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奴隷少女は規格外  作者: 猫師匠
閑話 ~舞台裏の主人公たち~
23/59

王子の憂鬱



 なんだったんだろうな、あの女は。



 いきなり攻撃を仕掛けてきたかと思えば、不意撃ちだったとは言え、簡単に無力化される。


 アイリスを狙って来た刺客かと思い、魔法で記憶を覗こうとしても上手くは行かなかった。


 仕方なく奴隷の刻印で行動を制限すれば、何の抵抗も無く、王都までたどり着いてしまい、最後に王との面会にも連れて行ったのだが、特に問題も起こさなかった。



 流石に俺の勘違いだったか。



 少し罪悪感があるが、ムラサメにも問題があったのだし、俺の商品が手荒な扱いを受けるとは考え難い。



「やあ! 遊びに来たよ~」



 一息付いている所に、一番厄介な奴がきやがった。



「何だいその顔は、とっても嬉しそうじゃないか」


「迷惑そうな顔だ! 大体、朝はおはようだろうが」



 シャルティア=ローレライ、学園最強の魔法使いにして俺と同期であり、自称迷探偵の情報屋。


 人は彼女を魔女と呼ぶ。


 いつの間にか仲良くなっていたのだが、俺にとっては迷惑でしかない。



 年齢は俺でも知らない。


 確かアレは、出会って間もない頃だったと思う。


 つい口を滑らせた俺は、気が付いたら病院に居た。



 何を言っているのか分からないと思う。


 俺も何があったのかが分からない。



 ただ一つ『年齢を聞いた気がする』という、漠然とした記憶だけが頭に残っている。



「なら言い直そうじゃないか、おはよう、ゲイル」


「ああ、おはよう」



 祭の最中に顔を出したと思ったら、それから今日までずっと居座ってやがる迷惑な友人だ。


 流石に、その生活も今日で終わりなのだ。



「帝国の召喚実験の話だが―――」


「またその話かい? 朝から血なまぐさい話はよしてくれよ」


「その後の帝国の動きについて―――」


「その事はもう話しただろう? ボクは何も知らないよ」



 コイツが知らない訳が無い。


 むしろ、コイツは知らない事の方が少ない。



「黒龍を召喚して使役しようとして失敗。犠牲は約千人。生存者は皆無」



 ここまでは簡単に調べる事ができた。


 此方も事後処理や情報整理と忙しいのだ。


 必要な時には居ない癖に、不必要な時には隣に居るシャルティアを睨みつける。



「へ~、良く調べたね。ボクは全く知らなかったよ」


「意見を聞かせろ」



 俺が真面目になったのを見て、シャルティアも真面目な顔になる。



「そろそろ出発しないと遅刻するよ?」


「何を言っている。今日はいつもより早く―――」



 アイリスの事を忘れていた事を思い出し、急ぎ準備を整える。


 窓から顔を出し、後ろ姿に向かって叫ぶ。



「シャルティア、話は後で聞かせてもらうからな!」


「覚えてたらね~」



 悠々と歩いて屋敷を出て行くシャルティアを見送り、妹の部屋の前で立ち止まり―――




祭から1週間くらい経過してます。


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