何その設定
迂闊だった。
5人しかいないと思い込んでいた。
感が鈍ったかな? 最近鍛錬とかしてなかったからなぁ………
現在馬車の中。移送……もとい、移動中。
奴隷商人らしい男たちは、人数が減って3人。
私の隣には金髪美少女こと、アイリスがちょこんと座っている。
身長は160くらい、結構な美人さん、長いふわふわの金髪最高!
「あの、わたしの所為で………」
ああ、アイリスは悪くないの! だからそんな悲しい顔は見せないで!
「大丈夫、お姉さん強いから、何時でも逃げ出せるわ!」
「逃げ出そうと思っているなら止めておけ」
馬車を運転していた男から声が掛かる。
全身を包む黒いローブ。ハッキリ言って趣味が悪い。
「どういう意味よ」
「左手に奴隷の刻印を押させてもらった。逃げだせば命は無いぞ。もちろん、歯向かってもな」
何それと左手を確認して見れば、何やら黒い刺青の様なモノが。
乙女のやわ肌に何してくれとんじゃ!!
「その刻印は契約主、今は俺になっているが、その契約主から一定距離を離れると激しい苦痛を与えるように設定してある。そして契約主が命を落とせば刻印を持っているお前も死ぬ」
何その設定………
「悪いとも思って無いが、お前にはアイリスの人質になって貰おう」
だから、何、その設定。
設定じゃなかった………
何あの苦痛。
男共が川で水浴び………まて、これは誰得だよ。
まあいい、その隙に目を盗んで逃げようと思ったんだけど、たぶん300メートルくらい離れた所で圧迫される様な不快感が私を襲った。
これぐらいなら大丈夫と判断した私は、そこからさらに100メートルほど歩いて行動不能になった。
全方位から圧迫される様な不快感。
脳ミソをかき回さる様な頭痛。
体内をグチャグチャにされる様な痛み。
苦痛はローブに回収されてからも30分ほど続き、私はその日一日を硬い馬車の床で過ごす事になった。
その前もその後も硬い馬車の床で過ごしてるけどね。
確かにこれは逃げられない。
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