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奴隷少女は規格外  作者: 猫師匠
奴隷生活編 ~奴隷として売られました~
36/59

夢の中へ




 クソ、寝付けない………


 眠いはずだ。


 体は疲れているし、心も疲労感で一杯なのに、意識は高ぶって仕方ない。


 今日感じた肉の感触。


 久しぶり過ぎて新鮮に感じたせいだろうか。


 肉を抉って行く剣先。


 骨を断つ時の抵抗。


 命を奪ったと確信できる感触。



「……………」



 無理やり眼を閉じ、夢の中へと落ちて行く。


 無理に寝ると絶対に悪夢を見ると言う確信はあったが、それでも起きているよりはずっと良いと、その時は思った。






 目の前に死体がある。


 誰のだろう?


 今日殺した盗賊に見える。


 顔が苦痛に歪んでいるのが分かるが、どうしようもない。


 もう死んでいるのだから、苦痛を和らげる事も出来ない。



 死体が増える。



 たぶん、この世界に来てから初めて殺した近衛兵。



 また増える。



 名前も知らない誰か。


 突然、私を襲ってきた誰か。


 同じ修練を積んでいた同族。



 人生で初めて殺した、浅木祐樹あさぎゆうき



 そして―――



 実の父親。



 今更だ。


 罪悪感も嫌悪感も浮かばない。



「本当に?」



 屍の上に座り込む、誰かの声に応える様に呟く。



「殺した相手に何を思えばいいのか、分からないんだよ」


「最初に人を殺した時も、そう思った?」


「何も思わなかった」


「実の父親を殺した時も?」


「何も、思わなかったよ」



 そうだ。


 幼馴染で、お節介で、私の事が好きだった癖に、隠そうとしていた祐樹。


 あれだけ親しくしていても、結局は何も思わなかった。


 実の父親、アレはアレで嫌悪感しかもっていなかったけど。


 肉親を殺した時でさえ、何も思わなかった。


 ああ、結局私も久我家の一員なんだなって、実感しただけ。



 だから、覚悟を決めた。



 殺した相手も自分も納得できるような覚悟を―――――



「―――――」




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