出逢い
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季節は冬。
全ての、生きとし生けるものが、ゆっくりとその体を休める季節。
それは、人間も例外ではなく、この季節には、比較的のんびりと毎日を過ごしている。
時間など自らを縛る鎖にしかすぎない。
けれど、そんな忌まわしい鎖がなければ、誰かと笑い合うことさえできないというのだから、私たちは愚かしい。
自らを縛り、制限して、そしてやっと誰かと繋がりあえる。
なんて私たちは不自由なんだろう。
私たちは、なんて虚しい生き物なんだろう。
ふう、と吐いた溜息が、白く染まった。
そこで、あなたに会った。
惹きつけられた。
その姿に。その横顔に。
白い、時を止めたような街に、浮かびあがる黒い髪。
かみしめた唇。ひそめた眉。
あの、と私は呼びかけた。
「綺麗な髪をしていますね」
そう言うと、彼は笑って言った。
「…。ナンパしてるの?」
返す言葉が見つからなかった。
だって、私がしているのはそういうこと。
たぶん、と答えると、彼はくすくすと笑った。
***
今思えば、それが全ての始まり。
けれど、ここで私がちゃんと選べていたなら。
綺麗な気持ちであなたを思えていたなら。
もしかしたら、今もあなたは傍で笑っていたのかもしれなかった。
―いや。
傍じゃなくても。
私以外の誰かと、笑ってこの世界で過ごせていたのかもしれなかった。
ごめんなさい。ごめんなさい。
謝りたいけれど理由をうまく言えません。
理由なんて、いっぱいありすぎて。
縛り付けてごめんなさい。
自分勝手でごめんなさい。
今までごめんなさい。
今、ごめんなさい。
けれどもう止まれない。
どんなに謝っても、もう、どうにもならない。
だから。
どうか、次の世界では私に見つからないでください。
どうか、次の世界では私を遠ざけてください。
私から逃げてください。
お願いです。どうか、私に殺されないでください。
私から、逃げてください。
逃げてください。
逃げてください。
逃げてください。
にげてください。
にげてください。
にげてください。
―逃げてください。
どうかどうか、私に捕まらないでください。
そして、幸せになってください。
私には、たぶん無理ですから。