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 ボロボロな家屋な家屋と、騎士達に囲まれながら、俺は岡本と再会を果たした。しかしおかしい。無表情な岡本の顔には再開に対する喜びなどが感じられない。それどころか、俺に対して怒りを抱いているかと思うぼどだ。


「ひ、久しぶりだな。元気にしてたか?」

「だまれ」

「えっ? なんだよ、どうしてそんな怒ってんだ? 岡本に黙って城から出て行ったからか? それなら理由があるんだ」

「黙れと言っている」

「っ」


 岡本から確かに殺気を感じた。だが、俺には理由が全くわからなかった。


「待ってくれ、理由があるんだ。それを聞いてくれれば──」


 わかるはずだ、そう言いかけた時、


 ──ヒュンッ


 と、俺の横を高速で何かが通過した。


「はぁ?」


 頬に熱を感じて触ってみると、手には血がついていた。どうやらさっきのは風の刃だったらしい。


「次は当てる。大人しく捕まってくれ」


 岡本のその言葉に、周りの騎士達が俺を捕まえるために動いた。


「なんでだよ!」

「キミは自分がやった事の罪の大きさを理解しているのか?」

「罪って、俺が何をしたって言うんだ!」

「ここまで来てしらばくれるか……、見損なったよ」


 騎士の一人が俺に触れる。両手を後ろに回されて手枷をはめられた。ここに来てようやく、俺はこの状況がただ事ではないことに気がついた。


「まさか、岡本が俺を嵌めたのか?」


 俺は頭血がのぼる。俺と仲良くしてたのもこのためだったのか。そんなことを思うと、悔しくて悲しくなった。


「なんのことだい?」

「岡本……お前」

「まさか抵抗する気なのか!? 騎士さん離れてください!」


 岡本が魔力の流れを見て、俺の攻撃を予測した。だが、遅い。


「『帯電』!」


 俺の体を電気を帯びる。一番近くにいた騎士が反応に遅れて感電した。


「ぐぉぉぉぉぉぉ」

「『放電』」


 体に纏わせていた電気を一気に解放する。俺から解放された電気は逃げ惑う騎士達を次々に襲う。


「「「ぐあぁぁぁ」」」


 電気に当たった騎士達はぴくぴくと痙攣しているが死んではいないようだった。


「堕ちる所まで堕ちたね透、騎士さん透は僕がやります。騎士さん達は市民を安全なところまで避難させてください」

「了解しました。勇者様!」


 岡本の声に騎士達が敬礼し、走り去った。


「勇者とはいいご身分だな」

「僕は君を許さない。少しでも君を友人だと思った僕が間違っていたよ」


 そして、戦いが始まった。



「『武器召喚』、『防具召喚』!」

「『聖剣創造』! 来い、エクスカリバー!」


 俺と岡本、それぞれの手に武器が現れる。俺はただの刀、岡本は聖剣だ。纏っているオーラが違う。


「透も武器を出せたんだね」

「お前のは聖剣だろ?」

「なんで、そのスキルを隠していたんだい?」


 どうやら、岡本は俺が『鑑定』の時スキルを隠していたと思っているらしい。


「どうせ信じてもらえないと思うから、教えねぇよ」

「そうか」


 岡本が一瞬で距離を縮めて俺に切りかかる。


「ハァッ!」

「くっ」


 俺は岡本の剣をギリギリのところで受け止める。今回防げたのはたまたまだった。


「…………」

「…………」


 勇者と言うのは伊達じゃないらしい。今の一撃で、俺の刀がかけてしまった。


 ──スキル『聖剣創造』を獲得しました──


「お前が聖剣なら、こっちも聖剣だ」


 俺は今、獲得したばかりのスキルを使う。


「『聖剣創造』、村雨!」


 俺の手に一振の刀が現れた。岡本の持っているエクスカリバーと同じようなオーラを放っている。


「なんだと!? 君もそのスキルを持っていたのか」

「今度はこっちから行くぞ!」


 俺は手に入れたばかりの村雨を真横に振る。村雨の刃自体は岡本に届かなかったが風の刃が発生し、岡本を襲った。


「ハァ!」


 しかし、岡本はそれを切った。


「残念だけど、君は僕を倒せないよ。大人しく捕まったらどうかな?」

「嫌だね、俺はお前がしたことを後悔させてやる」


 ここで捕まるのはマズいと『第六感』が言っている。俺は逃げるために、一発大きいのをぶち込むことにした。


「『疾風迅雷』」


 これは、俺が持つ技の中で二番目にはやい技だ。岡本の目でも捉えきれないだろう。

 予想は的中し、突然目の前に現れた俺に岡本は驚いた顔をする。


「何っ!」

「吹き飛べ!」


 俺の渾身の一発が岡本を吹き飛ばした。

 吹き飛ばされた岡本が建物に当たり、元からボロボロだった建物がついに崩壊する。


「グハッ、はぁ、はぁ、君が勇者である僕とここまで渡り合えるとはね。なんでその力を人々のために、世界のために使おうと思わないんだ…………」


 俺は岡本の言葉を無視する。

 そして、俺は計画通り逃げることにした。


「待て! 僕は必ず君を捕まえて、罪を償わせるぞ」


 俺は岡本を置いて、騎士達のいない場所を探して走った。



 俺は何とかして騎士達の包囲網を抜けタンクさんが営む料理屋さんに到着した。タンクさんには失礼だが、騎士達もまさかこんな所にいるとは思うまい。

 俺はそう思いながら扉を開けようとした時、中から声がして立ち止まった。


「これってトールくんじゃないのか?」

「まさか、指名手配犯だったなんて……」

「は、はやく騎士様に報告しないと」


 タンクさん、アーチさん、そしてメルの声が店の中から聞こえてきた。メルには本当のことを話していたのに。


「俺はなにもしてない!」


 気がつくと俺は店の中に入って、叫んでいた。


「は、犯罪者がいたぞ!」


 タンクさんが大声で叫んだ。ここにも騎士達が来る。


「ほんとに何もしてないんだ。メル、メルには言っただろ? スキルが少なくて追い出されたって」

「沢山持ってるじゃない」

「だから、『学習』って言うスキルで増えたんだって」

「もう騙されないわ、そんなスキル聞いたこと無いもの」

「騙してなんか──」


 ない、と言いかけた時足に硬いものが当たった。


「じゃがいも?」

「でていけ、はんざいしゃ」


 投げたのはタンクさんとアーチさんの娘のフィルだった。


「でていけ、でていけ」

「そうだっ、はやくでていけ」

「なんで、誰も信じてくれないんだ……」


 しまいには、メルが剣を抜いた。


「はやく出ていかないと切るわよ」

「あぁ……」

「なんでだよ、どうしてだよ、俺が何したってんだよ」


 俺は店を出た。メルは最後まで俺に剣を向けていた。


「いたぞ、追え!」


 店から出ると、外には騎士達がいた。俺は走った。走り続けた。誰もいない場所を探して。



スキル


『学習』、『翻訳』、『鑑定』、『心話』、

『追跡』、『気配感知』、『隠密』、

『体術』、『変装』、『武器生成』、

『原子操作』、『武器召喚』、

『防具召喚』、『聴力強化』、『第六感』、『剣術』、『索敵』、『魔術』、

『体力強化』、『魔力強化』、

『詠唱省略』、『高速思考』、『地図』


『聖剣創造』

 聖剣を創造することが出来る。

 ブックマークが100を超えました。ありがとうございます。これからも頑張っていくのでよろしくお願いします。

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