ゆいこのトライアングルレッスンB〜虹色ハッピーバースデー〜
第364回『下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ』にて、巽さんバースデー!『ゆいこのトライアングルレッスンB』に投稿し、下野さん、巽さんに実際に演じて頂いた作品です!!
こちらは、原文のままになります。
ラジオだと巽さんの吐息が、より喜びを感じさせてくれる上に、回想がオルゴールチック!
今回もお二人に朗読して頂き、感無量でございます!
本当にありがとうございました!!
勝手ながら、今回もトライアングルレッスンウィークを開催!
今日から5日間、毎日作品投稿をします。
そして、おまけで6日目には“なろラジ演日”にて、ご注文は入らなかったけど、実は書いてたお品書きを公開!興味がある人は、見てやってください!!
今日は誕生日。ひろしが本格的なケーキを作るからと、わたしはたくみと共に家に招かれた。
「ひろしのケーキすっごく美味しい! 将来パティシエになれそう!」
「ゆいこにほめられると、なれる気がするな」
「ゆいこ、ケーキあーんするか?」
「たくみ、ふざけすぎ!」
ひろしが、ラッピングされた箱を取り出した。
「ゆいこ、俺からのプレゼント」
「ありがとう! 開けていい?」
包みを剥がしていくと、オルゴール付きのスノードームが顔を出した。
「これ欲しいって言ってただろ?」
「凄い、よく覚えてたね!」
ゼンマイを巻くとオルゴールが鳴る。
「これ好きな曲だ!」
「ひろしは雪で、俺は雨ですかー」
たくみはそう言うと、半透明の水色の傘をくれた。開くと、それはミズクラゲの形をしていた。
「ありがとう! オシャレで可愛い!」
「大事にしろよー」
たくみは、得意げだった。
誕生日会を終え、たくみと帰る帰り道、突然雨が降りだした。
「今日、降るって言ってなかったのに!」
「早速、その傘の出番だな」
たくみは、わたしの手から傘を取りあげ、開いてわたしを入れた。
待って、これって、相合傘なのでは!?
「この傘、半分は俺のな?」
「え? どういうこと?」
「ゆいこと一緒に入るための傘ってこと」
「へっ!?」
「へへっ。そのために買ったんだよ」
たくみは、照れ隠しでもするように、分かりやすく目をそらした。
いつもと変わらず、隣にいるだけなのに、一つの傘に入るだけで何故だかソワソワした。
沈黙に耐えられず、わたしは話題を探した。
「なんで、クラゲ?」
「ん? ほら、傘の真ん中にある模様、四つ葉のクローバーみたいだろ?」
ミズクラゲの模様は、確かに四つ葉のようだった。
「これなら、もう探さなくてすむかなって」
「えっ……?」
「覚えてるか? 昔、四つ葉を探しまくった日のこと」
それはまだ、わたしが幼かった頃のことだ……
× × ×
「やーだ! 絶対探すんだもん!」
「日が暮れそうだし、今日は諦めようぜ?」
「ダメ! お母さんにあげるの!!」
「たくみ、ゆいこ、そんなとこで何してんだ?」
「ひろし! ゆいこが四つ葉のクローバー探すって聞かないんだよぉー」
「なら、3人で探そう!」
通りかかったひろしを加え、わたし達は3人で探した。
「ゆいこ、あったぞ!」
ほどなくして、ひろしは四つ葉を見つけた。
「わー! ひろし、ありがとう!」
× × ×
「ひろしは、いつだって、ゆいこに欲しいものをあげられるんだよな……」
たくみの横顔が、少し寂しそうに思えた。
「ゆいこ! 空見て!!」
「ん?」
顔をあげると、そこには虹がかかっていた。
わたし達は、ただただ虹を見つめた。
「ゆいこ、生まれてきてくれてサンキューな」
「たくみ……。大きな四つ葉のクローバー、大事にするね」
こうして、ひろしはパティシエを目指した?
前回のU2とも繋がっている??作品でした。
感想などもお待ちしております!
明日は、赤い糸と皆既月食!お楽しみに。