どう考えても変態です
その後1時間くらいで解放された私は、また転送部屋へと来ていた。
そこにアイリスの姿は無く、私とローブだけが魔法陣の上に居る。
「ねぇ、アンタって実は偉い人?」
「何だ急に……」
「いやいや、王様っぽいジジイと親子だって言う話じゃん?」
「王をジジイ呼ばわりとは……お前に常識と言うモノは無いのか?」
ああ、やっぱりあの人王様だったんだ。
って事はコイツ王子様?
別の奴が王を継ぐとか言ってたけど、まさかね。
まあ、もう会う事も無いし、王様の事はジジイと呼ぼうがクソジジイと呼ぼうが関係ないしね~。
「で、アンタって偉い人? ってか名前も聞いて無かったね。私は村雨沙耶」
「ムラサメサヤ? 珍しい名前だな」
「あ、こっち風に名乗るなら、サヤ=ムラサメかな? 沙耶が個人名で、村雨が家族の名前って感じ?」
「この国の人間ではないのか?」という質問に、「たぶんこの世界の人でもないっぽいんだよね~」とか答えられるはずも無く、無難に「そうだよ~」と答えておく。
その後は何事も無く目的の階(?)に付いたらしく、ローブが部屋を出て行くのに付いて行く。
そろそろそのローブを取ったらどうだ、私は素顔すら見た事が無い。
ってか私名乗ったのにローブ結局名乗らんかったし…………
部屋を出るとまた違った場所らしく、窓の外を見れば上には今まで居た城が見えた。
結構高さもあるらしく、下には幾つもの浮き島がある。
どうして偉い人は高い所に住みたがるんだろうか。
見降ろしながら「見ろ! 人が○○の様だ!!」とかやっているんだろうか?
それともバカなの? 煙と一緒に高い所に登りたいの?
魔法陣がある建物を出て、そこからちょっと行った所に在る建物へと入って行くローブ。
もちろん私も付いて行く。
離れ過ぎると、またあの苦痛が私を襲うだろし、逃げ場も無いしね。
建物、結構立派な洋館入ったローブは、やっとそのローブを脱ぎ捨てた。
「「「「お帰りなさいませ、ご主人様」」」」
そして何処からともなく、メイド勢の挨拶が――――
「へ、変態だ」(ボソ)
「そこ! これは俺の趣味じゃないからな、勘違いするな」
だってメイドに御主人様とか呼ばれて悦んで、もとい喜んでいるような人種って変態以外になんと呼べば………変態紳士か!
ってか初めてローブの素顔見たかも。
普通だった、地味、さっきの王様に似て………は居ないな。
金髪ショート、よく見かける。
碧眼、テンプレですね、分かります。
身長も普通、体格も普通。
結論、平凡。
「大体、此処に居る奴らはお前と同じ奴隷だ」
やっぱり変態だ!!!
逃げ出そうとしたのに、あっさりと捕縛される。
「待て待て待て! 何か勘違いしてないか? こいつらは全員商品だ、これから始まる祭りでのな」
ああ、なるほど。
そして私も売られるんですね。
でもやっぱり変態ですよね。本当にありがとうございました。