枚数にすれば16枚
魔法の練習は日々欠かさず、本と睨めっこが続く毎日。
遂にコップ一杯の水を発生させることに成功しました!
家事の合間に練習してるからあんまり時間も無いしね。
あ、免許?
バレない罪は罰を受けない。
これ世間の常識よ。
大きな家の家事をこなして行く事にも慣れて来たよ。
そして今日は絶好の布団干し日和。
「よし、今日は布団を干そう!」
「ワタシも手伝います」
サラちゃんとも随分仲良くなった気がする。
ラミアさんのペースには未だに慣れないけど。
「サラちゃん、ありがとう! まずは布団を運ぼうか」
「はい!」
家中の布団をロビーへとかき集めて行く。
とは言っても、使用している布団は4組。
お客様用や予備を含めても計8組。
枚数にすれば16枚。
数字で見ると意外と多い気がする………
ま、軽い羽毛布団(何の羽毛かは知らない)は2枚3枚といっきに運んでいけるので15分程で家中の布団を集める事に成功。
サラちゃんの手伝いもあって意外と速く済んだな。
集めた布団は庭に作った簡易干し竿に掛けたり、梯子を使って屋根の上に運んで行く。
サラちゃんが屋根の上に上がりたそうにしているが、屋根の上は危険なのでサラちゃんを上がらせる訳にはいかない。
落ちたりしたら骨折じゃ済まないんだよ。
しかし、いい眺めだな。
住宅街と言う事もあってか、屋根の上からの見晴らしはそこそこ良い。
天気もいいし、お昼寝したいなあ。
『寝ちまえよ。布団だってすぐ傍に在るじゃないか』
(悪魔の囁き、でもサラちゃんも手伝ってくれてるのに………)
『サラちゃんと一緒に寝ればいいじゃないですか』
(おっと、天使のキミは普通止める側じゃないのかい?)
『眠い、寝よう、布団ふかふか、天気最高』
(くっ……… 睡魔軍まで来るなんて)
「サヤお姉ちゃん、これが最後の布団だよ~!!」
下からサラちゃんの声が聞こえる。
『サラチャンを呼べば一緒にお昼寝だぜ~』
『いちゃいちゃしながらお昼寝………最高じゃないですか!』
『ネヨウ、ネヨウ、ネヨウ』
(おおう、お前ら一斉攻撃か、でもそんな誘惑に私は負けないんだ!)
「サヤお姉ちゃん?」
心配そうな声に、天使や悪魔、睡魔の誘惑を振り切って応える。