言えなかった言葉
ダメでした。
その後また説明ですよ。1時間くらい。
寝たい、眠い。
でも話はまとめる。
この仕事が無くなったら、私が居る意味がないじゃない!
奴隷制度とは言っても、要は派遣社員みたいなモノらしい。
2級以上の貴族が浮浪児を拾って来たり身売りを買い取って、それを色んな所に売る。
つまり、浮浪児だと勘違いされて、私は保護されたらしい。
着用していた物がスウェットだったのも、勘違いの要因らしい。
この国、と言うよりこの世界の女性はズボン履かないとかなんとか。
要するに、そんな事も知らない子供(東洋人は若く見られるって本当だった)が森に居たら普通保護しますね。
ちなみに、3歳以上若く見られた年齢については訂正しなかった。
説明を続けよう。
奴隷には1年の拘束期間が在り、その期間が過ぎれば自由の身、そこで働くもよし、また契約主、つまり2級以上の貴族の処に戻って来て、新たな雇い主を探すもよし。
1年以内に逃げ出そうとしても、刻印があるため逃げる事は出来ない。
買い取った側は奴隷を大切に扱っているらしい。
2級以上の貴族相手に喧嘩を売るバカはいないし、2級以上の貴族は性格面も評価の対象になっているため、よっぽど上手くやらない限り、王様権限で即3級落ち、運が悪ければ奴隷の仲間入りだってあり得る。
信用で成り立ってる世界だね。
通信網とか、そこまで発達してる訳でも無いみたいだし。
余談になるが、この話の途中で、私の脳内変換が『奴隷』という単語を『派遣社員』に変えてしまうという事があった。
無理やり奴隷に戻したけど。
最初はラッキーとか考えてたんだけど―――
派遣社員の刻印とか言われてみれば分かる。
情けなさ過ぎる………
脳内変換は私のイメージと強い結びつきがあるらしく、私のイメージが単語の意味を変えてしまうらしい。
つまり、この世界で『奴隷または派遣社員』と言う単語が有ったとする。
その単語のイメージが奴隷に近いと思っていれば『奴隷』と脳内変換され、派遣社員に近いと思ってしまうと『派遣社員』と脳内変換される。
まあ、奴隷と呼ばれようが心は自由。
私は自由に生きる!
そして現在、私は屋敷の部屋の中。
外は既に闇の中。
どうしてこうなった…………
あ、ポテチ食べよ。
コーラ―――温い…………
ま、仕方ないか。
ポリポリ、カリカリ。
ゴクッ、うむ。
面倒だし、明日考えよう。
豪華なベットに潜り込んで寝る事にする。
きっと、全て夢さ。
目が覚めれば何時もの天井を見上げ、何時も通りに学校へ行く。
他愛も無い話で盛り上がり、退屈な授業を受け、放課後は道草しつつ家に帰る。
そんな明日が――――
来ないよねぇ………
窓から差し込む朝日で目が覚める。
「見知らぬ、天じょ―――」
「おっはよ~新入り! 朝だ、起きろ!!」
私のセリフを返せ、一度は言ってみたかったのに!!
「起きろサヤ、ゲイルが呼んでる!」
ゲイルが?
何の用だろう。
大体の説明は昨日聞いた筈だけど。
フラグ ポテチとコーラ
回収しました