三話
ラドルファスは部屋の中に入る。
そしてソフィアも入ったのを確認すると、彼は言った。
「ここがアンタの部屋だ。」
ソフィアは軽く頷く。
ラドルファスはそれを見て、少し笑顔になった。
「オレは師範の歓迎会の準備をするから、イザ…えっと、王女様とリーダーのご子息も来るらしい。オレも参加するが……流石にジャージで参加するわけにはいかねぇな、じゃあ着替えてくるから。」
ラドルファスは続ける。
「アンタの正装は部屋の中の紙袋にあるから、サイズが合わなかったりしたら言ってくれ。じゃあ、また後でな!」
バタン
ラドルファスが居なくなり、静かになった部屋で、ソフィアは着替え始めた。
しかし、正装というのは謎の服だった。
袖丈が30センチほどある上に、足首まで服の丈があるのだ。
太いリボンのようなものも置いてある。
とても綺麗に折りたたまれているみたいだ。
おまけに靴は、親指と人差し指に太い紐を挟んで履くものだった、カツカツ変な音がする。
ソフィアは、あることに気づく。
靴の側面がない!ない!!!!
これでは靴底と足裏が歩く度に離れて転びやすくなるのではないだろうか。
ソフィアはこの格好に見覚えがあった。
「(ホオズキが着ていたような…)」
ソフィアは思い出した。
おそらくこれは、琥珀の集落の正装だ。
ホオズキというのは、琥珀の集落を率いるリーダーの息子の名前。
礼儀正しいが、掴みどころのないきまぐれかつ残忍な性格でとても大変だった。
毒針を爪に仕込み、握手されたり…
その辺の草を摘み、技術や魔法を駆使して毒薬を作ったり…
『新作、飲んでみますか?
ふふふ…これでこの薬の効果も、貴殿の頑丈さも分かりますねぇ!』
かつてホオズキの師範になった時は手を焼いた記憶しかない。
着物を来ながら思い出す。
確か、ラドルファスはカスケード王国の王女も来るとも言っていたか。
ということは、王女であるイザベラとも会うことになる。
イザベラは、カスケード王国の王女である。
正義感が強く、言われたことは何でも素直に受け入れるので、ホオズキと比べ物にならない程の安心感がある。
『いい?あなたはあたしを素晴らしい王の器にする義務があるの!』
しかし、一方こちらは座学も剣術も精霊術でさえからっきしダメだったので、その面ではとても苦労した。
その二人に、これから会いに行くのか。
ソフィアは着替えを終えて、ドアを開けようとした。
しかし、ドアは開かなかった。
「(?!)」
ソフィアは動けなくなった。
なんだ…これは───────
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