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十話

前の皆は、こんなに話していただろうか。


「あぁ…要するに、味噌汁、豚汁、すまし汁といった種類による名前の違いですか?」


「ミソシルってなに?あたし知らない。」


「味噌を溶かした…スープですかね?」


「まずミソってなんなのよ…そのミソとやらにいれて、パンと合うの?」


「パン…聞いたことはありますが食べたことは、というか味噌汁に何故なにゆえパンを?」


「スープにはパンが入っているものでしょ、もしくはスープにつけるものね。パンが無いの?ならば、貴方の故郷の主食をつけるの?」


「まぁ、そういう食べ物もありますけど…私はあまりしませんね。」


「ファス兄と食べるスープにパンは入ってないよ。」


「なんですって?!」



それらを見ていたソフィアの目から、ついに涙が零れる。


「あ、あぁ…あぁぁぁぁぁぁ…!」


突然声を上げたソフィアを皆が見た。


「剣聖様!どうかしたんですか?」


「あ、うっ…ひぐっ…!」


ソフィアは只、悲しかったのだ。

皆が互いに認め会えず、喧嘩して、争ったことが悲しいのではない。


皆考えていることがこんなにも違うだなんて。

違うもの、知らないもの、馴染みのないもの。

それに対する思いが違うだけなのに、どうして争いになるのか。

彼が悲しかったのはここである。


普通ならば、それが当たり前。

しかし、それは大きなハードルだ。

なぜなら彼は、皆を一つにまとめ、救いあげようとしているのだから。


「剣聖!貴方なにしてんのよ、急に泣き出したりして!」


「まぁまぁザーベェ、それくらいにしとけよ。」


気がたっているイザベラをラドルファスが宥める。

ソフィアはようやく顔を上げた。


「だ、だって…皆が言い合いばっかりするから。」


理由がもう少し重いのは置いておき、ソフィアは皆の言い合いもそこそこ悲しかったのである。


「突然…泣いたりしてすまなかった。」


淡い黄緑色の顎のラインまである髪、シュッと通った鼻。

おでこが広め、少し面長っぽい丸顔。

とんでもない長さのまつ毛に、それぞれ濃い緑の左目とと薄い黄色の右目。


ものすごく簡単に言うと、イケメンだ。(イケメンというよりは美少年に近い、最早美少女?である)


美形なソフィアの泣き顔は、その場に居た皆の心を射止めた。


「(な、なんでこんなにかわいいのよ!)」


「(やべぇめちゃ可愛い…)」


「(やば、キュンときた。)」


「(なんと愛い人なんでしょう…!)」


イザベラも、ラドルファスも、ランドルーフも、ホオズキも、皆黙り込み、悶えている。


「……どうした?」


ソフィアのその一言で、やっと皆我に返った。

そして皆同時に口を開く。


「ごめんなさい、かわいくて。」

「すまねぇなぁ、可愛くて。」

「ごめんね師範、かわいくて。」

「申し訳ない、可愛くて。」


四人の声はシンクロした。


「(俺って可愛いの?格好良いならまだしも可愛いの?)」


ソフィアはびっくりしていたが、あまり気にせず食事を再開する。


四人も同じく食事を食べているが、視線の先には笑顔で白身魚のフライとポタージュを食すソフィアが。

ソフィアの控えめに言って可愛すぎる満面の笑みに、皆癒されていた。

四人の頭の中には、可愛いが溢れている。


そうとも知らず、ソフィアは笑顔で料理を食べ続けた。


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