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 目が覚めた。とても良い朝だ。だがしかし、俺はふかふかのベットをもっと堪能したくなりもう一度眠ることにした。部屋にいるもう一人は放っておいて。


「おはよう、朝だよ。起きないのかい?」

「なんで、岡本が俺の部屋にいるんだ?」

「起こしに来たからさ。昨日、お風呂でベットのふかふか加減を聞いて、もしやと思ってね」


 どうやら、俺が二度寝をすることを予知していたらしい。だが、残念。これは三度目だ。従って三度寝になる。


「したり顔をしてるけど、三度寝はさせないよ」

「えっ?」

「ん? どうかした?」


 岡本は今なんて言った? 「三度寝はさせないよ」って言ったよな。俺、口に出してたか?

 口に出していないことを岡本が知っていて俺は不思議に思った。


「あぁ、その事か。なんか人の心の声が聞こえるみたいなんだ。これがスキルってやつだろうね」

「なるほどな。そういう事か」

「さて、そろそろ目も覚めただろう? 朝ごはんに行かないかい?」

「そうだな」


 そう言って、ベットから降りる。用意されていた着替えを身につけ。俺と岡本は食堂へ向かった。



 食堂で軽い朝ごはんをとった後、俺達は昨日召喚された場所に呼び出された。どうやら、鑑定とやらをやるらしい。


「これより『鑑定』を行う! 順番にやるから、呼んだら前に出てきてくれ!!」


 昨日の騎士がみんなに聞こえるよう言った。騎士の横には水晶みたいなのを持ったお婆さんがいた。


「いよいよか」

「楽しみだね」

「おう」

「ようっ、岡本と……確か透だっけ?」

「美波透だ。よろしくな」

「俺は、一条だ。よろしく」


 岡本と話していると、お調子者の一条が話しかけてきた。


「なんか、水晶みたいなので鑑定してるっぽい」

「『鑑定』もスキルかもね」

「おっと、次は俺か。行ってくるわ」


 名前を呼ばれ、一条が前に出ていく。


「よっしゃぁ!」


 しばらく待っていると、一条が帰ってきた。さっきの声はなんだ?


「聞いて驚け、俺のスキル、なんと五十個もあったぜ!」

「おぉ、って凄いのかそれ?」

「普通、スキルは十個もあれば凄いらしいよ」

「で、どんなスキルなんだ?」

「それはあとでのお楽しみだ。透も聞いてきてからな」


 どうやら、俺と岡本の鑑定が終わるまで教えてくれないらしい。俺の苗字は美波で「み」だからあとの方なんだよな。


「それじゃあ、僕も行ってくるね」


 岡本がお婆さんのもとへ向かう。


「おぉ、これは!」


 岡本が行ってすぐ、お婆さんが声を上げた。


「どうなされた?」

「これは、素晴らしいですぞ。スキルがなんと百個もありまする」

「なんと、それは本当か!?」


 顔は見えないが、騎士の驚きも伝わってくる。


「なんか、やばいらしいな岡本」

「流石だな。俺の五十個なんて大したことないように見える」


 さっきまで喜んでいた一条が、ガッカリしていた。

 そんな俺たちのもとに、岡本が戻ってき

た。


「おかえり」

「ただいま、なんか僕凄いらしいね」

「十個でもすごいスキルが百個以上だろ? やばいだろそれ」

「けど、スキルにも当たり外れがあるらしいからね」

「まじかっ、俺の五十個のスキルの中にもハズレが……」

「他の人も結構、スキル持ってるっぽいな」

「やっぱり、異世界人だからかな?」


 大体みんな三十個以上はスキルを持っている。スキルは生まれつき持っているもので十個以上あれば良いらしい。そう考えると異世界人はすごい。


「これなら魔王も案外はやく倒せるかもね」

「だといいな」


 そんな話をしながら順番を待っていると、俺の番が来た。


「トオル・ミナミだな?」

「はい」


 お婆さんの前に座る。


「これに手をあてなされ」

「わかりました」


 お婆さんが目の前にある水晶みたいな物を指さしたので、それに手をつける。


「これは……」


 お婆さんの口から、言葉が零れた。俺にもスキルが沢山あったのだろうか?


「スキルが二つしかあらぬ」

「まさか、そんなはずは」


 二個しかないの? まじで? 他の人は三十個とかあるのに?

 あまりの少なさに、騎士も驚いている。


「嘘だろ」


 俺のチートスキルで無双してハーレムを作る夢は崩れ去った。

 なんでこんなに少ないんだ? 逆にどんなスキルがあるか気になる。


 ──スキル『鑑定』を獲得しました──


「えっ?」


 まただ、また声が聞こえた。『鑑定』を覚えたらしい。使ってみる。



 ──所有スキル 『学習』、『翻訳』、『鑑定』──



 頭の中に、スキルの名前が浮かんだ。『鑑定』は今増えたんだよな?


「すみません、もう一度『鑑定』してもらえませんか?」

「スキルは生まれつき持ってるものだ。何度やっても結果は変わらん」


 お婆さんの代わりに騎士が答えた。

 けど、確かに増えた。何故だ?

 そんなことを思っている俺を置いて、『鑑定』は終了し部屋での待機を命じられた。



 部屋での待機時間、俺は考えた。

 増えないはずのスキルが増えた。これはスキルのせいだと俺は思った。『鑑定』と『翻訳』の能力は分かる。だが、『学習』の能力が分からない。きっとこの『学習』スキルがスキルを増やしているはずなんだが。


「失礼します」


 ノックもなしに、メイドさんが入ってきた。後ろには騎士がいる。『鑑定』の時とは違う騎士だ。


「トオル・ミナミ、お前を城から追放する。一緒に来てもらおう」

「えっ? なんで?」


 もうふかふかのベットで眠れないってこと? そんな。嘘だ。


「お前のような無能を育てる余裕はないのだ。わかったら出ていけ」

「ちょっと待ってくださいよ。突然異世界に召喚しておいて、それはひど過ぎないですか?」

「これは決定事項だ。文句を言わずにさっさと出ていけ」


 とりつく島がない。城を追い出されたら困るぞ。


「このこと王女様も知ってるんですか?」

「そんなことは関係ない」


 この反応、もしかして知らないのか?


 ──スキル『心話』を獲得しました──


 またスキルが増えた。なんのスキルだこれ?


 ──馬鹿なヤツだ。王女様が知っているわけないだろ。


 騎士のであろう心の声が聞こえた。これ、岡本が持ってたやつか。こんなふうに聞こえるんだな。それにしても、誰の差し金だ? 問い詰めるか。


「そうか、王女様は知らないのか」

「なにっ!? 何故それが……」

「俺にもスキルがあるんだよ」

「まぁ、いい。お前にバレたところで問題ない。直ぐに城から出て行ってもらうんだからな」

「誰の差し金だ?」

「言うわけないだろ」


 ──スキルがあると分かれば対策もできるんだよ。


 やられた。スキルを持ってるって言わなければよかった。


「わかった。出ていくよ」


 これ以上粘ったら殺されるかもしれない。そう思い俺は自ら城を出た。



スキル


『学習』

 スキルを獲得できる。


『翻訳』


『鑑定』

 人や物について知りたいことを知ることができる。自分よりも上のものには使用できない。


『心話』

 他人の心の声を聞くことができる。自分よりも上の相手には使用できない。

 ストックがないので毎日更新は難しいと思いますが、できる限り更新していきたいと思います。よろしくお願いします。

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