表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガバチャー奮闘記  作者: 高橋太郎
幼馴染み
27/50

 まあ、どうやって心を読んでいるかの理屈は分かっているので、神器持ちでもない限りは何とかなるんですが、勇者世代の七大名家直系後継者たちは神器を親から譲り受けている場合(パターン)もあるので、正直、困る。

 どちらにしろ、今出来ることを全力で行う。それ以外に回避法はありません。

 要するに、彼女の機嫌を損ねずに穏便(おんびん)な方法で田舎公子の群れを救えという話です。

 なんで喧嘩売られた側が喧嘩売ってきたバカを助けにゃらなんのだ。理不尽(りふじん)すぎる。

「それは道理だ。ならば、魔道院の代表としてどの様に解決するつもりなのかな?」

「何もしません」

「……は?」

「何もしないのですよ。僕が叱責(しっせき)したり、魔道院に報告すれば、彼らは謝罪する機会が与えられましょう。そうすれば、丸く収まります。収まってしまうのですよ?」

 相手の意表を突かなければ、こちらの反応を見て楽しまれます。

 ならば、こちらも(きょ)を突き、相手の反応を見て対応します。ええ、種の分かっている手品なら、こちらも真似(まね)が出来ますからね。

 相手の魔力波動から感情を読み取るなど今の僕からすれば赤子の手を(ひね)るより簡単、だと良いんですがね。感情を読めてもそれを相手の思考に落とし込めるかはまた別の問題ですからねえ。読心術は難しい。

「……許す気はない、と?」

「許すも何も。何も無かったことを“許して”どうするのですか? 僕は別に“恫喝(どうかつ)”したいわけじゃないんです。彼らとは全く関わっていない、それだけの話ですよ」

 僕は怪訝(けげん)そうな眼で見てくる彼女に対して静かに笑い方を竦めた。

 ちなみに、喧嘩を売ってきた公子を見捨てて、後ろの方でにやにや笑って見学していた公子たちは蜘蛛(くも)の子を散らすように逃げ去っていた。いやはや、見事な動きでしたね。

 多分、目の前のケブレスには目を付けられるだろうけど、僕は再度関わろうとしてくるまでは気にしないから安心して逃げてくれ。

 まあ、取り残されたこの公子は本当に可哀相だが、この種の無知は王国の政治力学の中では大きな罪だったのだから、(あきら)めて甘受(かんじゅ)して欲しい。(けしか)けた公子たちも、結局は同罪なんだがね、僕は知らんけど。

 うん、どう考えても、僕が無かったことにしても、王都にいない師匠はともかく、老師とベルナルド師が気が付かないわけないんですよね。どう考えても、ベルナルド師は妹の安全を図るためにも手の者を(ひそ)ませているでしょうし。

 そうなると、ベルナルド師が老師とうちの師匠に秘密にしておくことないだろうからなあ。どちらにしろ、彼らの家の(まつりごと)はお(しま)いってところですかね。僕も流石(さすが)にフォローする理由ないしなあ。

 熟々(つらつら)考えた結論が、僕は関わらないなのだから、僕の言葉を信用せずに読心しようとしても内心も発言も変わりがないのだから、彼女としてはやれることがなくなったはず。なくなっていると良いなあ。

「成程。噂とは頼りにならないものだね」

「噂、ですか?」

 いささか予測外の言葉が出て来たので鸚鵡(おうむ)(がえ)しにしてしまいます。

 いや、だってさあ、僕の噂なんて出回っているはずないんですよ。師匠ならともかく。そう考えると、師匠のおまけ的な噂は出回っていてもおかしくないのか?

 だけど、変な噂が飛び回りそうなら、逆にベルナルド師あたりが()み消しそうだしなあ。

「“大魔法使い”の弟子はものを知らない平民という話さ。とんでもない話だったね」

「いや、ものを知らない平民という事は当たっていると思うのですが?」

「君が知らないというのなら、この学園の生徒は皆物知らずになってしまうさ。フフフ、これからの楽しみができたな、それではまたね」

 絵になる姿でこちらに別れの挨拶(あいさつ)をし、軽やかな足取りで立ち去っていきます。

 後に残されるのは僕と哀れな田舎公子殿。

 さてはて、どうしたものかと悩みながら、先ずは公子殿に忠告というか、助言をすることにしました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ