表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この連載作品は未完結のまま約3ヶ月以上の間、更新されていません。

作者:シカ
プロローグ前半

もうすぐ夏がやってくるような暑さ。
 ギラギラとした太陽の光が顔に強く焼きつけている。じんわりと額に脂が浮かんだ。
 とは言ってもまだ5月という異常な現実に絶望感を抱く。きっともう夏が隣に来ている。

 神奈川県の下の海側にある少しさびれた街に住んでいる。この街は都会でもなく田舎でもない所で非常に住みやすい。家から10分を歩けば海に着く。
 右を見れば江ノ島が佇んでいて、逆方向を見れば神奈川県の左足が見え、前を向けば大島がみえる。そんなこの海はどこか他の場所とは違うフィルターがかかっていて神秘的な要素があるように思える。

 国道134号線の信号はやけに空が近く非現実を感じる。海沿い特有の防砂林の向こうから波の音と木々の隙間から隙間風が吹き、そこに巣を構えるカラスや野鳥などの鳴き声が互いに混ざってかすかに聞こえる。

 海というものは身近にあるものの中で一番不思議なものである。何が不思議かも分からない不思議。たとえば、海の色は空の色という。赤色や黄色は弾かれて青色になるらしい。
 それにしてもどうしてこんなに惹かれてしまう色なのか、ただ青が好きなだけかもしれないけれど、海の色は青では無いから本当にできすぎている色だと思う。

 浜に出ると海がギラギラと光っていた。青とはいえない緑が混ざった色で。まだ少し冷たい風が吹き付ける。
 いい天気だった。

 今日はただ、一人でぼんやり歩きたかった。何も気にせず、考えず、なにもかも忘れてしまいたかった。
 ゆっくり、ゆっくりと、足を濡らしたくはないから潮痕を踏まないように下を向いて歩く。ビーサンを履いているから太陽で温められた砂に足が歩くたびに埋もれて心地いい。

 
プロローグ前半
2025/05/19 20:42
プロローグ後半
2025/05/19 20:44
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ