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初仕事


 その後、公都には無事到着した。

 盗賊達は門で衛兵に説明しレダさんが騎士団に同行、尋問の後情報と報酬を貰えるようだ。

 俺の取り分となる盗賊五人の装備品と所持品は特に欲しい物も無かったので全てケルマさんへ売却し小金貨三枚という事になった。

 盗賊の所持金と合わせると小金貨五枚と銀貨八枚、小銀貨26枚、銅貨42枚、小銅貨67枚、賤貨319枚になった、硬貨だらけで大変だ。

 バトルホース7頭は内二頭は自分用に、五頭は売却する事にした。

 通常に購入すると一頭金貨50枚はするらしい、維持費は年金貨一枚程度で済むらしいので必要になるまでケルマさんの商会預かりという事で勧められるまま二頭は確保しておいた。

 売却価格は五頭中二頭はケルマさんが自分の馬車用にとの事だったので金貨30枚で二頭、残り三頭は金貨45枚で売却、最終的にこの三頭と護衛三人の権利分の三頭は公爵騎士団に購入されたそうだ。

 つまり俺は今回の一件で、金貨195枚、小金貨5枚と銀貨8枚、小銀貨26枚、銅貨42枚、小銅貨67枚、賤貨319枚を手にいれた事になる。

 どうしよう?庶民的な暮らしなら何十年か仕事しなくても生きていける資金を手にいれてしまった。

 しかもまだ盗賊達の売却金と報償金は含まれていない。

 まぁお金は幾らあっても困る事もないしな…取り敢えず考えない事にした。

 商業ギルドへの登録もケルマさんの口添えがあり、トラブる事もなく完了した。

 一応何でも出来る様に、商業、生産業、傭兵部門、探索部門、下請け部門の全部門に登録した、これで公都公認の商人であり職人であり、傭兵であり探索者でもある。

 肩書き多すぎだろ…。

 ギルドで宿を紹介して貰い、宿の前でケルマさん達とは別れた、盗賊の件が片付いたら連絡してくれるらしい。

 そして明けて翌日、俺は迷宮に挑む為、公都北端の迷宮入り口前に来ている。


 「うはッすっげぇー人」


 思わず漏れる感嘆の声、迷宮入り口前には騎士団の出張所があり中に入る探索者のギルドカードを確認して何やら紙に記入して送り出している。

 しばらく並んで待つと漸く俺の番になった。


 「ギルドカードを提示して下さい……名前はクロウで間違いないですか?」

 「はい」

 「えっと、パーティーは他に誰も居ないのですか?武器も携帯しておられないようですが?」

 「一応魔操術が使えるので、メンバーは居ません、一人だと不味いですか?」

 「いえ迷宮内は自己責任ですから、ですが一人では危険ですのであまり奥には行かない方が良いですね」

 「わかりました、今日は様子見なので入り口近くから離れない様にします」

 「それが良いでしょう、はい、手続き完了です」

 「どうも」


 入り口ではこんなやり取りがあった、自己責任か…命懸けの仕事だしな、まぁ俺はホントに見学しにきただけなんで、危なそうなら頑張って全力で逃げるけどなっ!


 入り口は石造りの大きな檻のような…いや正しく檻なのだろう部屋の中にあった。

 入り口は部屋の中央に岩があり、その岩の表面に黒々とした扉のような空間が口を開けていた。

 檻の外には完全装備の騎士が二名常に見張っていて重苦しい空気が漂っていた。


 「これが迷宮の入り口か…」

 「迷宮は初めてですか?」

 「えっ!?…あっはい、昨日登録したので…」


 騎士さんに話し掛けられると思って無かったからキョドってしまった。


 「そうでしたか、一層の通路ならキャタピラーしか出ませんから部屋の中に入らなければそんなに危険じゃないですよ」

 「?…出てくる魔物って決まってるんですか?」

 「ええ、迷宮によって特色は違いますけどね?この迷宮は虫系の形態ですね」

 「そうですか…ありがとうございます、気をつけて行って来ます」

 「ええ、頑張って下さい」


 そっかー虫かぁ…ただでさえ無いやる気が、益々無くなっていくよ…って考えながら迷宮に足を踏み入れた。


 迷宮は普通に石造りの通路だった。

 確かどちらかの手をついた状態で進むのが初歩的な迷宮の攻略法だったっけかな?

 取り敢えず入ってきた所に出口がキチンと存在する事を確認して、左側の壁に沿って歩く。

 すると暫く歩いた先に大きな影が見える。


 「キャタピラー(芋虫)…か、確かにそんな感じだな?」


 前方10m程先の通路をモソモソと動いている姿が見える。

 体長は2mはあるか?太さも50㎝は確実にあるだろう巨大な芋虫に似た魔物がその存在感を放っていた。


 「う~気持ち悪いな、まさかこんなのばっかか?」


 取り敢えず俺はこのキャタピラーがどんな攻撃をしてくるか様子を見る事にした。

 錬気術を展開し身体能力を高め、キャタピラーの様子をジッと伺う。


 ・

 ・・

 ・・・

 「だぁーッ遅いわっ!」

 キャタピラーはモソモソと体をくねらせ進んでくるが、俺に気付いて向かって来ているのだろうが………その移動は致命的な迄に遅すぎた。

 仕方がないので自分から近付く事にする、ジリジリと摺り足で何時でも回避行動を取れるように近付いて行くと、彼我の距離が残り2mを切った所でキャタピラーの動きに変化が生じる。

 頭部を持ち上げ口を開き…刹那、俺は斜線をズラす様に身を傾けながらキャタピラーの横にステップする。

 プシューーと炭酸飲料のプルタブを開けた時に似た音を出し開いた口から広範囲に糸を吐くキャタピラー。


 「なるほどね、芋虫らしい攻撃だわ」


 獲物が掛からなかった事に気付いたのだろう、糸を吐くのを止め頭を此方に向けようとしてくるキャタピラーを、俺は横から蹴り飛ばす。

 身体能力の上がった俺の蹴りはキャタピラーを吹き飛ばし迷宮の壁に叩きつけた。

 ビシャッ…っと言う嫌な音をたててその身を潰し体液を壁に撒き散らしたキャタピラーは暫くすると、その死体と周りに飛び散った体液や破片と共に淡く光だし、そのまま光る粒子となって迷宮の中に消えていった。


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