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 どれくらい走り続けただろうか? 俺は今、森の中にいた。メルと来た森とは違う森だ。


「なんで……」


 俺の目から涙がこぼれる。友達だと思っていた岡本に嵌められて、大好きだったメルにも捨てられた。悔しくて、悲しくて、涙が頬を濡らしていく。


「うぅ」


 これからどうすればいいのか? コロナ王国内では指名手配され、みんなが俺の事を犯罪者と追いかける。


「どうしてだよ」


 そして、森を抜ける。


「あれ? 襲われてるのか?」


 森を抜けると馬車が狼のモンスターに襲われていた。『鑑定』してみるとモンスターの名前はウルフだった。豪華な馬車の周りでは騎士が戦っている。


「王国の人じゃないのか?」


 俺がそう思ったのは、騎士の身につけている鎧が王国の騎士達が身につけていた鎧とは違ったからだ。


「あっ」


 三匹のウルフを抑えていた騎士が殺されてしまった。そして、三匹が解放されて他の騎士達に襲いかかる。俺は助けようか迷った。助けたところでどうせ感謝などされない。それどころか俺を捕まえようとするかもしれない。


「いや、それでも助けよう」


 俺は『防具召喚』で全身を覆う真っ黒な鎧を召喚した。もちろん顔も隠している。これなら俺だとバレないはずだ。


「加勢しよう」


 突然現れた俺に騎士達が戸惑ったような顔をしたが、素直に「助かる」と言った。


「『雷撃』」


 俺は『雷撃』をウルフに向けて放った。


「キャウッ」


 魔法が当たったウルフが悲鳴を上げて倒れる。


「『電光石火』」


 『電光石火』は俺の技の中で最速の技だ。威力は『疾風迅雷』に劣るものの、ウルフ相手には十分だった。


「な、なんなんだ今の技は!?」

「速すぎる! 見えなかったぞ」


 次々にウルフを倒していく俺に、騎士達が驚きの声を上げた。そうしているうちに、俺はウルフを全て倒し切った。


「これで、終わりだ」

「す、凄い」

「助かったのか?」


 騎士達が安堵の声を漏らす。


「『治癒』」


 俺は怪我をしている騎士達に『治癒』の魔法をかけて傷を治す。


「攻撃魔法だけでなく、『治癒』も使えるとは」

「漆黒の鎧を纏った刀使い。聞いたことないぞ」

「ありがとう、君がいなかったら俺達は死んでたよ」

「それなら、俺はこれで……」


 俺が帰ろうとすると豪華な馬車の中から小さな少女が降りてきた。豪華なドレス? を身につけた、小柄な少女だ。


「て、テスラ様! 出てきはいけません」

「テスラ様?」

「あぁ、このお方はクーロン帝国、ベルヌーイ伯爵家のテスラ様だ」


 王国に呼ばれていたことと、豪華な馬車から只者ではないと思っていたが、貴族の娘さんだったとは。

 俺も周りの騎士達と同じように跪く。


「助けいただき、ありがとうごさいます。何か、お礼をさせていただきたいのですが」

「いえ、それには及びません。ただ通りすがっただけですので」


 俺は自分の使える精一杯の敬語で話す。貴族の娘とかにタメ口をきいたら、不敬罪で殺されるかもしれない。


「あなたは、冒険者なのですか?」

「はい、ただランクはJです」

「まさか、あの強さで?」

「どういうことだ?」


 貴族の娘さんは、何か考え込んでいるのか、黙ってしまった。


「あなたの腕を見込んで頼みたいことがあるのですが、聞いてもらえないでしょうか?」

「内容によります」


 とは言ったものの、王国に戻る以外であれば、大体のことは聞けると思う。それに嫌なことがあったから、気を紛らわせたい気持ちもある。


「私の護衛を頼みたいのです」

「テスラ様、それは」

「先程の戦いで、騎士が三名亡くなりました。この先、無事に帰還することが出来るかわかりません」

「しかし、見ず知らずの者をテスラ様の護衛にするなど……」

「あなたもさっきの戦いは、見ていたでしょう? 彼がいれば間違いないでしょう」


 俺の目の前で、俺の会話が繰り広げられる。なんか居心地が悪い。


「俺なんかでよければ、護衛しますけど?」

「いいんですか?」

「はい」

「私の名前はテスラ・ベルヌーイです。数日の間よろしくお願いします」


 こうして、俺はテスラ様の護衛をすることになった。



 その日は、二度戦闘があった。一度目はウルフ、二度目はオークだった。ウルフは前のように対応することが出来たが、オークに雷魔法が効かないと知った時は焦った。

 そして今は、夜の見張り番を二人組みで交代交代でやっている。


「よう、今日はありがとな」


 俺が見張り番をしていると、ペアの青年が声をかけてきた。俺を抜けば騎士達の中で最年少の青年だ。


「ガスターさん」

「ガスターでいいよ。オレもトールって呼ぶから」

「なら、ガスター。気にしなくていいよ。たまたま通りすがっただけだから」


 俺はこの時も鎧を脱ぐことは無かった。指名手配犯とバレて拒絶されるのが嫌だったからだ。


「どうやったらあんなに強くなれんだよ」


 俺はそんなガスターの言葉に苦笑いすることしか出来なかった。チートで強くなっている、いわばズルをしてるようなものだ。


「そんなことより、テスラ様は凄いね。幼いのにしっかりしてて」

「ん?」


 俺の無理矢理な話題転換を不思議に思ったのか、首をかしげた。


「あははははっ、そうかお前知らないのか。テスラ様は体は小さいけど十六歳だぞ」

「えっ!?」


 俺は驚きのあまり大声をあげてしまった。慌てて口を抑える。合法ロリ!?


「そ、そうなのか?」

「いやぁ、最近そんなにいい反応してくれる奴いなくなったからなぁ」


 ガスターが俺の背中をバンバンと叩く。そして、ガスターが続けた。


「テスラ様は小人族の血が混ざってるから、あんまり大きくならないんだよ」

「俺と同い歳なのか……」

「テスラ様はこの歳で家督を継いでるからな」

「テスラ様が領主をやってるってこと?」


 同い歳なことに驚いたが、伯爵の娘とかではなく領主をやっていることにも驚いた。どうやらテスラ様は帝国では結構な有名人らしい。


「テスラ様のお父様が亡くなってな、最近家督を継いだんだ。で、今はバタバタしてる」

「そうなのか」

「トールが来てくれてほんとに助かった。明日もよろしく頼むな」

「あぁ」


 俺とガスターは握手した。その後俺達は見張り番を交代する時間まで色々と話して過ごした。

 その頃には俺の気持ちもだいぶ楽になっていた。



スキル


『学習』、『翻訳』、『鑑定』、『心話』、

『追跡』、『気配感知』、『隠密』、

『体術』、『変装』、『武器生成』、

『原子操作』、『武器召喚』、

『防具召喚』、『聴力強化』、『第六感』、『剣術』、『索敵』、『魔術』、

『体力強化』、『魔力強化』、

『詠唱省略』、『高速思考』、『地図』、

『聖剣創造』

 改稿していますが、内容は変わっていないので読み直しをする必要は無いです。

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