次は何をしようか
バロッチの禁忌の地を出た私は、ヴロカムの長に礼をいい、バロッチの中年シャーマンとドバくんたちと帰路につく。
まだ接収の作業が終わっていないので、正式な集落訪問はまた後日改めてすることに。
そしてウサイ集落に戻り、そこでバロッチの中年シャーマンと別れ、ダデイ集落に戻ってきた。
『さすがダネブ団長、こんな短時間で避難した人達を全員連れ戻したんだね』
ー『はい、ダネブ団長は昔からどんな作業でも早いと評判なんです。』
ドバくんが答えてくれた。自分の親とはいえ、ドバくんのいう通りダネブ団長は有能で優秀な人材である。
途中で中断した長老会議でもこれからは会議の進行とともに様々な議題が上がり、それに合わせて人材をいかに確保するかという課題にも直面する。
加えてバロッチの発展に相応しい人材選びも新たな課題として会議の場に持ち込まれるだろう。
そんなことを考えながら、戦いからまだ一日もたっていないダデイ集落は、少々バタついている。
『中央集落に戻る前についでに視察しようと思ったが、こんなんじゃ難しいもんな。』
ーー『そうですね、集落とその周辺の変化は最小限に留まったが、やはり一度避難をして戻ってきた事実がある以上、落ち着きを取り戻すのは数日間かかると思います。北の長老もそれまではしばらく忙しいかもしれません。』
『分かった。それだったら私達もここに滞在しないほうがいいと思う、余計に気を使わせるだけだし。』
もともと今日は一旦ダデイ集落に泊まり、北の長老に集落と園周辺の案内をしてもらおうと思ったが、現状難しそうだ。
これ以上いたら邪魔でしかないと判断し、私たちは中央集落に戻ることに。
中央集落、神の祭壇
私達が戻ってきたと聞いて、アクワヌ大長老が神の祭壇にある私の部屋にやってきた。
ー『お寛ぎのところすみません、ナオ様、お帰りなさいませ。お元気そうでよかったです。』
『アクワヌさん、ありがとうございます。』
公務ではないので、アクワヌさんを座らせて、私は布団のところで腰を掛けた。
『こんなタイミングであれですが、数日間は会議開けないので、どうしようかなと悩んでいます。』
ー『私としては少し休んでもいいと思いますが、そうは行かないんでしょうか?』
『うーん、正直にいうと休むなら一通り現状を把握してからでも遅くないと思います、ただこの場でできるのは、うーーーーん、あっ!』
ー『なにか思いつきましたか?』
『はい、数日間あれば多分できると思いますので、皆に「文字」を教えます。』
ー『あっ、あの神託剣の上に書いてあったものでしょうか?』
『いえ、あれは異民族がもたらした文字です、もちろんそれでもいいんですが、せっかくなので、禁忌の地で神が使っている、大昔からある文字を教えます。』
ー『つまり、神様の文字ですか?』
『うーん、出自は聞いていないが、恐らく相当古くからある文字であることは間違いないですね。』
ー『そうなんですね、もしその神様の文字を習えるのであればとても嬉しいです。』
『よし、じゃあこれで決まりだ。後は最初に私から教わる人を決めないと……』
一度少数の人を私から教えて、その中から教師の適任者を何人かを選び、そこから集落内で広めていき、最終的にはボアスアの領土内で浸透させたい。
そうすれば、口伝えでは制御が難しい情報の粒度をより簡単にコントロールすることができる。
後は施策の説明も掲示板や配布文書のような形でもできるし、様々な契約やルールも、文字として書き残せば揉め事が少なくなる。
『じゃあ、アクワヌさんは、今中央集落にいる長老たちを集めてください。他の人は私のほうで集めます。』
ー『承知しました。』
『で、開始は明日にしましょう。ドバくんたちも疲れているので』
ー『そうですね、そのほうがいいと思います』
まあ私は教材の用意をしないといけないので、結局寛げないと思う、まあそもそも私疲れないからいいか。




