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バロッチ族の今後についての会議



ー『ナオ様、ウサイ集落に着きました。』


ドバくんが説明をしてくれた通り、目の前に見えたのがウサイ集落。


向かって右側、方向的には南側、の遠くないところにハッケ山の姿が見えて、左側、つまり集落の北側に川が流れている。


集落を囲むのは、簡易的に作られた板塀であり、家屋はこの時代の典型的な高床式、しかし予想通りボアスアと比べてかなり造りが荒かった。


『この集落は、また移動する予定のか?』


私の問いに、アリマン団長が答えた。


=『はい、私が団長を務める間に既に数回移動しました。』

『やはり耕地が弱くなったからか?』

=『仰るとおりです。』

『なるほど』


原始的な移動農業のままだ。まさか徒歩一時間もかからない二つの集落の間にこんなにも技術の浸透が異なるとは。やはり敵対関係にあるからだろうか。


集落の規模もそこまで大きくなく、見た感じダデイの半分くらいかもしれない。


入り口では、複数人が待ち構えてくれている。うちの戦士団員と、北の長老と似たような服装を着ている女性というか見た目は私より若いから女の子かな?そして周りにはシャーマと思われる人達がいる。



==『初めてお目にかかります。バロッチの大長老を務めているアブス・イスタシパル・イスタンダと申します。本日はご足労いただき申し訳ございません。』

『アブスさん、ご丁寧にありがとう。ナオ・エ・ジャヴァイアンナ・ネ・ジョンホアです。ボアスアの神の代理人です。』

==『お話はうちの者から聞いております。本日はこの場を設けていただきまして感謝申し上げます。』


とても幼い顔つきで、目がくりくりで、鼻が少し高めで、唇はぷるんぷるんで潤い、顔は先住民族らしく褐色で、若いのでつるつるしている。まだ結婚していないのか顔に入れ墨はなかった。


ボアスアは既に入れ墨が必須ではないが、アリマンや他のバロッチ戦士が皆顔や体のあちこちに入れ墨を入れているので、恐らくバロッチではまだまだ成人や結婚儀式においては必須なのだろう。


外見の割に、緊張する様子が見られず、とても丁寧に挨拶をこなしているように見えたアブス大長老とともに、私達一行は集落の集会所に入った。


集会場は簡易的で、少々狭いので、アブス大長老とシャーマン一人、アリマン戦士団長、ダネブ戦士団長、私、ドバくん、タナワス事務団長の7人以外は、一旦外で待機してもらうことに。



ーー『では、お互いに事前に話が通っていると思いますが、今回のバロッチ部族の敗戦に伴い、ウサイ集落、そしてバロッチ部族の今後について協議をする場として本日の会議を開きました。』



それぞれ座った後、ダネブ団長が話を始めた。



ーー『勝戦側ボアスアからは、全権を持つ神の代理人のもとで、ボアスアの要求を伝えます。敗戦側バロッチ側からは、大長老を最終決定者として協議に臨んでください。』

==『承知しました。』

ーー『では、神の代理人様、宜しくお願いします。』



ダネブ団長からボールを渡されて、私は要求を切り出した。



『此度のボアスアの要求としては1つ。バロッチはボアスアの統制下におくことである。』



事前に通達した甲斐もあり、バロッチ側も特に驚いていない様子。私は話を続ける。



『その上、ボアスアは、バロッチの繁栄を手伝うことを約束する。また、バロッチは引き続きアブス大長老の元で統治すること認め、アブス大長老はボアスアの長老会議に出席することを求める。そして、長老会議においては、アブス大長老はボアスアのアクワヌ大長老と同格に位置付けし、私、神の代理人の直属関係にある。』

==『バロッチは、ボアスアの決定について、異議はございません。』

『では、バロッチ戦士団については、私の代わりにダネブ団長より最終判断を伝える』


まずは部族の指揮体制について、バロッチを一旦ボアスアというか私の統治下に起き、小さいながら連邦制を取ることにした。バロッチの内部の反対の声を躱すことにも役立つ。そしてこのほうがお互いへの影響を最小限にできる。バロッチは他部族なので、言語ももちろん、生活習慣などは多少なりとも異なるので、併合してしばらくの間はセンシティブな配慮が必要。



ーー『バロッチ戦士団は、しばらくはアリマン団長の率いる現体制を続行してもらいます。また、アリマン団長の指揮命令権は私ダネブのもとにあり、防衛についての一部権限はアブス大長老に委任します。』

=『バロッチ戦士団は異議ございません。ご決定に従います。』



一方で、軍事面では、ダネブ団長の懸念点がとても無視できないので、指揮権はダネブ団長が握りながら、特にバロッチの東側の防衛において現場の判断が大事であることから、防衛に関する一部の権限をアブス大長老に渡し、アブス大長老の指揮のもとにアリマン団長が対応するという上下関係が出来てしまった。


今後領土拡大が続いたら、いずれダネブ団長には全体の指揮を任せ、ボアスア戦士団長は他の人に引き継いでもらわないと…



『内政については、アブス大長老からバロッチ族の現状報告を』

==『はい、私達バロッチ族は、大きく分けて3つの集落を持っています。また集落の間にも小規模な集落が複数点在していますが、それぞれ3つの集落のどちらかの管理のもとにあります。』

『人口と主な活動は?』

==『まずこちらのウサイ集落は100人程、周辺の小規模集落とあわせて約150人前後です。そして南東に行くとバロッチ中央集落があり、人口は200人前後、周辺の小規模集落と合わせて約350人です。そこから南に行くとバロロチ集落があり、人口はバロッチ中央集落と同じく200人で、周辺と合わせて約300人です。』

==『ウサイ集落は主に農耕と漁撈、バロッチ集落は農耕と漁撈と狩猟、バロロチ集落は農耕と採集と狩猟です。戦士団員は戦時150人前後で、平時は70人です。』



バロッチは部族合計800人前後、戦士団は平時でも1割持っているので、やはりボアスアといいバロッチといいこの時代の先住民族らしい…。



『分かった。次は周辺部族との関係を教えて』

==『はい、まず北側にはアタブ族があります。アタブ族はは我々とは昔からあらゆるところにおいて協力関係にあります。次に東側にはサカライ族があり、最近敵対関係に変わりました。最後に南にパクド族があります。パクド族とは多少ながら貿易関係にあります。』

『そのさらに南のラムド族は?』

==『ラムド族はパクド族とは兄弟部族であり、パクド族と同様我々とは貿易関係にあります。』

『なるほど、それぞれとの関係は今後でも変わらないのか?』

==『南のパクド族とラムド族とは中立的な関係のため、恐らく変わりません。サカライ族とアタブ族との関係については私には少々読めません。というのも、今後は両部族にとってバロッチに変わってボアスアが相手になりますので、良くも悪くも一旦白紙に戻さないといけないのです。』

『まあそうなるだろうな』



ボアスアと併合後は、内政では自治を許しても、外交では一本化するのが常であるため、ボアスアとしては友好関係を引き継ぎたくても相手にも拒否権が生じる。逆に敵対関係においても、お互いに再考の余地を与えることも出来る。


私の理想を言えば、アタブ族と引き続き友好関係を保ちながら、サカライとの敵対関係を解消し、しばらくはバロッチあらゆるところの強化に集中したい。



『では、この場で指示を出すので、よく聞いて』



次の一歩を、とりあえず簡単に示し、詳細はこの後詰めればいい。



『まずは北側のアタブ族との友好関係について、アブス大長老またはアブス大長老が適切と思う人が、明日、遅くては3日以内にアタブ族に入り直に交渉をしてもらう。』

==『承知しました。向こうの大長老と私は進攻がありますので、明日私が直接訪問します。』

『東側のサカライ族については、ダネブ団長、交渉はボアスアの戦士団員が適切かと思うので、人員の選定は一任する。こちらも数日中に結果の報告を頼む』

ーー『承知しました。ダデイの支団長に任せたいと思います。直に手配します。』

『タナワス団長』

ー『はい、ご指示をお伺いします。』

『ひとまず農業についてなんとかしたいので、イスルさんにバロッチで活動できる人選を選んでもらうように。農業の改革内容については私が一緒に教える。』

ー『承知しました。』

『あと、東のバグアン集落からの連絡道路を拓きたいので、東の長老に人選の用意をしてもらうように。』

ー『承知しました。詳細については中央集落に戻ってからという認識でよろしいでしょうか?』

『そうだ。よろしく』



そして、アブス大長老には、アタブ族との交渉後、中央集落に来るよう指示した。


一方、ダネブ団長からは、併合の作業が落ち着くまでの間に、ウサイ集落に一旦ボアスア戦士団の主力を置き、万が一に備えて戦士団が直接統治する体制を作りたいとの要望が上がった。



『分かった。一旦長老会議が終わり、すべての体制が整えるまでの30日間はそうしよう。ただし内政についてはウサイ集落の長老に一任し、そして生産要員への影響を最小限にするように。』

ーー『承知しました。』



簡単な現状把握と、今後についての大まかな方針を決めて、一旦今日の話し合いは終了した。


それぞれが配下に指示を出している間に、会議中ずっとアブス大長老の後ろに控えている中年のシャーマンが声をかけてきた。


===『あのう、神の代理人様。お取り込み中大変申し訳ございませんが、少々相談に乗っていただけますでしょうか?』

『ん?私にできることなら』


なんだ、シャーマンから声かけられたらいきなり相談事を持ちかけられた…


===『勝手なお願いですが、もしこれからお時間がございましたら、我が部族の「禁忌の地」を一緒に探していただけないでしょうか?』


『え?バロッチの禁忌の地?』


初めての小説なので、

言い回し、誤字脱字、文法の誤り、表現の改善などがあれば、

感想や誤字報告に書いていただくととても助かります。

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