一話
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あなたの姿を選んでください
→男性 女性 その他
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あなたの名前を選んでください
→ソフィア
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デフォルトネームのままで
よろしいですか?
→はい いいえ
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ゲームを開始します。
ベッドから起き上がる。
さっきまでの悪夢が嘘のようだった。
こんどこそ俺は、皆を幸せにしなくてはならない。
ソフィアがそう心に誓うと、母親が部屋に入ってくる。
「大変よ、大変よ!ビッグニュース!」
母親は手紙を三つ持っている。
その中身を、ソフィアは知っていた。
「あの王様と、皇帝と、リーダーから!!お子様を指導して欲しいんですって!」
ここまでは、前と同じ流れ。
勝負はここからだ。
「あの三国を支える御三方が…あなたにプロポーズ?!言ってきなよー!お母さんがチケット買ってきてあげるから!行きたい所にお手紙書いておきなさいね!泊まり込みの用意も!」
母親はとても嬉しそうだ。
この笑顔を見るのはいつぶりか。
ソフィアから自然と笑みが零れる。
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→分かった
別にプロポーズでは…
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ソフィアがそういうと、母親は頷き、リビングに戻った。
誇らしげな母親を見ると、彼も嬉しくなる。
「(よし、ここからが本番だ。)」
気合いを入れて、手紙を書く。
前回も前々回も、王国に手紙を書いた。
もっと前は別の所にも手紙を書いたことがあり、これらを何回も何回も繰り返している。
それでも彼がこれを繰り返すのには、訳がある。
それは、皆が幸せになれる世の中を作る為。
その為に何度も頑張っているのだ。
しかし、何度やっても終わり方は三つしかない。
彼は、今度こそ世界を救うと誓う。
王国には、かつて一番足を運んだ。
三国の間でも、一番影響力があるからである。
しかし、何度やっても少しと変わらない。
ここは少し心を変えて、ソフィアは帝国に行こうと決心した。
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だれに手紙を書きますか?
王様 →皇帝 リーダー
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筆を走らせ、手紙を書いて鳩に渡すと、ソフィアは支度を始める。
帝国に行きたいと伝えると、母親も帝国行きのチケットを購入してくれた。
先程敵として殺した彼に、今度は師範として会いに行く。
次の日
母親に見送られ、帝国行きの電車に乗りに駅へ向かう。
ソフィアはとても強い剣聖なので、そこそこの有名人だ。
「行ってらっしゃい、頑張ってね!」
母親のその一言に黙って頷くと、ソフィアは走り出した。
キャリーバッグには、最低限の着替えや道具、大好きな本や魔導書に、愛剣サンディも入っている。
今日は生ぬるい空気だが、風があるのでなんだか気持ちいい。
ソフィアがご機嫌で走っていると、待ち人が声を掛けてくる。
「あんた、電車の乗り方わかるかい?」
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電車について聞きますか?
はい →いいえ
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この人は、最初にここを通ると毎回声を掛けてくる。
何でかはよく知らない。
駅に着くと、係員にチケットを渡して電車に乗った。
帝国に行くには一晩かかるので、ソフィアは本を少し読むと、寝てしまった。
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ソフィアが起きてカーテンを開けると、窓の外は帝国だった。
最初はホームシックになっていたりしたが、もう慣れた。
だが、あればっかりは慣れない───
駅に着いた。
皇帝の住まう、フィロソフィー城を目指して帝国内を進む。
城に近づくにつれ、体が震えだす。
吐き気も出てくる、震えが止まらない。
寒い、怖い、嫌だ。
ソフィアは、彼らに会うのを恐れている。
厳密には、ソフィアの身体が拒否している。
彼は、優しすぎるが故に毎回こうなってしまうのだ。
震えながらも城にたどり着き、使用人に挨拶をすると、ノックをしてドアを開ける。
皇帝が玉座から立ち上がり、こちらへと向かってくる。
結構な年だったはずだ。
「宜しくお願いします、剣聖様。
うちのバカ息子二人をどうかよろしく頼みます。庭にいるんで、声をかけてやってください。」
ソフィアはぺこりと頭をさげると、庭に出た。
すぐに、漫画を読んでいる同じ座高の兄弟が目に入る。
ソフィアは、ごくりと唾を飲み込んだ。
前回は、二人を───
首を横に振って心を落ち着かせると、意を決して、二人に声をかける。
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→今日からよろしくね
俺は新世界の神なんだ
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兄弟は、二人同時に振り返った。
彼らは、ソフィアを見つめている。
「アンタが、師範とやらか?」
「オマエが、師範とやらか?」
二人が同時に口を開く。
彼らは見た目も何もかもがそっくりな双子である。
黒っぽい、お揃いのジャージだ。
端正な顔立ちに、赤みがかった金髪。
中性的な声もそっくりで、正直なところちゃんと見ても見分けがつかない。
一方、ソフィアは動悸がしていた。
汗がだらだらと頬をつたう。
いつになっても、最初だけは慣れないものだ。
「オレはラドルファス、アンタの名前は?」
「ボクはランドルーフ、オマエの名前は?」
双子の笑顔と、無垢な視線に、耐えられない。
「お、俺の名前は──」
バタッ
ソフィアは倒れてしまった。
かつて殺した二人のの無垢な視線が、突き刺さったのだ。
……ここで彼が倒れたのは何度目だろうか。
ラドルファスが声をかける。
「お、おい!アンタ!」
「ボク、使用人をよんでくる。」
「サンキュな、ルーフ。」
ランドルーフは使用人を呼びに城内へと走っていった。
兄弟達は協力して、ソフィアを休ませようとしているようだ。
ラドルファスが、ソフィアを見て口を開く。
「アンタ、顔が真っ青じゃねぇか…」
「はぁ…あぁ…まただ、大丈夫…なのに…」
とても悲しそうな顔で見つめられ、ソフィアは苦しみながらも涙を零した。
次は上手くいくはずなのに、怖い。
やり直すたびに知識や剣、魔法の腕は上がるものの、身体がとても弱っている気がするのだ。
でも、この双子は間違いなく今、生きている。
そう思うと、不安で安堵で涙が零れてきたのだ。
ラドルファスは、そんな彼を不思議そうに見つめ、言った。
「なんでアンタは、泣いてるんだ?」
ソフィアは、酷く悲しかった。
前回、ラドルファスとランドルーフが合体して、自ら獣となり襲いかかったことを彼は知らないのだ。
その兄弟二人をソフィア自ら殺して、それによって王女であるイザベラが酷く悲しんだことも───
だが、同時に嬉しかった。
彼らは辛さを知らない。
まだやり直せるのだ。
次こそ、次こそは。
ラドルファスもランドルーフも。
イザベラも、ホオズキも。
そして、敵勢力の彼らも救う───
ソフィアは、安心に包まれて眠った。
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→はい いいえ
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