転生先は....
それは、突然でした。
全世界の公共電波がジャックされ、自称
"神"と名乗る人がこの世界の管理を終了すると言い放つ。
これが、世界の終わりかと私は酷く喜びました。
何せ、私はこの世界が嫌いでしたから。
でも、周りの人たちは違いました。
これは、全世界に向けたテロだと言い張り、躍起になって自称"神"を探しました。
でも、見つかりませんでした。
そして、今時刻は23:55です。
もう少しで世界が終わります。
そう、この世界での私の人生は今、終わります。
願わくば、次の世界へいけますように......。
お母さん、お父さんさようなら。
私は自分の喉元に包丁を突き立てます。
そして、視界がかすみ、意識が途切れました。
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「おはようございます。結城紬さん。」
「うぅ......えっ!」
死んだはずの私が目を覚ますとそこには、美人さんがいました。
「フフッ♪ 紬さん。私が、神です。そして、おめでとうございます。貴女は次の世界に転生する権利を与えられました。」
「え?選ばれたんですか?私が?」
「ええ。」
驚きました。
選ばれるとは思っていなかったから。
神は続ける。
「紬さん。貴女は生きたい世界に行くことが出来ます。何か生きたい世界があれば言ってください。」
「......は、はぁ?」
突然のことで余り頭が回っていなかった。
だが、かろうじて反応出来たのは多少なりと冷静でいれたからだろう。
「どうしましたか?」
考えこんでいて難しい顔をしていたのを心配した神が声をかける。
「先程の説明では少々わかりづらかったでしょうか?
まあ、言い直しますと。紬さんは世界を想像する。そして私は世界を創造する。要するに、紬さんには世界の発案者になって頂き。また、その世界で生をなしてもらう。という感じです。」
ようやくここで私は理解した。
私は私の望む世界を神に伝えれば良いのだと。
じゃあ、何を望もうか。
昔、夢見ていた世界は..........
「見つかりましたか?」
「ええ。」
見つかったと伝え、生きたい世界を告げる。
「私は魔法の使えるファンタジーの世界に行きたいです。」
「魔法......ファンタジー........へぇ。分かりました。その世界でいいのですね?」
「はい。」
当然異論はない私の思い描く私の望んだ世界なのだから。
神は頷くと準備があると言って消えていった。
私は転生先の世界に思いを馳せていた。
「準備が終わりましたよ。」
唐突な声に現実へと戻される。
「そうですか。」
「はい。では、最後になりますが私からの餞別ですが、私の力の源である百八つの神器の内の一つを貴女の体内に宿して差し上げます。今から行く世界では役に立つはずです。」
そう言って神様は、白く発光しているオーブを私の胸の辺りにかざす。
すると、それは私の中へと吸い込まれるように入ってきた。
「なんだか良く分からないですけど、有り難うございます。」
「いいのですよ。では。」
私は神に指示され、魔法陣の中に立つ。
神は、何事か呪詛を告げ私を見る。
「最後に、疑問などはありますか?」
魔法陣が光を放ち私の体が足元からゆっくりと消えてゆく。
私は神と対話する最後に機会だと、何故私を新たな世界へ招待したのかと問う。
すると、神は楽しそうに答えた。
「だって、新しい世界に一人だけでも、別の世界の知識を持ったり、強い力を持っているイレギュラーな存在がいないと世界を観測しているだけの私には退屈すぎるんだもの。だから、よ。」
ふぅん、と一言いうと私は完全に神の前から姿を消した。
そして、私は新たな世界で新たな母親から産み落とされた。