表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奴隷少女は規格外  作者: 猫師匠
奴隷生活編 ~奴隷として売られました~
57/59

久我の血




 真暗い川を渡る船に乗ってる。


 此処は何処、私は誰?


 うん、前にも言った気がする。反省も後悔もしていない。


 だたし―――



「呆気無かったなぁ」



 前とは違って状況が分かる。


 勇者に負けたんだ。


 死んだか、危篤状態か………


 こっちの世界にも三途の川ってあるんだね、初めて知ったよ。



「お客さん、何処から?」


「ああ、案内さん。私異世界から来ました」



 船尾に居る黒い人が声を掛けてきた。


 結構フランクだけど、行く先は地獄以外に在るのだろうか、凄く気になる。



「へぇ~、それはまた奇特な所から来ましたね~」


「ところで爺さん? 婆さん?」



 何か六文もって無いと身包み剥がされるって聞いた事ある。


 ちなみに765円しか持って無い。


 千円でポテチとコーラ買ったからそれしか残って無いんだよ。


 足りるかな? ってか六文って幾ら?



「お客さん意外と落ち着いてるねぇ」


「覚悟はしていたからね」



 人間死ぬ時は死ぬものだ。


 それが病気でも、寿命でも事故でも、意外と呆気無く死ぬ。


 私は勇者に逢って殺された、それだけの話。



「まあいいや、ボクには関係ない事だし」



 あれ?


 個の声どっかで聞いた事ある気がする。



「そろそろ現状を認識してくれ、君はまだ死んじゃいないし、あんな雑魚に殺されるなんてボクが許さないよ」



 案内さんだったと思っていた人の方を振り返る。


 其処には、私が居た。


 うん、どう見ても私。


 年齢が18歳くらい。


 黒髪、腰まで届くロング、ツリ眼、ツルペタ、童顔。


 まるで鏡を見ているようだったが、あちらの服装は黒い作務衣だ。


 これだけは言っておこう、私に双子の姉妹とかは居なかった。


 景色も真暗い川から漆黒の空間に切り替わる。


 その空間に茫然と立ち尽くす私と、座る様に浮いている私が居る。


 何これ怖い。



「自己紹介からしようか、ボクは君、または本能、それ以外だと君達が言う『久我の血』って奴だよ」


「今まで惰眠をむさぼってた癖に、今更その本能さんが何の用?」


「本能さんか、悪くは無いんだけど不便だね」



 少し考える素振りを見せる本能。



ボクの事はそうだな…………。やいばとでも呼んでよ」



 ああ、私が沙耶だから刃ね。


 分かりやすい。


 それ考えると柄とか鍔とかも居るんだろうか?


 居ないといいな………



「今回はボクが相手するけど、次からはこれくらい倒しちゃってよね」


「刃は私の意識乗っ取る気とか無いの?」


「え? ああ、ボクの本質は怠惰、面倒な事はやりたくないんだよ」



 怠惰って………それで良いのか久我の血。


 まあ、長年の謎も解けたのは良いけど、ちょっと知りたくなかった真実だよ。


 私が血に目覚めなかったのってほんのうが怠惰だった所為か。



「暇だし、勇者との戦闘でも見る?」


「え、見れるの?」



 なら今表で戦ってるのって誰よ。



ボクは本能だからね、態々思考しなくても闘うぐらい訳無いよ」



 私の思考を読まないで欲しい。


 今居るのが精神世界的な所ならそりゃ思考ぐらい読まれても仕方ないかもしれないけど、そこはプライバシー的にね。



「あっちに特設会場が在るから、そっちへ行こう」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ