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 俺の『索敵』スキルに引っかかったゴブリンの数は五十ほど。メルいわく、この辺りのゴブリンの巣にしては多いらしい。

 俺とメルは気を引き締めて、ゴブリンの巣へと向かう。


「メル、ちょっと待って」

「どうしたの?」

「ゴブリン達が移動してる」

「何匹ぐらい? 少ないならそっちを先に倒しましょう」


 メルに言われて数を確認する。そして、俺はスキルを確認して驚いた。


「嘘だろ…………、五十匹全員が移動してる」

「まさか、私たちに気づいて逃げたのかしら? けど、そんなことって……」

「多分、それは無い」


 俺は断言した。なぜなら……。


「ゴブリン達は、こっちに向かって来てる」


 そう、ゴブリンの群れは俺たちの元に猛スピードで向かってきていた。



 さっきまで静かだった森が、ゴブリン達の足音により騒がしくなった。それは、俺とメルの元にゴブリン達が近づいていることを意味していた。

 一匹一匹は弱いゴブリンも五十匹ともなれば話は変わってくる。新人冒険者がゴブリン退治に行き、ゴブリンの群れに襲われ全滅。よくある話らしい。


「どうする?」

「どうするって、倒すしかないじゃない!」

「か、勝てるのか?」

「けど、私たちがやらないと村が襲われるわ」


 確かに俺たちの後ろには村がある。俺達が逃げたら、ゴブリン達の進行方向にある村は確実に襲われるだろう。やるしかないってことだ。


「取りこぼしてもダメよ」

「わかった」


 俺は刀を抜く。本日二度目の戦闘だ。それなのに、いきなり数が増えて五十匹。笑えない。


「どでかい魔法でも撃てれば、一発なのに……」


 そう思った俺の頭の中に声がした。


 ──スキル『魔術』を獲得しました──


 俺の頭の中に、色々な魔法が流れ込んでくる。それがどんな魔法で、どんな能力があるのかまでこと細かく把握出来る。『体術』をゲットした時と同じだ。


「これなら……、メルっ、魔法を使う!!」


 二人で五十匹を相手するために、少し離れたところに立っているメルに叫んだ。


「また新しいスキルを覚えたのね」


 もう驚かないと言うようにメルは言った。

 それを了承ととり、俺はどの魔法が使えるか考えた。やはり五十匹を相手にするとなると範囲魔法が好ましい。大きな炎の塊で焼き尽くすとか。カッコイイしロマンもある。


「あっ、火の魔法は使わないでね。森が燃えちゃう」


 火の魔法で一気に焼き尽くしてしまおうと考えていた俺にメルが言った。確かにそれはまずい。


「風の魔法は威力が足りなさそうだし。水もな……」


 そして俺は『魔術』のスキルを使っている中で、ある魔法を発見した。雷魔法の『雷撃』だ。この魔法は貫通するらしく、ゴブリンの群には有効そうだ。心配なのは威力だが、それは祈るしかない。


「来るぞ、メル!」


 ゴブリンが、木々の隙間から見えてきた。しかし、ゴブリン達の表情は恐怖に染まっている。どうしてだ? 俺たちに気づいて襲いに来たんじゃないのか?


「いや、そんなことより」


 俺は切り替える。そして、


「『雷撃』!!」


 手のひらをゴブリンの群れに向け俺は叫んだ。その瞬間、俺の手のひらに魔法陣が浮かび上がり、そこから雷が放たれた。


「グキャアっ」

「グブァ」


 雷が先頭のゴブリンに当たり、後ろのゴブリン達にも貫通して当たる。悲鳴を上げたゴブリン達が一瞬で真っ黒焦げになった。


「す、すげぇ」

「なによその魔法!」


 俺は魔法の威力に感嘆する。メルなんかは、剣を落としてしまっていた。俺はどんどん魔法を放つ。


「『雷撃』、『雷撃』、『雷撃』!」

「グキャアァァァ」

「グェア」

「グブギャ」


 みるみるうちにゴブリンは減っていき、ついに最後の一匹が倒れた。さすがに疲れた。


 ──スキル『体力強化』を獲得しました──


 ──スキル『魔力強化』を獲得しました──


 ──スキル『詠唱省略』を獲得しました──


 ゴブリンを倒し終えると、沢山のスキルを獲得できた。そして、獲得したスキルのおかげなのか疲れが吹き飛ぶ。


「ほとんど、トールが倒しちゃった」


 そう言いながら、メルが近づいてきた。


「これで、終わりだよな?」

「えぇ、村長から依頼達成のサインをしてもらって、ギルドに持っていけば終わりよ」

「あぁ、疲れた」


 『体力強化』のおかげで体の疲れは感じないが精神的な疲れを感じる。まぁ、今回は雷で焼いただけだからグロさは抑えられてるけど。


「それじゃぁ、帰りましょうか」

「そうだな」


 魔石を回収し終えて帰ろうとした時、俺の『索敵』スキルに巨大な何かが引っかかった。


「メル、もう一匹何かいる」

「どっち?」


 俺は正面を指さす。


「何も見えないわよ?」

「そんなはずはないんだ。スキルでは何かがこっちに向かってきてるんだ」


 目に見えない巨大な何かが、ちょうどゴブリンの死体が山になっている所で停止した。一体何が? そう思った瞬間、それは地面の中から出てきた。


「ギュルルルルルルルルルル」

「なんだあれ!?」

「み、見たことないわ」


 地面の中から姿を表したのは巨大な虫。ミミズのような体に、ヤツメウナギのような口がついている。今まで見たどの生物よりもおぞましい姿をしていた。

 そんな化け物が、山になったゴブリンの死体を丸呑みにする。


「なんなんだ……」

「わかんないわよ」


 俺とメルはゴブリンの死体が食べられていくのを見ていた。そして、ゴブリンの死体を食べおった化け物は俺たちの方を見た。正確には、目がついてないから、見てるのかわからないけど。


「なぁ、コイツ人食うと思うか?」

「に、逃げるわよ!」

「わかった」


 ミミズの化け物は、俺達が逃げたとわかると、また地面に潜った。一瞬、諦めたのかとも思ったが『索敵』スキルちはしっかり追いかけてきている化け物がうつった。


「追いかけてきてる!」

「トールっ、何とかして!」

「何とかって言われても……そうだっ、森を抜けて広いところに出よう!」


 俺とメルはミミズの化け物を引き連れ、平原を目指して走り続けた。

 そして平原に着いた時、周りには誰もいないことを確認して地面に魔法をかける。


「『地殻変動』!」


 地面に魔法がかかり、地面が隆起する。


「ギュルルルル!」

「出てきた!」


 ミミズの化け物が押し出されて、姿を現す。作戦通りだ。


「メル、ここでコイツを倒すぞ」

「わかったわ」


 俺とメルは武器を構えて、ミミズの化け物と対峙した。



スキル


『学習』、『翻訳』、『鑑定』、『心話』、

『追跡』、『気配感知』、『隠密』、

『体術』、『変装』、『武器生成』、

『原子操作』、『武器召喚』、

『防具召喚』、『聴力強化』、『第六感』、『剣術』、『索敵』


『魔術』

 魔法を使えるようになる。魔法についての知識を獲得できる。


『体力強化』

 体力が大幅に上昇する。


『魔力強化』

 魔力量が大幅に上昇する。


『詠唱省略』

 無詠唱で魔法を発動できる。

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