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バロッチの禁忌の地を探す



===『はい、我々の禁忌の地の場所を、探していただけませんか?』

『もしかして、バロッチに巫覡はもういない?』

===『はい、残念ながら巫覡はいなくなって久しいです。最後の巫覡は100年前に亡くなったときに、禁忌の地の大概な場所を残したが、私達は巫覡ではないので誰も確認できません。』

『で、なぜ私に?』

===『アタブ族の巫覡に一緒に探しに来てもらいましたが、見つけられませんでした。口伝の内容が100年の間に変わってしまったのか、他族の巫覡は入り口が見れないのか、原因がわかりません。しかし、神の代理人様でしたら、もしかしたら見つけられるのではと思いまして…』

『そういうことか、たしかにありえる話である…』



うーん、あり得る話じゃあり得る話だな。巫覡が神託しか受けられないと同じように、能力が制限されているのであれば、自族の禁忌の地にしか踏み込めないことも有り得る話。


一方で、口伝の内容が変わったこともありうる。


100年の間に、文字もなく、口伝で行うと、人間の記憶はどうしても変わってしまうので、付け加えたり、都合のいいように補正したりして、結果的に元の内容でなくなる。


どっちにしろ、私が一度確認しに行けば済む話だし、見つからなかったら中央集落に帰るときに一度禁忌の地で神に聞いてみれば教えてくれるはず。



『分かった、私は今日は一旦これで業務が終わったので、これからならいつでも行ける。』

===『本当ですか!?!ありがとうございます!!!』



私の協力の言葉を聞いて、バロッチのシャーマンは嬉しさのあまりに目を大きく開き、私の手を握ってしまった。まあ、表情豊かってことだ。


にしてもシャーマンはいくつだろう。女同士でも年齢が離れると人によっては年聞かれるのを嫌がるけど、私から見てアクワヌ大長老と同じぐらいに見えるので、本人からの申告があるまで一旦そういうことにしとこう。



その後、いくつか追加の確認と指示を終え、ドバくんと近衛団員を連れて、シャーマンと一緒にウサイ集落を出た。


シャーマンいわく、バロッチの禁忌の地は、場所的には大体ウサイ集落とバロッチ集落の間に、二つの川が合流する場所にある。その近くには、ヴロカムという小さな狩猟集落があるとのこと。


狩猟集落は農耕を行わないので、めったに移動はしないとのことと、昔は巫覡のもてなしを良くしていたので、もしかしたらなにか情報を得られるかもしれないだそうだ。


まああんまり期待できない気がする、なにせ100年もたったし、口伝え以外は何も残っていないし。




ちょうどダデイ支団長とアブス大長老の配下がバロッチ中央集落に向かうので、途中まで一緒に行動した。


ヴロカム集落に入り、アブス大長老の配下は集落の長に、ボアスアによるバロッチの統治が始まることと、私達の目的に協力することを伝えて、私達と別れてバロッチ中央集落に向かった。



ー『一応それらしき場所に、前の長に連れてもらったことがありますので、ご案内します。』



意外と、場所まで伝承されているようなので、ヴロカムの長の案内で、川の近くまでやってきた。


冬のこの頃、雨も降らないので、水位がとても低く、歩いても平気で渡れるくらいだ。


そして合流するところからは少し離れているところに、立派なガジュマルの木が聳え立った。



ー『ご存知かと思いますが、私達の目では入り口の場所が確認できませんが、この木の近くにあるとのことです。』

===『私が知っている情報ではここまで明確ではございませんが、アタブの巫覡と探した際にこのあたりも探しましたが、見つかりませんでした。』



なるほど、どうやら私の予想通りだった。アタブの巫覡は自族の禁忌の地に入れないし、当然入り口も自族のしか確認できない。


なぜこんなに自信満々に断言できるかと言うと、私には見えたからだ。


意図的なのかはわからないが、ガジュマルの木の幹のところに一人が入れるくらいの凹みがあり、そこにボアスアの禁忌の地と同じく白い霧が見えて、そのすぐ前に私達が立っているからだ。



『なるほど、今は私しか入れないってことだね』

===『えっ!?、神の代理人様には入り口が見れましたのですか?』

『ああ、あの凹みのところにある』

ー『よかったです。私達の伝承が正しかったようで、安心しました。』

===『では早速お入りください。私達は外で待ちますので。』



歓喜のあまりに私の両手を一度握ったシャーマンに促されるがままに、私は禁忌の地に踏み込んだ。



ボアスアのときと同じく、真っ白な空間に、高級檜机と銀白色の鼎2つが鎮座し、周囲には絹布や各種器具が雑乱におかれている。


机の上には、特に何も引継書らしいものが残っていないようで、私は左側の鼎を確認した。


と、その時に、絹布が現れた。


恐らく神から私に対して何かを伝えたいのだろう、私は絹布を開いて中身を確認する。


<< バロッチとの戦い、ご苦労。既に聞いていると思うが、この部族は巫覡がいなくなって100年が経った。

あなたは気になるかもしれないが、なぜ次の巫覡を指名しなかったのかと。

そう、私は指名しなかった。理由はとてもシンプルだ。この部族での巫覡の地位は、100年前の当時では既に危うかったのだ。


聡明なあなたならとっくに察しているであろう。

大長老が若すぎること。戦士団長が見立ちたがり屋であること。

何を隠そう、この部族の実権は、長い間ずっと戦士団長が握っているのだ。


今回の戦後処置は、実質的にこの部族の最高統治権を再び大長老に戻したので、今後は今より発展するだろう。


また、今後はあなたがいるので、敢えてバロッチの巫覡を指名するつもりはない。>>



なるほど、謙虚そうなアブス大長老はただのお飾り人形で、ずっとアリマン団長が実権を握っていたのか。


しかも100年前の団長からそうなっていたので、現代の言葉で言い換えると軍事政権のような体制。確かに現代のブヌン族は父系制なので、今の体制はいわば過渡期ってことかな。


昨日、ダネブ団長が珍しくバロッチ戦士団のいち早くの解体再編を要望した理由もこれでよくわかった。アタブ族とサカライ族と今後の関係が早く定まれば、そのときに再編を主導してもらおう。


アリマン団長は、神の奇跡を見せたことで心服させたから、すでに明確に敵意をなくしているはず。寧ろ今後はその指導力を利用して今後の領土拡大に繋げたい。


軽くこれからのことを思索し、特にこれ以上の用がなかったので私はバロッチの禁忌の地を後にした。


初めての小説なので、

言い回し、誤字脱字、文法の誤り、表現の改善などがあれば、

感想や誤字報告に書いていただくととても助かります。

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