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とある…

とある伯爵の……

作者: 七海魔琴

とても短いです。意味はなく前章的なもでもありません。それでもよい方はどうぞ先へ進んでください。

一応、とある転生者の……のつづきになります。

「皆の賛同を得たことにより、フィリップ・リスティア・カーディナルを新たにカーディナル伯爵家の後継者と定める。……めでたいことだ」


そう、私が宣言すると参加者がわっと喝采に沸いた。そのときである。空が光り、雲が立ち込め、立ち込めた雲が割れて光りが舞い降りてきた。

これは神が光臨する現象でもある。かつて世界では幾度か神の降臨が目撃されている。このような人が多い場に光臨するのは珍しいことだ。


「……このような吉日に神様が御光臨なされるとは、フィリップ様の後継者就任を神様が祝福されているかのようだ」


参加者の誰かがそうもらす。まさにその通りだろう。『フィリップは祝福されているのだ、あのセイルとは違うのだ』と我々に再確認させた……


光臨したのは2柱で男神と女神のようだった。だが何処か様子がおかしい。女神はさめざめと泣いていて ……男神の方は怒気を発していた。





『あの者か? お前が才能を賦与したのは……』



厳かな声が周囲に響き渡る。男神の指はフィリップを指し示していてその問いかけに女神がうなずいて肯定する。

現状が把握されないまま、ざわめきが起こる。そんな中、男神の声が再度、響き渡った。



『ならばその【才】は、本来の形に戻す。よいな?』



そう声が聞こえると、再度女神はうなずき肯定する。それと同時にフィリップの体が発光し体から4つの光球が抜け出し男神の手元に飛びんでいく。

光球が手元に来ると、そのまま男神は女神を引きずるように2柱は空へと消えていった……





「……なんだったのだ、今のは?」


神の光臨もさることながらだがあの女神は神殿の壁画などで見た【愛情の女神】によく似た容姿だったように思える。男神は見たことがなかったが……

いまだ周囲はざわめいていて騒がしい、そんな中、フィリップの体から光る球が飛び出したことに思い至る。


「それよりもフィリップ。 お前、大丈夫なのか?」

「なにがでしょうか? 父上」

「お前の体から光る球が飛び出しただろう? 何か異変は感じられないか?」


そう問いかけると少し思案顔になったが、何事もなかったかのようにフィリップは「特に変わりはないのですが……」とだけ答えた。

その言葉にそう大したことはなかったのだろうと思い直し、この話題はそこで途切れさせた。ただその後このことを私は深く後悔することとなった……







正直に今私は後悔している。あの、神が光臨した時よりフィリップは変わった……以前よりダメになったのだ……

もともとそのあふれんばかりの才能で魔法も剣術も行っていたフィリップはその才能が失われたことで人間的なダメさが目に付くようになったからだ。


才能をなくし、努力をしないフィリップは以前のように振舞った。その結果なくなった才能が発覚した……剣…いや戦いの才能、それに魔法の才能だ。

以前と違い、剣を振れば剣に振り回されるようになった。魔力が必要な魔法を使えば魔力切れを起こし、精密な操作が必要な魔法なら魔法を暴走させたのだ。

それを知った私は、以前のように行動することを禁じ努力をしろといったのだが、まったく聞く耳を持たなかった。

それよりも、以前と違い私を疎んじるようになったといえる。実際、後継者選定から数年で妹は他家へ嫁ぎ、私は引退を余儀なくされてしまった。


セイルは努力家だった。才能はなくとも皆に認められようと努力をしていた。しかし、フィリップにはそれがなかった。努力などせずともよかったからだ。

運もよかった。結果だけいいとこ取りしたのだろうと思えるほどいくつもの事件を解決に導いていた。実際はいいとこ取りをしただけだったのだろうと今なら思う……

フィリップが行った献策も他の誰かが考えたものだったのだろう。1度は私の声で行われていたことも、フィリップが当主になってから上手く回らなくなったようだ。

『これならやはりセイルのほうがよかったのではないか?』と最近ではつくづく思う。親族には味方はいなかったが、平民や身分の低いものにセイルは人気があったからだ。

有能な者を補佐につければセイルのほうが自分が無能だとわかっている分だけ周囲と摩擦を起こさずにすんだだろうとつくづく感じている。


逆にセイルは、伯爵家を出てからその才能を発揮したのかいろいろな噂を聞くようになった。確実性の高いものから眉唾なものまで多岐にわたる。

これならば本当にセイルのがよかったと後悔したことの方が多い。


そんなことを考えていると、執事が来客を継げた。娘から手紙を言付かった冒険者らしく、本人への手渡しと確認を言われているらしく私にしか渡せないという。

そうして、私は娘から要件を受け入れるためその冒険者を自室に迎え入れた……

読んでくださりありがとうございました。

まだ何羽か構想はありますが、あくまで連載はしない方向です。

それではありがとうございました。

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