プロローグ3:孤高の覇道と救済の業
### プロローグ3:孤高の覇道と救済の業
12歳のマキが騎士団武術大会で高等アカデミー首席を圧倒したあの日、アレクサンド王国の歴史は塗り替えられた。中等、高等アカデミーへの入学をすべて飛び越し、彼女は「騎士団員」としての籍を得たのである。
先代国王の強い推薦。それは期待であると同時に、少女に「国家の矛」たれと命じる非情な宣告でもあった。
入団後のマキの進撃は、まさに天災の如き鮮烈さだった。
初陣から数多の戦場を駆け抜け、彼女が通った後には勝利の旗のみが残る。15歳で剣士師団長に昇格した時、マキは己の中に芽生えた確信を言葉にした。
マキ「大切なものを守れる強さ……そこに行き着くまでは、私はまだ弱い。もっと、もっと強くならなければ」
彼女が求めたのは、単なる武勲ではなかった。
一人で戦況そのものを塗り替える「戦略級上級魔法」の習得。そして、魔法と剣技を完全に融合させた独自の戦闘スタイルの確立。
敗戦濃厚な絶望の淵にある戦場に、彼女がただ一人現れるだけで風向きが変わる。兵士たちは彼女の背中に神を見た。
そして、17歳。
アレクサンド王国史上最年少での「騎士団長」就任。
名実ともに国の頂点に立ったマキは、しかし、深淵のような孤独と葛藤の渦中にいた。
マキ「世界から戦争をなくすには、国家を統一するしかない。だが、国家を統一するためには……皮肉にも、より大規模な戦争を引き起こさねばならないのか」
平和を希求する心が、平和のために血を流すという矛盾に悲鳴を上げる。
夜通し行われる鍛錬。振るわれる剣は、迷いを振り払うためか、あるいは己を罰するためか。
やがて「マキ・クロフォード」の名は国境を越え、大陸を四分する諸国の王たちがその名を聞くだけで震え上がる「大陸十傑」の一人として刻まれた。
マキ「……たとえ、この手がどれほど汚れようとも。戦争のない世界を作るため、この手段しかないのなら私はやり遂げる。そして――そのすべてが終わった時、私は己の業をこの命で清算しよう」
すべてを一人で背負い、最後には自分自身をも燃やし尽くす。
そんな悲壮な決意を胸に秘め、彼女はさらに高く、誰の手も届かない場所へと昇り続けていった。




