物理法則完全無視
逃げるのもころ……傷つけるのもダメらしいので、大人しく連れて行かれることにする。
長いモノには巻かれろ。これ大事。
「でね、その子が―――」
「そんな事あるんですか!?」
ええ、大人しくしてますよ。
「やっぱり男ってダメよね!」
「そんな事ありませんよ。フィンはちょっと頼りない所ありますけど」
「なになに、彼氏? アイリスちゃん可愛い~」
「や、彼氏とかでは無く―――」
顔が真っ赤に染まるアイリスちゃん。マジで可愛い、食べちゃいたい。
「大人しくしてろ!」
怒られた………
十分大人しくしてるんだけどなぁ、姦しいだけで。
「もうすぐ王都だ、静かにしていろ」
捕まってから1週間(たぶん)がたった。
その間に随分とアイリスちゃんとは仲良くなれたと思う。
移動距離的には長かったのか短かったのかはよく分からん。
山道とか森とか結構曲がったりうねうねしたり、たぶん自動車で移動すれば1日走ればいい位の距離だと予想。
馬車の窓から顔を出して外を見る。
いつの間にか森を抜け、草原の道を走っていたので、その姿は一目で確認できた。
でかい………城?
「うわ~ ホントに日本……ってか地球でも無いぽいなぁ~」
城の周りに大地が浮いて存在していて、そこにも城やら家やらが確認できる。
物理法則完全無視。
そして私のボキャブラリーの少なさに絶望した。
城とか家とか馬鹿か私は、もっとこう、なんて言うのかな………パル○ノン神殿の様な荘厳さとか、いや、パルテ○ン神殿なんて見た事も無いけど。
比喩表現さえ出てこねぇ……
最低でも和風の城じゃなく、西洋風の城だとは言っておく。
「ねえ! どれが王都?」
数えきれないほどの浮き島(?)が有り、城も見えるだけで5つはある。
「アレ全てが王都だ。一番上に在るのが王城、その下に1級貴族たち、次いで2級貴族、3級貴族、学園区画と在り、地上には平民や商人、兵や騎士、文官も下だったかも知れん。まあ、幅広く住んでる筈だ」
なるほど、文字通りの城下町って感じだね。
アイリスから聞いた話とかをまとめるとこうなる。
上に昇るに従って偉い人が住んでる。
人がいっぱい。
神子様とか住んでるらしい。
聖女とかいるらしい。
アイリスちゃんの胸は大きい。
今年で16歳。
私より2つ……いえ、1つ下でこのマシュマロメロンとは………侮れん。
王都の説明じゃない?
どーせ、私には縁の無い所ですから。
アイリスちゃんを依頼主に―――黒いローブの人も雇われただけらしい―――届けてから、私はどっかに売られるらしい。
まあ、奴隷制度も想像していたよりも酷くは無いらしく、馬車馬よりは良い生活が出来るらしい。
ごめんよ馬車馬さん。私、幸せになるからね。
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