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4.5

 外崎さんが殺された日の夜、夕食を食べ終えた僕達は食堂で会議を行った。議題はもちろん消えた透と殺された外崎さんについてだ。みんな下を向いて長いテーブルを囲んでいる。


「まず、今日あったことを話そうと思う」


 しんと静まりかえる食堂に僕の声だけが響き渡る。下を向いていたクラスメイト達の視線が僕に集まった。


「今日あった配属先の発表の時、透と外崎さんがいなかったのは知ってるかな?」


 ウンウンと頷く人もいれば、そうなのかと周りを見る人もいる。半々ぐらいだ。僕だって最初は外崎さんがいないことに気が付かなかったのだから仕方ない。


「そして二人がいないまま発表が終わった、その後に悲鳴が聞こえたんだ」

「俺も聞こえた」

「私も」


 先程透の部屋まで来て中を見てしまった、相内くんと中出さんが呟いた。二人の顔が他の人よりも暗いのは死体を見てしまったせいだろう。


「僕と一条は悲鳴の聞こえた方に行ったんだ。そしたら、死体があった」

「なぁ、本当に外崎さんの死体だったのか?」


 まだ、現実を受け入れることが出来ないのか、誰かがそう言った。確かに、僕だって逆の立場だったら……死体を見ていなかったら、信じていないと思う。


「これが、証拠だよ」


 僕は部屋に落ちていた外崎さんの生徒手帳をテーブルに置いた。外崎さんの血で真っ赤に染まった生徒手帳だ。しかし、生徒手帳に書いてある「外崎」という文字は読むことが出来た。


「うぅ、外崎ちゃん……」


 外崎さんと仲の良かった女子生徒が泣き出す。


「なぁ、これが見つかったのって透の部屋なんだよな?」

「そうなのか?」

「もしかして透が……」


 誰かが言った言葉に、多くのクラスメイトが反応する。そして、真実なのか確かめるように僕の方に視線が向く。


「そうだよ、外崎さんは透の部屋で殺されていたんだ」

「なら、透が──」

「待って。まだ、決めつけるのは良くない」


 誰かが言いかけた言葉を遮り、止める。


「岡本、透と仲がいいからって庇うのはよせ」


 今まで黙っていた一条が口を開いた。


「そういう訳じゃ、ただ確実に透がやったって証拠は……」

「透の部屋で外崎さんが死んでた。それだけで充分証拠になると思うぜ」

「そうだ!」

「そうだ、そうだ」


 その時だった。


「私、透君が外崎さんに話しかけるところ見た」


 女子生徒がボソリと呟いた。うそだろ? 僕は信じられなかった。


「これで確実だな」

「透がやったのか……」

「部屋に呼んで殺したってことか」


 透と話したのは昨日が初めてだった。僕はお風呂で話した時のことを思い出す。アニメや小説について語り合った。いままで、イメージが壊れるのが嫌で、あまりそういった類の会話はしてこなかったが、不思議と透となら話すことができた。

 好きなアニメを教えたり、教えてもらったり、オススメの小説を教えてもらったり、元の世界に戻ったらアニメイトに一緒に行こうとも約束した。


「うそだ……」


 あれは嘘だったのか? 透は僕を裏切ったのか? そんな考えが僕の頭の中をグルグル回る。


「僕が」


 ──しっかりしていれば、防げたかもしれない。透を信用せずに、スキルを使っていれば、防げたはずだ。


「おい、どうした?」


 一条が僕の言葉に反応する。


「僕がしっかりしていれば……」


 ──何が勇者だ、クラスメイトも守れないで……。


「岡本、お前のせいじゃない」

「そうだ、悪いのは透だ」


 みんなはそう言ってくれるが、僕は納得いかない。一番近くにいたのに気が付かなかった。


「みんな、透のことは僕に任せてくれないかな?」

「任せる?」

「どういうことだ?」

「僕が必ず、透に罪を償わせる」


 僕はそう決意した。

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