四話 呼ぶ山6-5
ユウカが続きを担う。
『この度は、気の合った花子さんをお呼びしたのだ。我が――というよりも、この山が』
風もないのに、周りの枝葉が揺れた。
まるで同意しているようだった。
『あたしは、遠くには行けないって言ってたのに、偶々ハナが行く場所だったから、これはやらざるを得ないかなって』
うんざりはしているが、頼られたら断れない花子の性格を華子は知っている。
しかし、呼ばれたその理由が分からない。
「な、なぜ……花子は呼ばれたの? 美優紀さんも、それに呼ばれたの?」
『今、この山は、寂しい者が募ってしまっているのだ』
揺れる木の葉の陰影が、手のように華子に絡んでは解ける。
「寂しい者って、幽霊?」
『うむ。人からすれば、そういった類の者達だな。だが、それらもまた呼ばれた者達なのだ。此処には……ッ⁉』
『ちょっと、話が違うんじゃない……!』
花子とユウカが森の一点を睨む。
華子も、先と違う空気を感じ取っていた。
(なっ、なんだか……生温い気の流れ……?)
恐怖よりも、気味の悪い感覚だった。
ガサガサと、先と違う木々の揺れに、三人はハッとする。
『まさか……此処に入ってくるとは……』
ユウカが苦虫を噛み潰したように言った。
『今の狙いは、恐らくハナよ! 一旦、元の所に戻るわ!』
「わっ、わたし⁉」
急に的となり、華子は困惑した。
が、見えない相手は、確実にこちらへ迫ってきていた。
『ハナ! 寝て!』
「はぁ⁉ そんないきなり⁉」
緊張感以上の花子の無茶ぶりに、華子は目を見開いて反論した。
『致し方ない! 華子、すまないが、強制的に眠ってもらう!』
「はい⁉」
迫る何かの不気味さよりもユウカの物騒な物言いに、再度華子は反射的に声を上げた。
が、ふわりと甘い香りに包まれ、その勢いは削がれる。
(なん……なの……?)
美優紀は一体どこへ行ってしまったのだろう。
何に呼ばれたのだろう。
ハナ、あたしを想っていて……
花子の声が聞こえた気がした。




