表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/120

一話 呪われた彫刻7-2

「俺、いつも一人で帰ってるよ」

「そうなの? 教室では友達と一緒だから、誰かと帰ってるのかと……」


 さっきまで友達と帰る生徒達で昇降口は溢れていたが、今は少なくなっている。みんな、早く帰れることが嬉しいのか、学校を出るのが速かったようだ。きっと、自宅待機をきちんと守る生徒は殆どいない。友達と駅前のファーストフード店やゲームセンターなどに行くのだろう。後で注意されることよりも、今の楽しみの方が勝る年頃だ。

 霖之助がまた苦笑した。


「俺の家はみんなと反対だからさ。あんまゲームもしないし、ご飯にも行かないから」

「あ、そうなんだ」

「うん。橘さんとは……帰り道、同じなんだけど」

「えっ……?」


 知らなかった。通学中、霖之助を見たことは一度もなかった。

 それよりも、霖之助に苗字を呼ばれたことに、改めて自分が彼と話していることを意識し、ドキドキと胸が高鳴ってしまう。

 霖之助が困ったように頭を掻く。


「あっ、でも、俺、いつも朝練あるし、帰りは部活で遅いから、そんなに顔合わせないよな」

「そ、そうだね。会ったことなかったから……そ、それに、わたしはあんまり周りを見ないし」

「そんなに俯かなくていいのに」

「え?」


 華子が顔を上げれば、今度は霖之助が顔を逸らした。

 周りのがやがやした声は、すでに引いていた。昇降口には、華子と霖之助、後数人の生徒がいるだけだった。

 雨の音が、また耳に入ってくる。

 霖之助が暗い空へと視線を向けた。


「雨、止むといいな」


 霖之助は独り言のように呟いた。

 華子も霖之助に倣い、空を見上げる。


「うん、そうだね」


 呪いが解ければ――


 でも、この雨がなければ、霖之助と話す機会はなかった。

 華子は少しだけこの雨に感謝したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ちょっとドキドキの展開に、読んでいるこちらもドキドキしてきますね^^ 雨が結んだ二人の縁……これからが気になります!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ