表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

101/120

五話 受け継いだ者7

 此処はどこ?

 あたし、死んじゃったの?



 誰もいない。



 お父さん、お母さん、お姉ちゃん……!



 叫んだつもりだが、声が出ていない。誰も答えてくれない。

 此処は、普段通る通学路だ。

 あのスーパーだって、さっき嫌いなあいつが出てきた。

 でも、今は誰もいない。



 此処は、あたしの住んでいる町じゃないの?



 息を潜め、身を潜めて、何処へ向かうでもなく、只管に逃げていた。



 あれは一体なんだったの?



 見慣れたはずの町並み。しかし、今は初めて見る風景のように感じる。

 家族や友人だけでなく、見知らぬ人々がそこにいるから、町を自分の知っている場所だと感じるのかもしれない。

 時折、風で揺れる何かの影がある。

 それに怯えた。



 あの音が聞こえるかも……



 怖くて堪らない。

 でも、逃げなければならない。


 しかし、どこへ――


 普段通る道を外れた。

 逃げる。走り、隠れ、怯えながら走る。

 辺りは、すっかり暗くなり、陰は濃くなっていく。

 街灯がゆらゆらと揺れている。

 視線を上げると、大きな壁のような建物が見えた。



 あれは……小学校?



 不意に、あれが聞こえた。



 テケテケ……テケテケ……



 探している。

 自分を探している。

 自分の足を探している。



 自分になる自分を探している――



 逃げなければ。

 あそこまで、逃げなければ。



 小学校まで逃げれば……



 音が通り過ぎるのを待ち、小学校へ向けて、また走り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ