第1話:辺境の魔道士
第1話「辺境の魔道士」
王都の喧騒を離れ、馬車の馬の蹄の音が乾燥した大地に響く。王国騎士団長、マキ・クロフォード(23歳)は、馬車に揺られながら、四人の部下たちに鋭い視線を送った。
マキ「目的地まであと僅かだ。気を引き締めるように」
凛とした声が響く。黒髪を高い位置でポニーテールに束ねた彼女の横顔は、彫刻のように整っている。
しかし、その美貌以上に道ゆく者たちの視線を奪うのは、騎士服の布地を限界まで押し広げている驚異的な肢体だった。鍛え上げられた柔軟な身体に宿る、豊かな双丘。
馬車が跳ねるたびに揺れるその重みは、王国一の剣士としての威厳と、抗いがたい艶やかさを同時に放っている。
また、鞍に跨ることでより強調された、百センチを超えるという肉感的な臀部は、強靭な太ももへと続く完璧なラインを描いていた。
彼女を護衛するは、副長のセシリア・ローランド(21歳)。そして、剣士師団の師団長フルーレ・フォスター(20歳)、回復魔法を主とする特殊支援師団の師団長シルフィ・ホワイト(20歳)、そして最年少の魔道士師団の師団長リノ・ウイリアムズ(15歳)
剣・魔法・後方支援の各分野でトップの実力を誇る三人の騎士だ。
セシリア「しかしマキ様、たかが不法入国の魔道士一人に、我ら騎士団のトップ五人が駆り出されるとは……不可解すぎるのだが」
セシリアが首を傾げながら問いかける。確かに、マキは王国最強の剣士であり、同時に国内随一の魔力保持者でもある。
彼女一人で小国の軍隊に匹敵すると言われる戦力を、辺境の村のトラブルに投入するのは、明らかな過剰戦力だった。
マキ「目撃者たちによる情報だが、その魔道士の放つ魔力波に不穏なものを感じたらしい。ただの放浪者ではないということだ」
マキは腰に差した愛剣『明王』の柄を、手袋越しに軽く撫でた。やがて一行の視界に、荒れ果てた草原の先に佇む小さな村が見えてきた。
村の入り口には人影がなく、異様な静寂が支配している。マキの鋭い直感が、大気に混じった微かな「違和感」を捉えた。
マキ「全員、これより村へ入る」
マキがしなやかな動きで地面に降り立つと、その拍子に豊かな胸が大きく波打ち、彼女の美しさを際立たせた。
しかし彼女の瞳にはすでに戦士としての冷徹な光が宿っている。この辺境の地で、彼女たちを待ち受けているのは、単なる不法入国者なのか。それとも、王国の根幹を揺るがすような陰謀の始まりなのか。
マキ・クロフォードは、一歩、その重厚な尻を揺らしながらも力強い足取りで、呪われた静寂が漂う村へと足を踏み入れた。
村外れの古びた小屋。そこには、王国の重鎮たちが警戒していたとは思えないほど、緊張感のない男が座っていた。
「よお、お姉さんたち。そんな怖い顔して、俺に会いに来たの?」
茶髪を無造作に跳ねさせた、二十歳そこそこの青年――ヘイマーは、リンゴをかじりながら不敵な笑みを浮かべていた。
その軽薄な態度は、王国一の騎士団長であるマキに対する敬意など微塵も感じさせない。
マキ「不法入国者ヘイマー。貴様を王国の法に基づき、捕縛する。……連行しろ!」
マキの号令と共に、四人の女騎士が動こうとした――その瞬間だった。
ヘイマー「何だ?何だ?いきなり人の家を訪ねて来たかと思ったら随分なおもてなしだな『止まれ(ポーズ)』」
ヘイマーが指をパチンと鳴らす。次の瞬間、世界から音が消えた。風に揺れていた草木も、舞い上がっていた埃も、そして鋭い踏み込みを見せていた部下たちの動きも、すべてが氷結したかのように静止した。
辺り一帯がヘイマーの創り出した巨大な魔法陣に包まれ、その中にいる者全ての時が停止されている。
セシリア「な……!? 身体が、動かない……!?貴様何をしたのだ!?」
副長のセシリアが、驚愕の声を漏らす。意識はある。言葉も発せる。しかし、指先一つ動かすことができない。
ヘイマー「あはは、驚いた? これが俺の『時魔法』。おとぎ話の中だけだと思ってたろ?」
ヘイマーは立ち上がり、動けない部下たちの間を、品定めするように歩き回る。
マキ「ば、馬鹿な‥‥時魔法など、実在するはずがない……! 貴様、どんな卑劣な呪具を使っている!」
マキは、静止した空間の中で叫んだ。彼女の誇り高い瞳が、怒りに燃える。
ヘイマー「いやいや、本物だって。ま、信じられないなら、じっくり教えてあげてもいいけど……おっと?」
ヘイマーの目が丸くなった。マキの身体から、凄まじい密度の「魔力」が溢れ出し、彼女の周囲の空気が陽炎のように揺らぎ始めたのだ。
マキ「おおおぉぉ!!」
マキは自身の体内で魔力を暴走させることで、強制的に神経と筋肉を活性化させる。強化魔法の極致――『金剛身・限界突破』。
ギチギチと、見えない鎖が軋むような音が響く。マキの右腕が、わずかに、しかし確実に動いた。豊かな胸が大きく波打ち、止まった時を力ずくで押し広げるように、彼女は一歩を踏み出す。
ヘイマー「……はは、マジかよ。時魔法の拘束を、ただの強化魔法で無理やりこじ開けようっての?この人めちゃくちゃじゃん‥‥」
ヘイマーは一瞬、その圧倒的な力強さに怯み、言葉を失った。しかし、すぐに口角を吊り上げ、余裕の色を取り戻す。
ヘイマー「いいよ、最高だ。王国一の美貌と、そのあり得ないくらいのナイスバディ……それが全力で俺に抗おうとしてるんだから。燃えるよね」
アレクサンド王国最強と言われるマキの剣術と魔道力、ヘイマーの不可解な時魔法。静止した世界の中で、かつてない死闘の幕が上がろうとしていた。
小説初挑戦の素人です
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