プロローグ4:狂犬との邂逅と「後継」の種
### プロローグ4:狂犬との邂逅と「後継」の種
大陸十傑に名を連ね、頂への階段を突き進むマキ。
北、南、東の大国を平定し、このガイア大陸から争いの火種を消し去る。その壮絶な目標の果てに、己の命で「業」を清算する覚悟は、日に日に強固なものとなっていた。
しかし、冷静な軍略家でもある彼女には、一つの懸念があった。
「私が消えた後、この平和を誰が維持するのか。……私の覇道を継ぎ、民を導く『後継者』が必要だ」
最強を目指す己の研鑽と並行し、次代を担う才能の探索。その答えを探すように、マキはある日、かつて目を通した最上級治癒魔法の古文書を求めて、王立騎士団中等アカデミーの資料室へと足を運んだ。
校長「おお、マキ・クロフォード閣下! まさかこのような辺境の学び舎に、騎士団長自らお越しいただけるとは光栄の至り!」
禿頭の校長と回復魔法担当の教諭に揉み手で迎えられ、廊下を歩くマキ。だが、資料室の手前で、一人の生徒が不遜な態度で立ち塞がった。
金髪でセミショートの髪を揺らし、鋭い眼光を向ける少女。
「……ふん。二つ年上で騎士団長にまで昇り詰めたと聞いていたが、間近で見ればひょろ長いな。あまり強そうには見えん。私に勝っているのは、その無駄に発育の良いおっぱいだけではないか?」
校長「なっ……な、な、なああああにを不敬なことをおぉぉ!! セシリア! 貴様、今は謹慎中の身だろうが! 閣下に対してなんという口を!!」
セシリア「ハゲは引っ込んでいろ。私の名はセシリア・ローランド。……おい、騎士団長。私と勝負しろ。あんたがただの飾りじゃないか、この私が確かめてやる!」
校長「警備の教官を全員集めろ! この狂犬を、今すぐ寄ってたかって抑え込むのだぁぁ!!」
現場がパニックに陥る中、マキは静かにセシリアを見つめた。
その瞳の奥にある、純粋な闘争心と、誰にも屈せぬ鋼の意志。それは、かつて復讐と守護を誓った自分自身の瞳に、どこか似ていた。
マキ「……ふ。校長、構わない。私はこういうタイプは嫌いではないのでな。……少々時間をいただくが、すぐに終わらせる。資料室の鍵を開けておいてくれ」
セシリア「ハッハッハ! すぐに終わるのは間違いないな、騎士団長! 私の圧倒的な強さに、その場で震え上がるがいい!!」
後にアレクサンド王国の「最強の剣」と呼ばれる狂犬セシリアと、孤独な支配者マキ。
二人の運命が火花を散らした、最初の瞬間であった。




