞き取れない、が、表情でわかる。

気持ちいい、と言っているのが。

そして再び舌を絡め合う二人。

互いにキスをしてからまだ十数秒しか立っていない。

だが二人にとってはとても長い時間に感じた。

まだ終わらないキス。

何度も触れ合う唇。

何度だって絡み合う舌。

くちゅくちゅ、と言う音。

吐息、と言うスパイス。

ポタリとたまに垂れるよだれ。


「…」


キスって…こんなんなんだ…

俺のファーストキスは既に失っている。

だが、俺は何故か初めてこれがキスなのだと実感した。

何故なのかはわからない。

ただその時はこう思った。

あぁ…もういいよ…好きにしてくれ、と。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

「はぁ…はぁ…」


二人の唇はやっと距離をおいた。

どれくらいたったかなんてわからない。

ただ今はお互いの吐息だけが混じり合う。

お互いの唇の周りはよだれだらけだ。

そのよだれを俺は目立たない程度に右手でふく。

式ノは舌を使って自分の唇の周りを一度ペロリと舐める。


「彼方くんの味だ…」


「何て顔で何てこと言ってんだ…」


式ノは今にも蕩けそうな顔をしている。

俺はと言うとただ顔が熱い。

これは何て言うんだろう…心地よい温かさと言うのだろうか…とにかくそんな感じだ。

そして、今更俺は気づく。


「ハッ…!!」


俺…とんでもない事をしたんじゃ…?


彼方はかくかく動きで式ノの方を振り向く。

そこにはニヤリと笑う式ノ。


「彼方くん…キス上手いんだね…」


「ッ!!」


やっちまったあぁぁぁぁぁあ!!!!

自分がやってしまった罪に今更気づいてしまった…


彼方は一気に正気に戻った。

その事に気づいたと言わんばかりに式ノは口を動かす。


「いや~彼方くんって場の雰囲気に流されやすいよねぇ…本当に…見てて飽きない」


ニコニコと笑う悪魔がそこにいた。


「まかさ…これもお前の作戦か…?」


「さぁ?どうでしょうね!」


あぁ…思い出す、この満面の笑み。

俺をいじめてたこいつ、あの、四年前の悲劇を。


「また四年前の続きをしようってか…?ふざけんなよ…」


俺がそう口を開くと式ノは何かを思い付いたかのように再び口を動かす。


「四年前の続き…いいわねそれ!」


「は…?」


「やりましょ!四年前の続きを…」


そう言った奴の姿と表情、それはこいつが俺を初めていじめのターゲットにしたときのそれと同じだった。

この日から再び始まる。

俺の青春の二文字が遠退く日々が。


そしてその後式ノはあっさりと家へと帰ってった。

日曜日は特になにもなく有意義と言える一日を過ごせた。

そして翌日の月曜日。

俺はいつも通り学校へと向かい、いつも通り教室へと入ってく。

窓側の一番後ろの一番左の席。

なかなかに気に入っているこの位置。

そしてその机を見ると、ボロボロだった。

この光景を俺は知っている。


「ッ!!」


ふと教室を見渡す。

俺は知っている、このざわつきとクスクスとたまに聞こえる笑い声を。

あの三年間の悲劇の開幕を。


「続きって…こう言う事かよ…」


昔の俺なら泣き叫んでたかも知れないな。

けどな、式ノ、言っとくがもう俺はガキの頃とは違う。


「ッ!!」


彼方は思いっきりそのボロい机を右手でぶん殴る。


「ッ…!?」


その姿を見ていたクラスメイト達は少し驚く。

だが、その驚ろきにはもう一つ理由がある。

それは、彼方の口元が笑っていたと言うことだ。


「上等だよ…やってやろうじゃねぇか…続きをな…」


あの訳のわからねぇクソ女にいじめられっ子だった俺が復讐…ね。

なかなかに面白いシナリオじゃねぇか。

じゃあ始めようぜ。

悲劇と喜劇が混じり合う物語を。

読んでくださりありがとうございます!!

第一章「青春したいのに出来ない。」はこれにて終了になります。

お次は第二章「いじめられっ子の復讐は青春に繋がる。」

から始まります!ここからがやっと本番と言ったところでしょうか。

この章からは、神無月式ノ、泉 彼方、がメインになります。

いじめっ子だった式ノといじめられっ子だった彼方。

二人の悲劇と喜劇混ざり合う劇が開幕致します。

二章からは少々コメディが少なめかも知れませんが決して鬱にはさせません!!楽しくもスカッとするような、だがたまに悩ませるような…そんな章にしていきたいと思います!!

これからも、青春したいのに青春出来ない俺の日々。をこの先も読んでいただければ嬉しいです!!よろしくお願いします!!

結局どうやって…部屋に入ったんだろう…

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