四話 呼ぶ山2-2
(へ、変な写真になってないといいけど……)
が、その心配は無用だと気付いた。そこは友人も遠慮をし、周りのそういった存在を遠ざけてくれたのだろう。
「ほらっ、良い写真」
美優紀が見せてくれた写真には、熱々の揚げパンを手に、笑顔の華子と直也がしっかりと納まっている。
(よかったぁ! こんなに誰かと自分が楽しそうに写ってる写真、初めて見たかも)
「後でハナちゃんのスマホに送るね」
「あ! はい! お願いします!」
安堵と喜びで、美優紀の撮ってくれた写真を覗き込む華子と一緒に写真を見た花子が、耳打ちしてくる。
『素敵な写真じゃない、ハナ。あたしが近くにいる時に写真とか動画を撮るように、直也ママにも伝えておいて』
(そんなこと、言えないわよ!)
『じゃあ、照に言っておくわ』
「えっ⁉ やっぱ知り合いなの⁉」
「え?」
驚きのあまりに声に出してしまった華子に、直也と美優紀がきょとんとした。
「あ、いや……」
「美優紀、今回の旅の写真は俺が撮るからよ」
「あっ、ええ! じゃあお願いね、照さん」
しどろもどろになる華子に助け舟を出したのは、やはり照だった。
美優紀もどこか察しているようではあったが、それ以上は何も言わずに、照に任せた。
(もしかすると、美優紀さんも薄々何か気付いているのかな?)
華子が思っていると、直也の「ハナ姉ちゃん!」に夢のような現実へ戻された。
「今度はソフトクリーム食べよう!」
「直君、もう揚げパン食べたの⁉ はやっ!」
「ハナ姉ちゃんが遅いんだよぉ」
直也に引っ張られ、半分残った揚げパンを片手に、華子は色とりどりのソフトクリームの看板を掲げる店の前へ行った。
「直君、どれにする?」
「ぼくはねぇ、ぶどうにする! 色がきれいだもん! ハナ姉ちゃんは?」
『あたしはねぇ』
(花子じゃない!)
『あたしだって花子なんだから、ハナお姉ちゃんじゃんよぉ。見た目は直也と同い年くらいだけどさ』
華子が花子に呆れていると、美優紀がその後を苦笑しながら歩いた。
「直也、あんまり食べると、向こうで美味しいものを食べられなくなるわよ?」
「だいじょうぶ!」
そんな様子を、照が一番後ろで笑っていた。
目的地までの道中は、花子が突然目の前に現れたことも含めて、華子にとっては生まれて初めての楽しいドライブとなったのだった。




