友達
早くも入学から三日が過ぎた。
まだクラス中はギクシャクしてはいるが明らかに先日の雰囲気とは違っていた。
だんだんと一人一人が溶け込みはじめてきているようだ。
あと数週間もすれば何処にでもいる陽気なクラスの出来上がりだ。
「でさーそのゲーセンですごい奴がいたわけよ、そいつがよ」
有難くも休み時間に突入すると同時に高橋が俺前の空いた席に座り世間話をし始める。
入学式から今日までずっとこうだ。
「あのさー高橋」
「ん?どした?」
高橋はなんてことない表情で返事する。
何もわかってないようだ。
「毎回時間開くと来てくれるのは有難いんだけど、俺とお前は一応もう友達だろ。ずっとこうしてたら俺たち二人だけ孤立するぞ。周りはもう新しい友達作りあってんぞ?てかお前サングラスしてるせいで誰も近づかないぞ!」
若干強めの口調で言う、そもそも中学時代もずっと俺ら二人でいたのが原因だ。
普通に周りと溶け込むなら元々知ってる友達とばっか話してても意味がない。
高橋はそれをきいてぽかんと口を開けていた。
サングラスのせいで余計何を考えてるのかわからない。
「あー、つまり、俺とだけ話してても新たな友達できないってことね?」
下を向いていたが納得したようで聞いてくる。
「そういうこと、だから、普通に他の人とm…」
「いやそれなら大丈夫だろ。」
高橋が声をかぶせくる、相変わらずだ。
「おーい、木村と向井ー!ちょっと来てよー」
つっこむ間もなく後ろを振り向き、その方向で雑談してるグループにむかって指をクイクイッと引き始める。
すると呼ばれた名前の人物であろう男女二人がこちらへやって来た。
「なんだよ高橋その偉そうな呼び方はー」
半ば面倒臭そうに男の方が言ってくる
二人とも近くにある椅子をこちらへ引き寄せ、座る。
「いや、お二人に俺のマブダチを紹介したいと思ってね!すごいいい奴なんだよ、三神って名前なんだ、よろしくしてあげてね!」
いきなりの急展開の紹介で若干焦りつつあるがここで返事しないのもおかしい。
「ああ、どうも、言われたとおり三神だよ、ヨよろしく」
と何気なく紹介に預かる。
「へぇ三神くんね。俺は向井ね、これからよろしく」
向井は変に気取ることもなく無邪気な笑顔を見せてその挨拶を決めた
これがクラスの中心にいそうなタイプなのが見てわかる。
「私は木村茜です。よろしくね。」
もう一人挨拶してくれたこちらの女の子はセミロングにメガネの大人しそうな感じの子だった」
「お、おう、よろしく」
予期せぬ絡みに多少戸惑ってしまった助信。
「おーい、二人とも!話のとちゅー!」
二人が先ほどいたグループに呼び出しがかかってしまったらしくそそくさと席に戻る。
」
「またね」
「またな」
「おう。。」
まるで通り雨のように過ぎ去って行った。。
「な?そういうことだよ助信」
高橋がサングラス越しでもわかるような自慢顔をして見せる。
「そういうことってどういうことだよ……元々知り合いだったのか?」
「いや、昨日できた」
即答してきた。
昨日っていえば高橋は登校から下校まで適当な話をしながらずっと一緒にいたはずだ。
一体いつ俺の見てないところで友達なんて作る暇があったんだ。
不思議なやつだ。
「あーそーか。」
不思議なことはサングラスの時点で理解してる。
考えるのをやめた。
「そーういうことだわ、だから別に友達作りにそう焦らなくたって大丈夫だわ!俺ができた友達すぐ紹介してあげるから!」
そういうと助信の方をポンポンと叩いて見せた。
まぁそうだな。
別にそうお友達作りに急ぐ必要もないか。
中学生でもあるまいし自然にできてくのを待つか。。
高橋のノーテンキさを見ていたらなんかバカバカしくなってしたので、明日からもかわらずこのグラサンの高橋と一緒にいることにしよう。