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第六話 初めてのデート

「やはり、アンを追い出したのはやりすぎたかのう………。」



「今更後悔ですか、陛下。やると決めたのですから、今更変えないでくださいね。」


「もちろん、追い出すという決定を覆したりはせんが……。」


 アンジェラが市井に追い出されて、はや一週間。


 もともと娘を溺愛していた王は、ホームシックならぬ娘シックになっていた。


「どうしても、王女殿下に平民暮らしは無理と言うのであれば、私に王女殿下をください。陛下。」


「………誰がお前なんぞにやるか。腹黒な若造のくせに。お前は、王女の嫁という名誉がほしいだけだろ。」


「そんなことはありませんよ。なんせ、…」




「お話中、失礼いたします。

 ………国王陛下、そしてテレスティオ宰相補佐官殿。

下級議員の方が謁見を望んでおられるとのことです。」



伝令兵の発した言葉によって、大広間の空気が変わり、王は怪訝な顔をした。


―――――――――――――――――――


 先日の美術品の売り込みで、自分の力でお金をはじめて稼いだアンジェラ。


もともとアルの家にあった物だというのに、アルは稼いだお金をアンジェラが自分で使うようにと言ってくれた。


 それどころか、アンジェラをあまりにも褒め称えてくるものなので、逆に恥ずかしくなり、昨日はまたベッドからアルを追い出したのだった。


まあ、そんなこともあったが、今日は待ちに待った週末………そう、週末デートの日であった。



「こっちが有名な丘で、あっちがほんとに美味しいレストランがあるんだ。

そろそろ、お腹も空いただろうし、レストランに行こうか。」


「ええ、もちろん行きますわ。アルは、市井に詳しいのですね〜。」


「平民なので、そんなものでしょう。」


レストランは、思ったよりも豪華だった。

何でも、貴族様も時々お忍びで使う、ちょっとした高級レストランらしい。


 当然ながら王城のものには及ばないが、市井にある馬小屋のような家を少しばかり見慣れてきたアンジェラからすると、久々にまともな建物………だと思われた。



「さあ、お手をどうぞ、王女様。」


アルのエスコートでレストランに入っていく。

レストランの中は懐かしい感じがする。


(う~~ん、わたくし、ここに来たことがあるのかしら??)


 もしかしたら、ただただ、豪華な場所が懐かしいだけなのかもしれない。


そんな違和感を覚えながら、アンジェラは中に入っていく。


「ようこそ、いらっしゃいませ。」


「✕時から予約している者です。」


「✕✕✕✕✕様ですね、こちらにどうぞ。」



アンジェラが歩くたびに、人々の目線を余計集める。


 彼女の気品、歩き方、姿勢。

 そして、最近では、泥と埃をかぶっていることが多かったとはいえ、もともとその中身からは考えられないような美人なのだ。


 王女のときに着ていた豪華なドレスには及ばなくとも、少しきれいなワンピース(アルからのプレゼント)を着ているだけで、彼女の姿は周りの人々を魅力していた。


 「どうぞ、おかけ下さい。」


 アルもそこそこの美男子の部類に入るといえば、入るので、アルとアンジェラの二人は店内でとても注目されている。



「では、王女様、何を頼まれますか??」


「う~~ん、何にしようかしら………メニュー表というのはこれかしら?

わたくし、優柔不断でなかなか決められないのですわ…。」


「なら、僭越ながら、僕が選ばしていただきますね。おすすめがあるんです。」


「そうですわね、アルにお願いしますわ。」



 こうして、無事注文したのだが………。


「なあ、そこの女、割りと上玉じゃねぇーか。

こっちに来いよ。欲しいものなら、何でもやるぞ!」


 (せっかく楽しんでいたというのに、台無しだわ…。)


 

 

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