表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/33

禁忌の地という名の控室で小休止

神託の絹布を読み終えた私は、絹布を机の片隅におき、元からしーんとした神の部屋を見回した。


ここ禁忌の地に来たときからあるものを、とりあえずといって一旦は一つの部屋に収まったままにしてあるが、壺に鼎に陶器磁器、そして言うまでもなく天井まで積み上がった絹布タワーが林立とも乱立ともいった感じで、雑乱としてとても落ち着かない。


別に自分のものじゃないから文句を言いたいのではなく、もちろん自分の部屋が常に整理整頓ピッカピカなわけないし、単純に自分が散らかしたものならなんとなくどこに何があるのかをある程度把握しているので、いざならぱぱっと見つけて取り出せるからだ。


でも、この神の部屋のものに限ってはそうではないため、なんとなく鬱陶しさを感じた。ほんわりと。わずかに。


なぜなら私の精神に対するダメージが入らないという、最初にもらった神の力が働いているからである。


待ってよ。


そういえば、念じればできることが多いようならば、これはできるのではないか。ものはためしだ。どうせ時間は有り余ってるのだ。


ちょうど今朝イスルさんから聞いた話で、少し確認したいことがあった。


私は試したい言葉を脳内に浮かばせて念じた。



(先々代巫覡が受け取った、先代大長老の改革に対する神託を探し出せ。)



念じた直後、タワマンならぬタワ絹布の上層階から一枚の絹布がすっと抜き出され、私の元へふわふわと舞ってきた。


実験大成功。


これならば、書類関連は一箇所にまとめるだけで、分類せず整理も整頓もしなくても、念ずるだけで、まるで専属の司書と秘書がつくようなものだから、わざわざ煩わしいことをやらずに済むのだ。


できることが分かったら、次に何をやるべきかは一目瞭然だ。


私は、広大な神の部屋を二分割にした。廊下への入り口があるのは机と鼎が残った部屋で、それ以外のものは、全部新たに区切った部屋に放り込んだ。


あ〜、すっきりさっぱり〜。真っ白な部屋に木目調の檜高級机に銀白色の鼎が一対、真ん中に構えている配置は、「神聖」そのものだ。これなら公務も上機嫌にこなせる。


そういえば、あの神託にはどのように書いてあったのか見てみよう。



<< ウミオル・パイヨル・(ボアスア大長)タマーチャチミ・オ・(老の施策に、ボ)ボアスア(アスア)・チョ・オ・ボアスア(の民は従うこと) >>



なんと、実に簡潔明瞭で、100%の信頼を感じた…


まあ、細かく指示するよりも、大筋同意のほうが、先代大長老にしても、先々代巫覡にしても、神にしても都合がいいので、まさに三方良しの神命だ。


それに、この一行で、先代大長老が本当に改革に取り組んだのも分かったので、私がこれから集落に色々と施策をばんばん打ち出しても恐らくすんなりと受け入れてくれそう。



よし、公務脳はここまで!今から数時間くらいはゆっくりしたい。禁忌の地を出るとまた忙しくなるし、初陣となる戦にも出なきゃいけないし、ゴロゴロするならこのチャンスを逃すとまずい。










禁忌の地では恐らく一日くらいの時間を過ごしたのだろうか、私は充分に心が満たされた。


最初は休憩部屋で、その場で作ったダブルベッドサイズのクッションでたっぷり寝て、そして起きてからもだらだらとした。



「思えば、私は神のわがままに付き合っているんだな…そして勝手に期待の星として身一つ問答不要でここに送り込まれた…」



お風呂に浸かりながら、こんな独り言を零した。



「そのうち帰れるよな?…あいつ…ユーイチくんにまだ会いたい。」



何一つ汚れていない体を、一度は使ってみたかったCブランドの高級ボディソープを泡立てて包み込んでシャワーで洗い流す。


少し若くなってメリハリが付いた顔と体に、私はまだ少し違和感を持っている。



「本来の16歳の時よりはきれいになったけど、この姿をユーイチくんが見たらびっくりするんだろうな。いつも冷静で平然とした表情をこれで崩せそうだな。ははは」



お風呂タイムが終わり、メイクルームにいる私は、メイク道具を新たに生成し、戦いに相応しい凛とした雰囲気を纏わせるよう、青み系のパープルメイクを顔に施した。


肩にギリギリ掛かる程度のミディアムに近い長さの髪は、つやつやのつやつやって感じ。トリートメントもミルクも付けずにこの様だから神の力万々歳だ。


しかし雰囲気作りには、このままじゃ少々足りない。念じて、変化をきたす。


もともとピンクブラウンの色合いを、メイクに合わせてバイオレットな色合いを持った、ストレートに近い前下がりボブにチェンジした。前髪は敢えて分けることに。



16歳のこのパーフェクトな顔だからね、自分が言うのもあれだけど、流石に前髪ありだと可憐で清楚で庇護欲を掻き立てるような姿が出来上がり、威厳も権威も微塵もない。


母系社会とはいえ、男心は変わらないはず。まあこれを逆手に取って不意打ちするのもありだけど。



「よし、こんな感じかな。」



最後に、この時代で作れる服という前提で、黒基調に薄くダークパープルを滲ませた色合いのロングワンピースに着替えて、靴は歩きやすいよう、これもブラックとダークパープルの毛皮スニーカーブーツに履き替えた。



「ステキ〜」



メイクルームに出口を出現させたあと、もう一度鏡に映った自分をチェックした。


これで、気持ちもメイクも衣装もバッチリ、戦闘シーンの撮れ高も心配不要だ。いや私は本陣で指揮を執るだけだけど…っつかここ楽屋か。


自分にツッコミつつ、禁忌の地を出た。


ドーーーン


ー『うわあ〜〜〜〜〜』


バタン


出口を仁王立ちして立ち塞がるドバくんを背後から思いっきりぶつけて、ドバくんは悲鳴を上げながら数メートル先に吹き飛ばされた。


私って、実は強かった?


初めての小説なので、

言い回し、誤字脱字、文法の誤り、表現の改善などがあれば、

感想や誤字報告に書いていただくととても助かります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ