冒険者登録
ステータスを確認したら、次は冒険者ギルドに向かうつもりである。
冒険者ギルドとは、冒険者としてギルドに登録し、依頼を受け報酬を貰う者を冒険者という。
このゲームでのお金の稼ぎ方は基本的に冒険者として活動し、報酬、「お金」などを貰うか、倒したモンスターの素材を売ってお金にするか。
勿論例外はあるが基本的にこれである。
露店から数分歩いたところに、剣と盾が交差する看板が掲げられた建物が見えてきた。
見た目は古臭い壁に、扉だけがシンプルであり異様な光景を醸し出している。
しかし、何人ものプレイヤーがそこを出入りしており、そこが冒険者ギルドであることを示してた。
全身鎧を着た獣人の青年や、金髪、赤髪、青髪などのエルフ、他にも頭に山羊のような角を生やした者までいる。
この光景が冒険者ギルドで間違いないことを再確認させられるが、受付などに行った時、どう対応すればいいのか不安に駆られる。
人とあまり話さず、関わりをあまり持ってこなかったベーゼにとって人との会話とは苦手なものだ。
何故かロキとは話せたが、異様な雰囲気を持っていたからだろうか?
このようなことを考えても時間は過ぎ去るばかりであるため、ベーゼは冒険者ギルドへ足を踏み入れた。
入ってみると、中は案外綺麗なもので、木の床や漆喰の壁は汚れ一つ見当たらない。そして入って右側が受け付け、依頼を受けるなどを担当しており、左が酒場などになっているようだ。
酒場の方は屈強な戦士、知的な魔法使い達が居り、騒いでいる。酒を飲んだり飲み比べたり、酒に呑まれたりと。
そんな冒険者ギルドは独特の雰囲気を醸し出しており、妙に落ち着く。
こんなことを考えている場合ではないと、思考をすぐに戻す。
ベーゼは入り口に立っており、人に邪魔になるからと少し奥に進んでみたものの、どうすればいいか迷う。最初に掛ける言葉は?何て言えばいい?どう返せばいいのだろう。
やはり不安がベーゼを掻き立てるが、今登録している人を見ていると、依頼を受ける人、登録をする人で分かれているようだ。
であらば、並んで前の人と同じことをすればいいではないか。
そう思いつき、列に並んでみる。受付嬢は六人いるが、みんな例外なく可愛いか美しい。現実に居れば瞬く間にモデル、アイドルでもすればトップになれるだろう。
人間離れした美しさを持っている。
ベーゼから見て、左の二人は登録を担当しており、ほかの4人は依頼の受付などを担当しているようだ。
そんなことを考えてるうち、15人ほど並んでいた人数は瞬く間に4人ほどに減り、あと少しで自分の番が回ってくる。
あと少しで自分の番だ、と思うと緊張する。
「はぁ.....」
妙な緊張からか溜息が出るが、気づいたものはいないようだ。別に気づかれたからと言って、何かあるわけではないが。
それから数分、ついに自分の番が来た。
前のプレイヤーがベーゼの前を横切り、ギルド出て行く。
「え、えっと.....冒険者登録お願いします」
その言葉に受付嬢は笑顔を絶やさず、
「はい、畏まりました!では、そちらの水晶に手を置いていただけますか?」
そう言われて右下を向くと、頭ほどの綺麗な水晶が置いてあった。
透明に透き通っており、奥が見える。
並んでいる時もチラチラ見えていたが、近くで見るとより一層綺麗であった。
こういうのを集めているコレクターなどからは高い金を出してでも欲しいというものが必ず出てくるであろうが、残念ながらゲームの中である。
もちろん、ゲームの中なのでこのようなものを集めようとすればできるのであろうが、ベーゼはそのような趣味はない。
そのため集めることはないだろうが。
ベーゼは水晶に手を置くと、一瞬水晶が光る。
「はい!では登録出来ました!ステータスを開くと確認できると思います!では!」
確認は今しなくていいかな?などと思いながらギルドを出て行く。
殆どのプレイヤーがすぐに依頼を受ける中、ベーゼは出て行く。
列を見てみると来た時の半分ほどに人が増えていた。
これからどうしようかな。
またレベル上げるのもいいけど、クエストを受けてみよう。
行き来する大通りを歩きながら、鍛冶屋に防具を買いに行く。
道を歩いてると色々なことが耳に入ってくるのだが、鍛冶屋の武具はそこまで高くないらしい。
基本的に露店を利用するプレイヤーは少ないとのこと。
ならば今の装備でも、現時点では問題ないがこの先を考えると買っておいたほうがいいかもしれない。
すぐに買い換えることになるだろうが。
このゲームにはマップ機能というものがある。
当然、MMOなのだからあるだろうと思う人がいるかもしれないが、基本的にVRゲームはないのが多かった。
そのためマップ機能があるのは嬉しい。
マップを表示し、進んでいくと鍛冶屋につく。
見た目は古臭く看板に鍛冶屋と書いてあるだけ。
チャラン.....っと鈴が鳴る音がし、中に入ってみると剣や戦斧、槍や小手など武具がたくさん置いてある。
鍛冶屋は武器屋とは違い、オーダーメイド品を取り扱っており、頼めば自分だけの武具などを作ってくれる。
ただ作ってくれる武具も強いモンスター相手には効かず、プレイヤーがつくる装備出ないとモンスターを倒すのは難しいそうだ。
このゲームにストーリーといった物はないが、危険地帯というものがありそこの強力なモンスター相手に試した結果、NPC鍛冶師が作る武具は全く通用せず、プレイヤーが作った武具はほんの少しではあるが通用したそうだ。
おそらくはオリジンエンブレムが生産系であったため、武器が強化されたんだろう。
だが今回買うものは武器ではなく防具だ。防具も武器と同じだろう。
しかし結局は買い換えるため、安物で構わないと思っている。
逆に高いものを買い、同じ値段で強化されたプレイヤーの武具が買えなくなると困る。
最初からプレイヤーの武具を買おうとも思ったが高すぎて手が出せなかった。
だから今はNPCの作った防具で我慢するしかない。
防具が置いてあるところに行くと何着かコートが置いてあるが斥候職、盗賊など専用武具だそうだ。
葬儀屋は特殊戦闘職に分類されるが、どちらかといえば斥候職よりなため問題なく装備できるだろう。
どれも目立たなく、黑い色をしたコートで、置いてあるのはどれも同じだ。
防御力はVITに+5と初期装備の+1に比べればマシである。
黒いコートを買い、さっそく装備すると初期装備よりはマシかな程度で見栄えがいい。
「ん......なんか着にくいな」
ちょっとだけ着にくいが戦闘に支障はないはずだ。
さっそくラフェル森林へ向かった。
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ラフェル森林に向かって敵を倒しているが、全くレベルが上がらなくなってきた。
種族レベルが2つ上がり合計レベル18になったが、職業レベルが全く上がらない。
狩場を変える必要があるなと思い、戻ってると弓矢が飛んできたので、剣で叩ききる。
ゴブリンだ。
特に変わったところもなく、通常のゴブリンだ。
10秒後、言うまでもなく全滅させたべーぜは王都に戻って狩場を探しに出かけた。
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