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16

 テスラ様との勉強を終え、ついに俺は入学試験を受けることになった。テスラ様との地獄のような試験勉強。思い出しただけで涙が出そうだ。


「さてと、試験会場はどこかな?」


 俺は試験を受けるため、ベルヌーイ領にある学院に来ていた。ベルヌーイ領に学院がある理由は王国にある学院との交流がしやすいように、ということだった。


「確か、最初は筆記で……どこの教室だ?」


 俺はテスラ様に渡されたメモを見て教室を探す。メモには試験を行う教室の名前が書いているだけで、場所は書いていない。


「『地図』で探せるかな?」


 俺はスキルを発動させる。頭の中に学院の地図が表示された。その中から、試験会場となる教室を探す。


「えっと、大講義場、大講義場……あった」


 俺は目的地を見つけた。四階まである学院の三階に大講義場はあった。正面の入口から入って、すぐ上に上がれば大講義場だ。

 俺は近くの階段を登っていく。その時だった。


「おい、お前さっきから何をブツブツ言っている。怪しい奴め」

「えっ? 俺?」

「お前以外に誰がいる」


 階段の下から声をかけられた。声の方を向くと、そこには金髪の男がいた。歳は俺と同じくらい。服装は豪華だから貴族だろう。彼も試験を受けに来たのだろうか?


「俺は、入学試験を受けに来ただけだ。別に怪しい者じゃない」


 まぁ、一人でブツブツ言っていたのは確かなので怪しいのは否定出来ない。

 そう思っていると、途端に金髪の男は笑い始めた。


「ハハハハ、お前まさか、あんな簡単な試験に落ちたのか? 嘘だろ?」


 そう言い男がまた笑い始める。俺には訳が分からなかった。落ちたってどういうことだ?


「俺は試験に落ちてないぞ?」

「隠さなくてもいい、今日試験を受ける時点で、一回試験に落ちてるのはわかってる。なんせ今日の試験は再試験だからな」


 金髪の男の話によると今日の試験は、以前行われた入学試験で落ちた人を救済するための試験のようだった。最初の試験で落としすぎて、人数が足りなくなったらしい。


「テスラ様も言ってくれれば良かったのに」

「今、テスラと言ったか?」


 俺の呟きを耳ざとく聞きつけたのか、男が敏感に反応した。この男も貴族なのだろうが、テスラ様を呼び捨てにしたのは少しイラッときた。


「テスラ様だ。様をつけろよ」

「なんだと? なぜ俺があんな小娘に様をつけなければならない?」


 男の目が鋭くなる。テスラ様を小娘と言われ頭に血が上る。


「てめぇ」


 ──貴族達は煽るのが上手いので乗らないように気をつけてください。私のことをどんなに悪く言っても、決して手を出してはいけません。


 その時、俺はテスラ様の言葉を思い出した。そうだ、ここで手を出したらテスラ様に迷惑がかかるんだ。それは絶対にダメだ。俺は寸前のところで踏み止まることが出来た。

 恩人のことを悪く言われると、直ぐに頭に血が上るのは何とかしないといけない。


「こんなことしてる場合じゃなかった」


 俺は金髪の男を置いて、大講義場へと向かった。後に残された金髪が何かを言っていたが、俺には聞こえなかった。



 試験会場となる大講義場には、俺を含めて八人の受験生がいた。俺以外は多分、一度入学試験に落ちた人だ。


「では、試験を始めてください!」


 試験監督の声に従って、俺は問題用紙にペンを走らせる。テスラ様から聞いた話だが綺麗な紙は結構貴重なものらしい。そんな貴重な紙を受験生一人一人に配ることからも、この学院の凄さがうかがえる。


 ──おっ、ここテスラ様とやったところだ。


 テスラ様と勉強をした所は何故か覚えている。一人でやった所は覚えてないのに。とても不思議だ。

 そんなことを考えながらも、俺は問題を解き進めていく。


「試験時間は後五分だ。終了の合図をしたら直ぐにペンを置け」


 試験監督の声が、大講義場内に響く。耳をすましてみると、まだ、大半がペンを動かしているのがわかる。やっぱり、みんな受かるために必死だ。俺も他の人を見習い見直しをする。


 ──見直しも終わったし、あとは終わるのを待つだけか。


 俺は数学、国語、歴史、魔術と順番に見直しをしてペンを置く。一度に四枚の問題用紙が配られて、それを制限時間内に解く感じだった。得意な国語と数学で余った時間を歴史と魔術に回せたのはいいが、長時間座りっぱなしってのは結構キツイ。


「時間切れです。ペンを置いてください!」


 試験監督の声に全員がペンを置く。そして、試験監督が順番に問題用紙を回収していく。


「それでは昼休憩を挟んだ後、実技試験を行います」


 そう言われて、みんな席を立つ。どうやら食堂に向かうらしい。俺もみんなについて行く。


「どうだった?」

「まぁ、まぁかな」

「俺は結構出来てたと思うな」


 食堂で、キルヒさんに持たされた弁当を食べていると、そんな会話が聞こえて来た。

 まじかよ、俺なんて魔術と歴史は半分できてればいい方なのに……。

 はっきり言って、国語と数学については自信があったが歴史と魔術に関しては、まったく自信がなかった。


「はぁ……」


 落ちたらどうしよう。急に不安になってきた。もし落ちたらテスラ様と、毎日学校に行くという夢が叶わなくなる。

 そう思い、俺は実技で挽回しようと心に決めた。

 キルヒさんに貰った弁当はとても美味しかったです。ごちそうさまでした。



 腹ごしらえもし、覚悟も決めた俺は実技試験を受けるために外に出た。

 周りの人を見ると、みんな手には杖が握られていた。俺持ってないんですけど……。


「ではこれより、スキル『鑑定』試験を行います」


 試験監督が、王城で見たような水晶の玉を持ってきた。


「順番に『鑑定』を行うので呼ばれたら来てください」


 試験監督がそう言う。受験生は八人なので直ぐに俺の順番が来た。


「お願いします」


 俺は水晶に手をかざす。王城でのことがあったので、俺は不安になる。


「はい、次の人」


 しかし、何も言われずに俺は開放された。あれ、何も言われない。多くもなく、少なくもなかったってことか?

 俺は不思議に思いながらも、次の試験を待つことにした。

 残る試験は、模擬戦。俺はここで筆記の分を挽回しなければならない。俺は周りの人を見て戦いのイメージをした。




スキル


『学習』、『翻訳』、『鑑定』、『心話』、

『追跡』、『気配感知』、『隠密』、

『体術』、『変装』、『武器生成』、

『原子操作』、『武器召喚』、

『防具召喚』、『聴力強化』、『第六感』、『剣術』、『索敵』、『魔術』、

『体力強化』、『魔力強化』、

『詠唱省略』、『高速思考』、『地図』、

『聖剣創造』、『食事不要』、『帰還』、『転移』、『偽装』、『無限空間』、

『毒耐性』、『電気耐性』

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