ローブ大好き
周囲を確認。
右、誰もいない。
左、誰もいない。
上下、居る訳ないな。
扉を開け、書庫に入る。
「やあ」
「あ、失礼しました~」
書庫を出て、扉を閉める。
誰だろう、誰か居た。
黒いローブ着てたけど、この世界の人はローブ大好きだな。
まあ、ここで情報を集めなくても、きっと大丈夫さ。
今日は大人しく帰―――
「待ちたまえよ」
――――っ!?
横から声をかけられ、飛び退きながら、その相手に対して構える。
「そんなに身構えないで欲しいなぁ」
「誰」
端的に返す、もちろん警戒は解かない。
「う~ん? 誰って聞かれてもなぁ………『迷探偵』とでも名乗っておこう」
「探偵?」
「いやいや、迷探偵。迷い、迷わせ、迷い込む。ボクに任せておけば、全ての事件は迷宮入りさ」
それは探偵では無いのでは?
「だから、『迷』探偵。迷い、迷わせ―――」
コイツ、心が読めるのか!?
「探偵と言うのは状況を理解し、相手の顔色を探るのが仕事だからね。キミの表情は分かりやすくて助かるよ」
なんだ、驚いて損したよ。
どっちにしろ、事件を解決しない探偵に意味は無い気がするのは、私だけだろうか。
「だから言っているだろう。迷探偵だってね」
「あ~はいはい、その迷探偵様がどうして此処―――」
そうだ、どうして此処に居る?
ここは腐っても上空何千メートルの位置に在る筈だ。
そこに侵入してくるにはそれなり以上のモノが必要なはず、まして、ここは変態でもゲイルと言う貴族の屋敷。
生半可な防犯設備だとは思えない。
「まぁ、立ち話も何だし、中に入ろう」
まるで自分の家であるかのように、書庫の中へと入って行く。
怪しすぎる。
私を書庫の中に招き入れて何をするつもりだ。
「キミ、この世界の住人ではないだろう?」
―――っ!?
何故、それを知っている。
私は誰にも言って無いはずだ。
「ほら、廊下では都合が悪いだろう? 中に入りたまえよ」
確かに都合が悪い。
廊下では誰に聞かれてもおかしくない。
口封じする人数が増えるのは面倒だし、従う振りをしつつ、隙を窺って―――
仕方なく書庫に入り、扉を閉める。
新キャラです
心躍ります
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