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さざめき  作者: min
第五章 そして終焉に向かう
29/34

素がポーカーフェイスってどう思う?

 ふわふわと、彼女はただ可愛らしい。

 彼女はきっと意識していない。けれど可愛らしい。その事実が見る者に安堵と幸福と嫉妬と羨望を植え付ける。


 …よし。


 彼女を観察してみる事にしよう。


 ***


 なんだかよく分からない感情。けれど、それは生まれる前から自身の内に巣食っていたように思える。


 ―絶対的な孤独。


 いつも、…たとえ周りの人々全てに愛されようとも決して満たされないこの胸の隙間。

 不可解。だがしかし同時に、確かな、…確かすぎる感情。

 寂しい、というかなんというか。

 それはやっぱり絶望で、この胸はいつも凍えている。


 そう言えばきっとロマンチストだと笑われるだろうけど、実際自身はかなりの夢想家だと思う。同時にかなりの現実主義者でもある。だから自身さえ分からない。混沌の渦にただただ巻き込まれるだけで、抜けだす術も抗う術も流れに身を任せる術も知らない。みっともなく溺れているだけだ。

 別に彼女にむける笑顔だけが偽物という訳ではなかった。不特定多数の大多数の人間にはそういう顔を向けることしかできなかった。というより、全ての人類に、素顔をさらすことができなかった。むしろ素顔というモノが存在すること自体謎だった。作りものだという事が解っているのだから素顔もあるのだろうけれど、自身はその「素顔」をつくっている。だとしたら、「素顔」はどこにあるのだろうか?

 ―これはもはや人間として成立しているのだろうか?

 それさえ危うい位置。俺は一体どうしたいのだろうか。


 そんな疑問を抱えつつ。

 生きていること自体に間違ってる感を否めないまま、


 ―俺は生きている。



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