表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

63/120

四話 呼ぶ山3-2

 ログハウスに入ると、締め切られていたせいもあり、外の澄んだ空気とは違ったもわっとした熱気が、華子と照を迎えた。しかし、室内は綺麗に掃除されており、空気以外は文句なかった。

 玄関を入ればすぐに二階へ上がる幅の広い階段があり、右手にリビングとダイニングキッチン。一階の奥には、お風呂とトイレがあり、一つ部屋があった。二階はドアが向かい合わせにあり、ダブルベッドとツインベッドの部屋となっていた。

 二階を寝室とし、直也は華子と一緒の部屋がいいと言い出すから、とツインに子ども達、夫婦はダブルと照が決めた。

 ツインの部屋は、華子の自室よりももちろん広く、今まで家族旅行でも泊ったことがないほど、落ち着いた雰囲気で木の香りに満ちていた。

 部屋の中でも、蝉の大合唱は木造の壁越しに聞こえてきた。

 外から見ていた窓を、今度は中から臨む。山々の緑が遠くまで続いている様がよく見えた。


「すごぉい。花子、すごくない?」


 小声で花子に話かけたが、答えはなかった。


(なによ……せっかく少し話せると思ったのに)


 荷物をそれぞれの部屋に運び、空気換気のために、窓を開けた。


「少し休憩していこうか。ちょっと喉渇いちゃってさ。リビングで待ってて」


 照の提案に、華子も賛同した。

 直也と美優紀ともはやく合流したかったが、寝不足だった上に車に長時間揺られて、少し落ち着きたかったのだ。

 リビングには、シンプルなこげ茶色のカバーがかけられた二人掛けのソファが一脚と、同じタイプで一人掛けの物が二脚、木製のテーブルを囲うように置かれていた。

 華子は、その内の一人掛けに座った。

 照はキッチンへと入っていった。

 冷蔵庫には、飲み物だけ常備されているようだった。

 華子にお茶を手渡し、照はアイスコーヒーを飲んだ。


「ここ、気に入ったかい?」

「あっ、はい! とっても!」


 華子が元気に答えると、照もホッとしたように笑ったが、それはすぐに苦笑に変わる。


「ハナちゃん、君も、見える側なんだね」

「……え?」


 急に核心を突かれ、華子は動揺した。

 どこでバレてしまったのだろう。

 さっきの小声が聞かれてしまったのだろうか。

 まさか、直也と美優紀が気付いて、照に話したのか。

 いや、そんなことはないはずだ。


(二人は、わたしを避けたりしないし、例え気付いても、きっと大丈夫……照さんだって……)


『もう、変わらないわね、照は』

「えっ⁉」


 さっきは話しかけても応じることのなかった花子が、すぅっと姿を見せた。

 花子のムッとしたような声に、照が苦笑を深くする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ