驚異の着衣
この話はフィクションです
実際の(ry
ベットから這い出る。
懐かしい夢を見た。
しかし、気分は最悪だ。
実家の事なんて今更、思い出したくも無い。
私は普通に暮らしたいのだ。
家を出ろとは言われたが、まさか世界を飛び出すとは兄だって予想してなかっただろう。
私だって予想して無かったよ。
妹は壊れた様に元気だろうか。
兄はシケた面だろうか。
思考がまとまってないな………
久々に早朝鍛錬でもしようと着替える。
メイド服では無く、此方に唯一………ではなかったけど、持って来れた現代の品。
ポテチとコーラは食べちゃったし、残っている現代品はこれだけだ。
伸縮性抜群、通気性はそこそこ、寝巻に最適。
スウェットである。
コソコソしながら庭に出ると、誰もいない。
当たり前か、都合は良いので、そのまま練習に入る。
無銘流。
厨二臭い名前だが、実際には戦国時代から続く由緒正しい流派でもある。
鍛冶屋が銘を刻まなかった様な駄作でさえ扱う事から、この名前が付けられたとか何とか。
もともとは領主を失い落ちぶれた武芸者達が寄り集まって出来た流派らしく、どんな武器、武術、技術でも扱えるように鍛錬し始めたのが始まりらしい。
江戸時代でも何度か歴史に関わる様な偉業を成し遂げたらしいのだが、その名が歴史に残る事は無かった。
名前の通り、無名で無銘。
利用された後は捨てられるだけの流派である。
適当に思考しながら体を動かす。
型も無ければ、構えも無い。
どんな武器でも扱えるように。
どんな武術でも扱えるように。
一通り体を動かし、部屋に帰ろうと息を整える。
「見事なもんだな」
「見学なら、もう終わったんで帰れ、暇人」
「契約主にその態度は無いんじゃないか?」
覗き見しているような変態紳士ゲイルに礼儀は必要ない。
「今めちゃくちゃ失礼なこと考えなかったか?」
「何を仰るんですか、私の態度に何か失礼な部分があったのなら素直に謝罪をしますが? 契約主である変態貴族のゲイルさん」
「そこまで言われるとは流石に予想していなかった………」
地味に落ち込んでいる様だ。
「昨日作った料理は国のモノか?」
適当に話を合わせながら受け答えする。
早く汗の処理したい、べたべたする。
やっぱり早朝鍛錬なんてするもんじゃないね。
誰だよ、早朝鍛錬とかやり始めたのは………私か。
寝起きの私を殴り飛ばしてやりたいね。
「――――でな、俺の、ってちょっと待て!」
「え、何? 私早く部屋に戻って二度寝したいんだけど」
屋敷に戻ろうとした私を引き止めるゲイル。
「いや、もういい」
まったく、何がやりたいんだろうね、この変態貴族様は―――
「何度も言うがアレは俺の趣味じゃないからな!?」
「勝手に思考読まないでくれますか?」
「思いっきり声に出てたからな、まったく」
今度こそ、私は屋敷に―――自分の部屋に戻るために歩き出す。
疲れた、汗拭いたらもう一回寝よう。
感想 アドバイス 冷やかし 待ってますよ~