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エッセイ集

ざまあがなろうの日間ランキングを席巻した理由

作者: 水源

 さて、ジャンプの漫画学校講義録⑥ 作家編 松井優征先生「防御力をつければ勝率も上がる」を読んでなぜなろうでざまあがランキングを席巻したのかの理由がわかった気がしました。


 集団の中にいた主人公がスキルや職業がはずれで追放されるというのは勇者の集団召喚、いわゆるクラス転移などでよくあるテンプレの一つですね。


 アニメ化された盾の勇者の成り上がりなどもそうです。


 童話で言えばみにくいアヒルの子とかもそうですし、神話でもスサノオとかのように追放された後の方が活躍している物語はあります。


 なので、勇者パーティや有名ギルドなどの組織からの追放というのはその変形に過ぎないとも言えますが、”真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました”から始まった追放ブームがなぜ現状まで続いているのかはいくつか理由がありそうです。


 1・ざまあは”シャーデンフロイデ”つまり自分が手を下すことなく他者が不幸、悲しみ、苦しみ、失敗に見舞われたと見聞きした時に生じる、喜び、嬉しさといった快い感情と、評価の低かった主人公が実はすごい能力の持ち主で正当な評価を受けて活躍できるという成り上がりの快い感情を同時に味わえます。


 この勇者があほな行いで勝手に転落していくのと、悲惨な環境にあった主人公が実は有能でちやほやされるようになるというのを同時に味わえるというのは実は転移転生の時代にはないものです。


 転生物は社畜やニートでどん底だった主人公が死んで生まれ変わり、チートな能力を得たり現代知識を使って活躍することによってちやほやはされますが、ブラック企業などがつぶれたりしてざまあできるわけではないですしね。


 また、クラス転移のパターンでも追放をした召喚者の王族などが勝手に落ちぶれていくことはなかったと思います。


 松井優征先生は「面白さ」の説明として、「脳が感じる快いという感情」から「読者が支払うコスト」をひいたもので、読者が支払うコストとは金・時間・労力であるといっています。


 そしてそのために”読んだ時間・労力の割に内容が濃い”ということが大事で、だからこそ「兼ねる」が大事! といっているのですね。


 そして、勇者パーティの没落と主人公の成り上がりの2つのストーリーを兼ねるという条件は追放ざまあは、もろに当てはまります。


 2.不快にさせるキャラやストーリー展開がない


 これも大事で、不快なことは単純に脳にとってストレスであるため、「すぐにリベンジする用意ができている」「試合に負けたけれど勝負には勝っていた」とか、読者のストレスをこまめにケアする工夫が必要といわれていますが、ざまあの場合は勇者などの主人公を見下したり追放など不快な行動がすぐに勇者にしっぺ返しとして帰ってくるのがわかるのが強いのですね。


 この辺り不快な要素を持つキャラに対する復讐物では対象を殺害したりひどい目に遭わせたりできるかが復讐の達成までわからないのとは大きく違いますね。


 パーティーやギルドから追放する無能キャラの存在はさほど読者にとってストレスにならないというのは強みなわけです。


 3.大筋を理解するのが容易


 追放物は分かり易く、追放される主人公と追放する側の立場や社会的評価の変化などが明確です。


 優秀な能力を持っていた主人公を追い出したパーティがその無能さゆえに勝手に自滅していき、主人公は生まれ変わるように活躍して高い評価を得られるわけですからね。


 しかし、それだけに欠点もあります。


 まずはざまあはヘイト役の転落と主人公の成り上がりが重なっているために長い話には向いていないこと。


 また、主人公の強さの理由はいろいろと差別化できますが、追放する勇者パーティ側の落ちぶれ方の差別化がとても難しいことですね。


 さらに追い出される主人公が本当に役立たずだった試しが無く、むしろ万能すぎる主人公がなぜパーティーを組む必要があったのか? という作品も多くなってきたよなという感じもします。


 むろん本当に役立たずだったら勇者パーティやら有名ギルドに加入する以前の問題ではあるのですがね。


 もっとも、俺より頭が悪いのにあいつはなんで評価されて自分が評価されないんだみたいなことは多かれ少なかれ思うことでしょうし、単純に共感を得やすいというのはありそうですが、こういった作品を読んでる人たちが実際に社畜やらのあまりにも厳しい状況に置かれていて、こういった作品を読んでるとは思わないのですよね。


 むしろ、そういった人たちは生きていくだけで必死でなろうなんて読んでいる余裕はないと思うんですよ。


 むしろそこそこの収入はあるが裕福というほどではなく、時間も余ってるというほどでもないが、だからといって時間に余裕がないわけではない、そして自分の立場は微妙に低いように思うしバブル世代が威張り腐って上にいるのがむかつく程度の人なんじゃないかなと思ったりします。


 あ、人間の追放物に飽きた人は”大根ですが、おでんパーティから追放されました。パーティの野菜成分を俺が一手に担っていたんだが、大丈夫かな”は追放されるのが人間じゃないのにめっちゃ笑えますよ。

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― 新着の感想 ―
[一言] >不快にさせるキャラやストーリー展開がない  自分の中にもあるので否定しずらいですが、なろうのざまぁはあさましい気がするので、お話自体不快なところがあるように思います。自分は悪くなくて、嫌…
[気になる点] なろう内で不自然に流行っても、なろう外で評価されないという毎度おなじみの矛盾点。 [一言] 松井優征先生の記事と照らし合わせながら個人的な感想を述べますが、 まず、ざまぁというコンセ…
[良い点] 面白い理由を考察するということは、大切ですよね。そこから、次の工夫が生まれますからね。 [一言] ストーリーを長引かせるのと、没落のパターンを変えるための方法を考えてみました。 残りのパ…
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